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【 ハンギョレ in 】“質の悪い働き口”社内下請け ①質の悪い働き口を作り出す財閥(3)

原文入力:2011/10/10 08:37(3218字)
64秒ごとにクルマ 1台‘殺人労働’…正規職0人‘絶望工場’
キム・インヒョン記者


完成車下請け業者 ドンヒオート


機械の付属品のように労働“作業ラインに押されるように”


午前8時30分。今日も‘ウィ~ン’という音を出してラインが回り始める。一方の手にはボルトとナットを3,4個握り、他方の手にはインパクト(ナットをボルトに噛ませる工具)等の工具を持つ。 流れるラインに乗ったりラインに沿って歩きながらインパクトにナットを嵌めては撃つ作業を何回も繰り返しトークレンチで引き締めて車体に部品を装着する。次の車体が押し寄せてくる。歩いて当初の位置に移動して再び作業を繰り返す。 車一台に与えられた時間は64秒ほど。作業を急げば5秒程度の隙間ができる。10時30分。ラインが停まり耳を殴るような騒音も止まる。休息だ。下着が汗でじっとり重い。 ライン脇のテーブルに座る。 誰も口を開かない。 ただぼうぜんと休む。 薄情なラインは10分目にまた動き出す。 シップ薬をつけた肩が重苦しくなりインパクトを握る手首がしびれてくる。 ずっと上を向いて仕事をする人々は首まで痛い。 昼12時30分。 構内食堂に行き昼食を食べ再びラインが回る1時30分までぼうぜんと休む。 午後も同じように2時間作業の後に10分休み、再び1時間50分仕事をした後、5時30分に夕食を食べる。 夕食時間は30分。 今度は残業だ。2時間さらにラインに付き8時になればラインから解放される。

土曜日には特別勤務をして日曜日には休む。 その翌週には夜勤だ。 夕方8時15分までに出勤し、夕会と体操をした後 8時30分から翌日の午前8時までボルトを引き締める。 夜勤組の一週間勤務は土曜日の午前8時に終わる。夜昼2交代で回るラインは土曜日の夕方8時から月曜日の午前8時30分まで完全に停まる。 不満が強かった土曜日の夜間特別勤務がなくなったのも最近のことだ。


このようにして一日10時間、一週間に60時間ずつ仕事をして税金と保険料などを控除され手にする給与は賞与を含めて1年目が年2000万ウォン、3年目が年2500万ウォン程度。 昨年は車が飛ぶように売れたとしいぇ年末成果給350万ウォンが払われた。


2001年に設立され起亜自動車のモーニングを組み立てる国内唯一の完成車外注組立業者ドンヒオートの生産職には正規職が一人もいない。1300人余りの生産職は計19社の下請け業者所属だ。ドンヒオートは永年にわたり現代自動車の協力業者であったドンヒ産業と起亜車が各々45.0%と35.1%の持分を持っている。 瑞山(ソサン)にある工場敷地と建物は現代車が長期賃貸している。


2007年には時間当りの生産台数を意味するピッチが32であった。1分52秒程度に車一台ずつが生産されたわけだ。 そうするうちに2008年9月に36ピッチに上がった。 工程当たりに与えられた時間が1分40秒に減ったのだ。


外国為替危機以後の軽自動車ブームに乗りモーニングが年間15万台以上売れ、会社は昨年10月には42ピッチ、今年2月には52ピッチ、そして9月には56ピッチへとライン移動速度を急速に高めた。当初は工程当たり1分52秒であった労働強度が工程当たり64秒に高まったわけだ。 もちろん36ピッチであった2008年当時950人余りだった生産職が現在は1300人余りに増え、一部の工程が自動化されはした。 だが、ドンヒオート労働者は「ラインに押されるように」と表現するほど体感労働強度が高まったと話す。


会社の‘2011年工場運営方針’には工程に与えられた時間の中で実際に作業にかかる時間を意味する編成率を87.2から95に上げるとしている。編成率が95であれば100秒の内で余裕時間が5秒にしかならないという意味だ。 現代車蔚山(ウルサン)工場の編成率は60程度だと伝えられている。 チョ・ソンジェ韓国労働研究院研究委員は「自動化が大幅に進み工程別の作業が均等配分された先進業者の場合、編成率が85~90程度」とし「編成率が95ということは俄には信じ難いほどの驚くべき数値」と話した。会社側は編成率など労働強度と関連した質問に対する返答を拒否した。


一日10時間ずつ週に60時間
1300人余り夜昼2交代作業


高くもない賃金に労働強度まで殺人的であるため離職率も高い。 1,2人と辞めて行った後には採用も難しくなり在中同胞など移住労働者が満たしている。去る6月に復職したある解雇者は「3年ぶりに帰ってきてみると3分の2ほどは知らない顔」としつつ「現在、働いている人の3分の1程度は移住労働者」と話した。


一時、労働強度強化に抵抗する動きもあった。 2005年9月、民主労総金属労組所属ドンヒオート社内下請け支会が設立された。 あっという間に850余人の内 250人余りが加入した。 すると会社はこれを主導した組合員が所属する下請け業者との契約を解約し廃業させ、新しい下請け業者は核心組合員40人余りを雇用継承しなかった。 以後、会社は下請け業者別に作られていた‘幽霊労組’を活性化させ労組加入者だけを入社させるユニオンショップ形式で運営した。 当時の労組委員長の中には、所長を経て現在は協力業者社長に‘昇進’した人もいる。


2008年8月に32ピッチから36ピッチに上がり一部組合員が労働強度強化に反対するビラを撒き、同年11月ある下請け業者で組合員が委員長を選出した‘民主労組’ができた。これに対し会社は直ちにこの業者を廃業させビラを撒いた人々を懲戒解雇した。 このような形で働き口を失った組合員が計100人余り。現在は各下請け業者労組を統合した労組ができているが「秋夕(チュソク)の時、ラインに挨拶しに一度来た他には労組委員長の顔を見ることはできない」とある労働者は話した。体育大会も以前には平日に行ったが今は下請け業者別に休日にしたり止めたりした。


労組を作り改善要求するや廃業させ解雇も


人件費が安いうえに業者との契約解約等を通じて不穏な芽を見せる労働者らに対する解雇および経営状況に応じた柔軟な‘整理解雇’が常に可能な 資本家にとっては‘夢の工場’だが、労働者らには‘絶望の工場’である‘正規職0人’事業場。 主要工場としてはSTX重工業、現代ハイスコ蔚山(ウルサン)工場など二ヶ所がある。


生産職の内、管理者だけが正規職である‘事実上の正規職0人’事業場もある。 現代モービス12ヶ工場の中で蔚山・イファ・牙山(アサン)・瑞山(ソサン)工場など4ヶ所。現代WIAの4ヶ工場の中で昌原(チャンウォン)工場を除く浦升(ポスン)・光州(クァンジュ)・半月(パンウォル)工場など3ヶ所がこういう工場だ。 現代モービスの4ヶ工場は生産職2220人の内、73%にあたる1623人が、現代WIAの3ヶ工場は1230人の内86%にあたる1062人が社内下請け所属だ。 金属労組が去る5月に出した‘悪い働き口追放2011金属働き口報告書’は「自動車部品会社の中で売上額1・2位を占める現代モービスと現代WIAは売上額10億ウォン当たり(正規職)従業員数が各々0.45人と0.48人であり、現代・起亜車など完成車メーカーの3分の1に過ぎず、規模が同等な自動車部品会社である万都(マンド)の4分の1、漢拏(ハルラ)空調の2分の1水準」と明らかにした。


キム・インヒョン先任記者 inhyeon@hani.co.kr.


原文: https://www.hani.co.kr/arti/society/labor/499997.html 訳J.S