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“選挙でできた政権 自ら正当性崩した”

原文入力:2009-02-19午前09:21:50
イ・ミョンバク政府1年 討論会, 総括・リーダーシップ
‘ロウソクのあかり’後 危機全面化して民主主義に逆行
成果主義で世論合意を軽視…疎通塞いで孤立を自ら招来

イ・セヨン記者

←‘イ・ミョンバク政府と韓国民主主義の危機’を主題に18日ソウル東国大で開かれた討論会で、ホン・ヒョンイク世宗研究所首席研究委員(右から3番目)がイ・ミョンバク政府の外交安保政策に対して主題発表をしている。 チョン・ヨンイル記者yongil@hani.co.kr

危機と退行の波が韓国社会を襲っている。経済は10余年前の外国為替危機状況で、南北関係は1990年代中盤‘の弔問波動’直後で、民主主義は87年民主化以前に戻ったという話が公然と出回っている。ろうそくデモ強硬鎮圧と集示法・言論関係法改悪の試み,一斉試験に協力しなかった教師たちの連鎖罷免,6人の命を奪った龍山再開発惨事など、過去の権威主義政権時期にあったようなことらが随時に起きている。イ・ミョンバク政府について‘警察国家’ ‘新開発独裁’ ‘民間ファシズム’との診断が出てくるのもこのためだ。2009年大韓民国は、韓国の民主主義はどこへ行くのか?

<ハンギョレ>は来る25日でスタート1年をむかえるイ・ミョンバク政府の功罪を診断し生産的未来像を模索するために、18日ソウル東国大で‘イ・ミョンバク政府と韓国民主主義の危機’を主題に大討論会を開催した。民主主義研究所,福祉国家ソサエティー,新しい社会を開く研究院,世交研究所,進歩と改革のための議題27,参与社会研究所,コリア研究院など7ヶの進歩的シンクタンクと共同主催したこの日の討論会は△政治△経済△社会△統一・外交の4分科会と総合討論の順に進行された。討論会の主要内容を紹介する。

“イ・ミョンバク政府の政策はパク・チョンヒ時代の‘右翼的ポピュリズム’を連想させる。”(チョ・ヒヨン・ソ・ヨンピョ聖公会(ソンゴンフェ)大教授)

“民主主義的修辞を掲げたが1年も経たずに軍部権威主義時代のリーダーシップに回帰した。”(キム・ホギ延世大教授)

イ・ミョンバク政府の性格とリーダーシップに対する研究者らの評価は非常に否定的だった。 ‘新自由主義体制の強化とイ・ミョンバク政府’に対して発表したチョ・ヒヨン,ソ・ヨンピョ教授は“民主主義時計が逆に回っている”と批判し、‘リーダーシップとガバナンス’を扱ったキム・ホギ教授は“執権的権威主義への退行”を問題にした。

←チョ・ヒヨン(聖公会大教授),ソ・ヨンピョ(聖公会大教授),キム・ホギ(延世大教授)(左側から)

 

■ “非民主的に計画し権威的に貫徹”

チョ・ヒヨン教授とともに共同研究結果を発表したソ・ヨンピョ教授はイ・ミョンバク政府の去る1年を△権威主義への回帰△選別的抱き込みと排除△以前の政府との政策的断絶で整理した後、これを“ノ・ムヒョン政府の‘ポピュリズム的擬似民主主義’と区別される‘開発主義的権威主義’の特徴”だと規定した。ノ前大統領が“民主的に世論を取りまとめた後で非民主的に決定”したとすれば、イ大統領は“非民主的に計画して権威主義的に貫徹させる”ということだ。

しかしソ教授はイ・ミョンバク政府が初めから非民主的形態が目立ったのではなかったと見る。初期には過去の開発独裁政権と区別される‘新保守政権’のイメージを浮上させようとしたが、ろうそくデモが支配ブロック内部の危機意識を育て強硬派の位置づけを強化し民主政府10年を経て馴致されていた抑圧的・権威主義的慣性が全面化したということだ。彼は「(今のように)国家機構内部の抑圧的慣性が容易に表出される構造が持続するならば龍山惨事のような悲劇がいつでも再演されうる」と警告した。

人権委・女性部縮小,過去史委員会統廃合など以前の政府との‘政策断絶’についてもソ教授は「現政権の支持基盤を固めることより新しい亀裂地点を作っている」と診断した。進歩政権の場合、過去政権との断絶を時代的課題として要求されるが、保守政権が進歩的政策を逆転させるのは民主主義闘争の成果を無化させる意味を持つので選挙過程で抱き込んだ中道的大衆を離反させる結果をもたらすということだ。

最近拡散している‘民主主義危機論’に対してもその限界を指摘した。民主主義が後退しているというのは正しいが、これを民主主義の問題としてだけ認識するならば、‘手続きとしての民主主義’の罠に閉じ込められるほかはないということだ。ソ教授は「形式的民主主義の復元だけを主張するのではなく、どんな種類の民主注意が必要なのかを明確にしなければならない」として△労働階級に対する包容△開発主義に対する制御△市長と公権力に対する民主的統制などを積極的に要求しなければなければならないと強調した。

■ ‘ピープル フレンドリー’が必要だ

キム・ホギ教授はイ・ミョンバク政府の統治形態を‘最高経営者(CEO)型リーダーシップ’として発現する‘執権的権威主義’と規定した。問題はCEO型リーダーシップに内蔵された‘成果中心主義’だ。手続きより結果を重視する成果中心主義は、世論と合意過程を軽視させ国民との疎通に障害物として作用するためだ。キム教授は「イ・ミョンバク政府は変化する社会の特性をまともに読めないまま旧式権威主義方式に回帰することによって正当性の危機を自ら招来している」と診断した。

政治・市民社会との疎通システム不在も問題点として指摘された。キム教授は「利益社会である現代社会では葛藤を一方的に否定するのではなく、どのように調整して管理するのかが重要だ」として「ところがイ・ミョンバク政府は政界との疎通が円滑でないのはもちろん、統治パートナーである市民社会を意志決定過程から排除することによって自らを孤立させている」と指摘した。

彼は続けて「ろうそくデモと金融危機という二つの事件は私たちの社会が経済危機と政治危機が緊密に結びついた二重の危機状況に直面していることを見せてくれる」として「経済危機を収拾しようとする政府の生半可な対策が経済危機を加重させ、これがまた政府の選択の幅を狭める悪循環が続いている」と指摘した。

それなら解決法は何だろうか? キム教授は危機脱出の方法としてイ・ミョンバク政府に三種類を提示した。最初に、権威主義リーダーシップを民主的リーダーシップに切り替えろということ。‘ビジネス フレンドリー’でなく‘ピープル フレンドリー’が必要だという話だ。次に経済危機を考慮して社会的弱者を保護し配慮する政策を強化する一方、進んで市民社会と新しいガバナンスを積極的に模索しなければならないということだ。

イ・セヨン記者monad@hani.co.kr

https://www.hani.co.kr/arti/politics/politics_general/339723.html

原文: 訳J.S