原文入力:2010-09-08午後10:10:10(2149字)
商品輸出・建設・プラント受注など打撃 不可避
政府、韓国ウォン貨 決済口座新設‘迂回通路’準備
アン・ソンヒ記者
←政府がイラン メラトゥ銀行ソウル支店に対し2ヶ月の営業停止などの制裁措置を発表した8日午後、ソウル江南区、大峙洞のメラトゥ銀行ソウル支店入り口から職員が銀行に入っている。 キム・ジンス記者 jsk@hani.co.kr
8日政府がイランとの経済交流を大幅遮断する内容の強力な制裁案を発表し、我が国経済に及ぼす影響に対する憂慮が大きくなっている。カギはイランの反応だ。数回‘黙ってはいない’という信号を送ってきたイラン側がどんな態度を見せるかにより国内経済に及ぼす影響も一波万波に広がりかねない。
■メラトゥ支店制裁 綱渡り…政府対策準備に腐心
政府発表によれば、米国の要求を最大限受け入れる姿を見せながらも、イランとの関係悪化から来る経済的損失を最小化しなければならないという‘二兎’ジレンマが歴然だ。
全体的な措置内容は米国の圧迫に白旗を揚げたと見ることができる。政府はメラトゥ銀行ソウル支店など102機関、24個人を金融制裁対象者に追加指定するために、国連決議案に明示された機関・個人のみを金融制裁対象者にすることができる現行外国為替取引法上の下位規定を改定する予定だ。また、これまでなかった‘対イラン金融取引事前許可制’まで新設した。メラトゥ支店は営業停止2ヶ月の重懲戒を通知するや金融制裁対象者にも含めてしまった。イム・チョンリョン企画財政部1次官はこの日、背景ブリーフィングで「営業停止が解けるとしても今後、メラトゥ支店が正常営業をすることは難しいだろう」と話した。
だが、イランに対する‘顔色伺い’の跡も伺える。ひとまず米国が要求してきたメラトゥ銀行支店の閉鎖と資産凍結は受け入れなかった。メラトゥ支店を検査したが認可取り消しをするに値する重大な不法行為を発見できなかったとのことだ。財政部関係者は「(いくら米国が要求するとは言っても)超法規的な措置はできないではないか」と話した。
我が国の国内銀行にイラン中央銀行名義の韓国ウォン貨決済口座を開設する方案を推進することも、何とかしイランとの交易を最大限生かそうとする試みだ。我が国の1800余の対イラン輸出中小企業の60~70%はメラトゥ支店を通じて取引をしてきたが、最近、支店業務が事実上マヒする中でこれら企業の被害も増えている状況だ。財政部関係者は「韓国ウォン貨決済口座を開設すれば、少しは安定的に韓国企業がイランとの交易を継続していくことができるだろう」と話した。
■ボールはイランへ…最悪の場合、交易被害100億ドル以上
今やボールはイランへ渡った。政府はイラン当局と事前協議なしにこの日の制裁内容を通知したと明らかにした。イム次官は 「イランがどんな反応を示すかについて情報を持っていない。見守ろう」とだけ話した。
ひとまず政府はアキレス腱と言える原油輸入(年間60億ドル規模)部分に対しては「大きな影響がない」と展望した。イラン政府が財政の相当部分を原油収入に頼っており、ヨーロッパや日本など他の制裁国家とも原油取引は維持しているという点、米国も原油取引については目をつぶっているという点などが政府の楽観根拠だ。
だが、年間40億ドルに及ぶ対イラン商品輸出と10億~20億ドル規模の建設・プラント受注などに対しては政府も確言できずにいる。政府関係者は「イランも実利を重視する国家であり、極端な反応を示すことはないだろう」と話しながらも「イランが韓国商品の輸入を禁止するなど、貿易報復に出る可能性も排除できない」と話した。最悪の場合、イランとの輸出入が全面中断されれば、直間接被害額が100億ドルを越えると政府は推算している。
政府対策の核心と言える韓国ウォン貨決済口座の新設も、イラン側が受け入れてこそ可能なことであり、成功可能性がまだ不透明な段階だ。この日、イム次官はブリーフィング途中「今回の対策の目的は国連決議案の履行、そしてそれにともなう我が国経済の被害最小化、この2種類」と数回強調したが、2番目の目的がきっちり達成されるかは不透明なわけだ。
キーワード-金融制裁対象者とは?
現行外国為替取引法の下位規定である‘国際平和および安全維持などの義務履行のための支給および領収指針’は国連決議にともなう制裁対象と米国大統領令13224号が指定したテロ団体などを‘金融制裁対象者’と指定し、国内企業や銀行がこれらと取引する場合には事前に韓国銀行総裁の許可を受けるよう規定している。例えば、ある企業がイラン国営海運会社と取引をしようとすれば先に韓銀の許可を受けなければならない。メラトゥ銀行ソウル支店は今までは金融制裁対象者ではなかったが、今回の措置で制裁対象に含まれた。
アン・ソンヒ記者 shan@hani.co.kr
原文: https://www.hani.co.kr/arti/economy/economy_general/438890.html 訳J.S