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“もうそのような報告書は書かない,恐ろしくて書けない”

原文入力:2009-01-31午後03:41:29
‘マウスタンク’に転落した‘シンクタンク’たち
政府の立場と相反したり悲観的意見には圧力
苦言を言えば用役仕事を受けられず人事上不利益
国策研究所はもちろん民間研究所・金融会社まで‘統制’

アン・ソンヒ記者キム・ギョンナク記者チョン・ナムグ記者

“二度とその問題に関する報告書は書かない。恐ろしくて書けない!”民間金融会社研究員のキム・チョルス(仮名)氏は昨年 ‘リーマンブラザーズ 破産事態’直後に、ある敏感な経済イシューに関する報告書を書き社長に呼ばれ厳しい叱責を受けた。政府側でこの報告書内容について大きく憤慨し社長に電話で‘警告’をしたのだ。キム氏は「その時もし私の話が正しいとがんばっていたら本当に切られただろう」として「もう一度そのような形で書いたら助からないだろう」と話した。

「現政府は研究院をシンクタンク(頭脳)ではなく、マウスタンク(口)として見ている」というイ・トンゴル前金融研究院長の29日辞任の挨拶を契機に、政府の‘研究機関統制の’実状が水面に浮び上がっている。関連研究機関関係者たちの話を総合すれば、頭脳集団に対して政権の‘口’(広報手段)の役割を要求する政府の圧力は国策研究所に止まらず民間研究所,金融会社まで及んでいる。

新政府がスタートして院長が変わった租税研究院は昨年3月と6月‘幽霊報告書’二編を出した。新政府が推進する法人税引き下げが投資活性化に大きい効果を与えるという内容を入れたもので、これはこれまで租税研究院の研究結果とは正反対の内容だ。政府は租税研究院に用役を与え、これらの報告書を作成するようにした後、報告書全文は公開しないまま結論だけを政策広報に利用した。

政府に‘従順でない’国策研究所には用役課題などの仕事が与えられない。批判的見解を持った研究員は懲戒・減給など人事上の不利益を甘受しなければならない。政府側に‘睨まれた’ある国策研究所研究員は「それまでの発言と言論寄稿などを問題にして、私には減給・停職が議論されているし、他の一人は解雇威嚇に直面している」と語った。

こういう葛藤は既存政府の時にもなくはなかった。差異点はその程度が激しく範囲が民間研究所と企業にまで拡大しているという点だ。外国為替危機の憂慮が高まった昨年末には、金融研究院側に‘外国為替危機はない’という内容の言論寄稿をしろとの要求が降りてくることもあった。

政府は昨年下半期、経済危機が深刻化した後には外国為替市場・成長率・経済展望などと関連して特に敏感な反応を見せている。三星証券の‘成長率ハプニング’はこういう雰囲気を端的に表わす。昨年11月、三星証券は国内機関としては最初に今年の国内総生産(GDP)成長率をマイナス(-0.2%)と展望した。だがこの報告書はまもなくホームページから削除された。三星証券は去る19日、報告書で成長率を2.0%と提示した。こういう‘上方修正’は最近国内外機関らが日ごとに展望値を低くしている状況で異例的である。ある証券業界関係者は「どれほど大変だったか想像がつく」と話した。

政府は金融危機以後、数回証券会社アナリストとの懇談会を開きもした。いわゆる‘市場との対話’として包装されているが、参席者らは「危機意識を助長したり、‘虚偽事実’を流布する報告書を書くなという内容が核心だった」と伝えた。以後アナリストたちは言論とのインタビュー後、匿名要請が頻繁になった。「報告書の行間を読んでくれ」という要請をしたりもする。

政府のこうした様子は民主主義の価値を傷つけることであり,経済危機克服のための正確な政策樹立にも障害物となりかねないと専門家たちは憂慮する。経実連(経済正義実践市民連合)はこの日声明を出し「すでに世界経済はグローバル化され私たちの内部だけで口封じをするといっても政府政策の問題点を隠しおおせる世の中ではない」として「民主主義に真っ向から反するだけでなく政策の適合性を損なう行為」と批判した。

←イ・トンゴル前金融研究院長


 

 

 

 

 

 

イ・トンゴル前金融研究院長

「政府の政策を先頭に立って積極的に広報しない研究院や研究院長は現政府の立場では多分除去されなければならない存在であるようです。 経済成長率予測値さえも政治変数化したこの空間ではそれは多分当然のことでしょう。」(辞任の挨拶の中で)

ある金融会社研究員

「昨年末、敏感な主題に関して報告書を一度書いたが、政府側でひどく憤慨した。政府関係者が社長に電話をし、社長に強く警告された。切られるものと思った。私の話が正しいと頑張っていれば本当に切られただろう。二度とその主題に対しては報告書を書かない。恐ろしくて書けない。もう一度書けば私は助からない。いわゆる‘専門家’として恥ずかしい。」

ある民間経済研究所研究員

「成長率や争点事項に対して(政府と立場が違う)報告書をだせば政府側から電話がくる。参加政府の時も政府の顔色を見ない訳ではなかったが、その時は電話がきたりすることはなかった。」

ある国策研究院研究員

「(新政府の政策に批判的な発言を継続したところ)仕事をもらえない。」

ある金融会社研究員

「政府で悲観的な見解出て行くのを嫌う。市場で悲観論者は何人にもならない。ややもすると私の身分が露出しかねない。完全な匿名で引用してくれ。」

アン・ソンヒ,キム・ギョンナク,チョン・ナムグ記者shan@hani.co.kr

https://www.hani.co.kr/arti/society/society_general/336111.html

原文: 訳J.S