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内乱特検の控訴理由書「偶発的な戒厳ではなく長期間準備…権力独占・維持が目的」

登録:2026-02-28 08:35 修正:2026-02-28 10:00
内乱首謀容疑で起訴された尹錫悦前大統領が先月13日、ソウル中央地裁刑事大法廷で行われた同容疑の結審公判で最終弁論をおこなっている=ソウル中央地裁提供//ハンギョレ新聞社

 尹錫悦(ユン・ソクヨル)前大統領の内乱首謀容疑に対する一審の無期懲役判決を不服として控訴したチョ・ウンソク内乱特検チームは27日、「12・3非常戒厳は偶発的な措置ではなく、長期にわたって準備されてきたもので、原状回復期限を定めていない権力の独占・維持を目指したもの」と述べ、具体的な控訴理由を明らかにした。

 特検チームはこの日発表したメディア向けの参考資料で、尹前大統領の内乱首謀罪についての一審判決において、非常戒厳の準備および目的に対する判断▽内乱罪の成立要件に関する判断について、「事実誤認および法理に対する誤解がある」と述べ、25日の控訴理由を明らかにした。

 特検チームはまず、一審の「尹前大統領は2024年12月1日に非常戒厳の宣布を決心した」との判断について、「誤った事実認定」だと主張。特検チームは、ノ・サンウォン元情報司令官の手帳のメモや軍司令官との安全家屋(秘密活動に使用する一般家屋)での会合などを根拠に「戒厳の1年前から謀議と準備があった」と主張していたが、一審はこれを認めなかった。特検チームは「ノ・サンウォン手帳に記載されていた軍司令官人事に関する内容、次の国会議員選挙の日程、特定の政治家の拘禁計画などの内容と、それに対応する軍司令官人事などを総合すると、ノ・サンウォンは上記の手帳を2023年10月に断行された軍司令官人事以前から作成しはじめ、遅くとも2023年12月には作成を終えていたことが立証される」、「にもかかわらず原審には、ノ・サンウォン手帳の作成時期、およびそれによって立証される証明力ないし証拠価値を看過し、『ノ・サンウォン手帳が作成された時期は分からない』という論理則と経験則に反する結論に至ったという誤りがある」と述べた。

 特検チームはまた、軍司令官らの証言や当時の状況を総合しても、非常戒厳の「決心」時期は遅くとも2024年12月1日ではなく、同年11月9日だったと主張した。2024年11月9日は、キム・ヨンヒョン前国防部長官の公邸で尹前大統領と戒厳実行の主要人物となった防諜・首都防衛・特殊戦司令官が会合を持った日だ。

 特別検察チームはこのことについて「原審は、国会による戒厳解除要求決議後、尹錫悦がイ・ジヌ前首都防衛司令官に対し『私は戒厳宣布前に兵力を動かすべきだと言ったのに、みなが反対した』と発言していたことを認めている」として、「この発言そのものによって『戒厳計画を議論する過程でキム・ヨンヒョン、軍司令官ら関係者全員が戒厳宣布前に兵力を出動させるべきだという尹錫悦の意見に反対した』という論理則と経験則に合致する事実認定が可能」だと主張。続いて「尹錫悦と軍司令官は2024年11月9日に最後に集まり、非常戒厳宣布時の出動部隊の準備態勢を点検しつつ決意を固めるなど、非常戒厳の実行を具体化した。同日、ヨ・インヒョン前防諜司令官は戒厳時の逮捕対象者名簿を作成しており、ノ・サンウォンはムン・サンホ前情報司令官に戒厳宣布後の不正選挙に関する捜査任務を与えている」とし、「これらの点を踏まえると、尹錫悦らは遅くとも2024年11月9日には非常戒厳の実行を決定したと考えることが、論理則と経験則に合致する」と述べた。

 一審の「非常戒厳宣布は内乱罪の構成要件を満たすものではない」という判断についても、「法理の誤解がある」と主張。一審は「大統領の非常戒厳宣布そのものは内乱罪に該当しえず、司法審査の対象になるとは考えにくい」としつつも、「憲法が設置した機関の機能をかなりの期間阻止またはまひさせることを目的」に非常戒厳が宣布されたのであれば、内乱罪が成立すると判断した。非常戒厳の宣布そのものでは内乱罪は成立しないが、12・3非常戒厳は軍を投入して国会の機能をまひさせようとしたため、内乱に当たると判断したのだ。

 特検チームはこのことについて、「一般的な常識を持つ国民であれば誰もが、この事件の非常戒厳は要件や必要性を明確に欠いているため、違憲かつ違法であることを容易に理解できる」とし、「違憲・違法性が認められるこの事件の非常戒厳宣布だけでも、それに当然伴う強圧的効果、つまり通常時の行政・司法の本質的機能が軍に強制的に違法に移転されることによって、その機能が停止または排除される効果が生じたため、この事件の非常戒厳宣布そのものが国憲びん乱行為であり、内乱罪は成立する」と主張した。そして「原審は、被告人たちの国憲びん乱という目的を単なる『強圧による国会制圧が目的』と過度に限定して判断することで、特検の主張した他の国憲びん乱目的に関する判断を欠落させるとともに、いわゆる5・18内乱事件などで確立された、非常戒厳宣布行為で内乱罪が成立するかに関する法理を誤解したため、誤った判断を下している」と指摘した。

 また、一審は被告の罪責に比して軽すぎる刑を言い渡しているとも主張した。特検チームは尹前大統領に死刑を求刑していたが、一審の判断は無期懲役。残りの被告にも、求刑よりも軽い刑、または無罪を宣告している。特検チームは「原審は尹錫悦が実弾使用を許可する指示を下したことを認めると同時に、尹錫悦が兵士に対し物理力の行使を控えるよう指示したという矛盾した事実認定を行うことで、むしろ不当にそれを(被告に)有利な量刑要素として考慮した」と主張した。

 さらに、一審が尹前大統領の量刑理由に「65歳で比較的高齢」であることを反映させたことについては、「通常、刑事裁判で年齢は有期懲役刑を言い渡す際に被告人の余命年数と比較して実効的な有期懲役刑を算定するために考慮するものであって、単に犯行時に被告人が高齢であったという事情は(被告に)有利な量刑要素として考慮しない」とし、「尹錫悦に無期懲役を言い渡す際、死刑や無期懲役刑で考慮する理由のない年齢を有利な量刑理由として酌量しており、これは明らかな誤り」だと指摘した。さらに特検チームは「市民や国会関係者の抵抗、軍や警察の一部の指示拒否や消極的な実行などによって目的達成に失敗したに過ぎないこと、尹錫悦らは犯行後に反省がなく、本事件を司法の場ではなく政治の場に持ち込んで国民の分裂を招き助長するなど、犯行後の情状も芳しくないことなど、(被告に)不利な量刑要素が存在するが、それを正当に評価していない」と主張した。

 特検チームは「原審では弁論終結期限に関する裁判長の訴訟指揮に従い、起訴状変更許可申立てまでに提出された限られた証拠にもとづいて判断され、特検が新たに捜査して得た証拠(無人機による非常戒厳の条件造成に関する証拠など)のかなりの部分が証拠として提出されなかったという特異性がある」として、「控訴審ではノ・サンウォン手帳以外にも非常戒厳の準備ないし目的を立証するかなりの追加証拠を提出するなど、積極的に公訴維持活動を行い、被告人に罪責に相応する刑が宣告されるよう最善を尽くす」と述べた。

カン・ジェグ記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
https://www.hani.co.kr/arti/society/society_general/1246904.html韓国語原文入力:2026-02-27 11:32
訳D.K

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