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【現場】トランプ氏を直撃したブラジルのルーラ大統領「気候否定論に立ち向かおう」

登録:2025-11-12 09:13 修正:2025-11-12 10:16
COP30開幕演説 
協定脱退やフェイクニュースを批判
10日(現地時間)、ブラジルのルーラ大統領が同国ベレンで開催された国連気候変動枠組み条約第30回締約国会議(COP30)の開幕式で演説している=ベレン/新華・聯合ニュース

 「気候否定論とフェイクニュースに立ち向かわなければなりません」

 10日(現地時間)、ブラジルのルーラ大統領は決然とした表情で声を強めた。ブラジルのベレンで開幕したCOP30の会場内の各国代表たちは、議長国首脳の演説に歓呼と拍手でこたえた。ルーラ大統領はこの日、「アマゾンの玄関口」で開催された国連気候変動枠組み条約第30回締約国会議(COP30)の開幕演説を、米国のトランプ大統領の批判で始めた。トランプ氏がパリ協定という多国間主義の気候体制の根幹を揺るがしているということだ。米国は今年初めにパリ協定からの脱退を宣言しており、今回の会議に代表団を送っていない。

 ルーラ大統領は「虚偽情報の時代に科学を否定する人々は、多国間主義の進歩も拒否する。パリ協定がなかったら、世界は今世紀末、ほぼ(産業化以前に比べ地球の気温が)5度上昇するという、厄災的な温暖化に直面するだろう」と強調した。そして「私たちは正しい方向に進んでいる。しかしスピードが問題だ。今のままだと、地球の気温は(パリ協定の目標である、産業化以前に比べて)1.5度以上上昇することになる。それは受け入れられないリスクだ」と述べた。粛然としていた会場のあちこちから拍手が沸き起こった。パリ協定10年を迎える、30回目の締約国会議の始まりだった。

COP30が開幕した10日(現地時間)、ベレンの都市公園の会場が警察官と参加者でごった返している=オク・キウォン記者//ハンギョレ新聞社
COP30が開幕した10日(現地時間)、ベレンの都市公園の会場で参加者が記念撮影している=オク・キウォン記者//ハンギョレ新聞社

 この日、会場の内外は厳重な警備体制が敷かれていた。ベレンの都市公園の入り口には装甲車が配備され、随所に武装した兵士の姿が見られた。全世界190カ国から5万人が出席するCOP30の会場は、人々でごった返していた。開幕式が行われた午前10時前後には、入場証を受け取るために長い列ができ、入場に1時間以上かかった人もいた。

 国連気候変動枠組み条約(UNFCCC)が認証した各国の代表団と公認団体のブースが並ぶ「ブルーゾーン」では、各国が競うように気候政策を宣伝していた。開催国ブラジルは100を超える木の柱、緑と黄色の布で飾った大型ブースを設置し、注目を集めた。会場はあちこちにアマゾンの熱帯植物が配されており、ブラジルブースの関係者は「今回の会議の主要議題である『森林の保護と復元』の意味を込めた」と説明した。

 米国に代わる「気候リーダーシップ」として浮上した中国は、最大規模のブースを設置。世界で最も多くの炭素を排出(約25%)する中国は昨年、自国に370ギガワット(GW)以上の再生可能エネルギー設備を拡充するとともに、世界のエコカー(電気自動車)の70%を生産しているとして、「グリーン政策」を宣伝している。

COP30が開幕した10日(現地時間)、ベレンの都市公園に設けられた「ブルーゾーン」のブラジルの宣伝ブース=オク・キウォン記者//ハンギョレ新聞社
COP30が開幕した10日(現地時間)、ベレンの都市公園に設けられた「ブルーゾーン」の中国の宣伝ブースに、記念品を受け取るための長い列できている=オク・キウォン記者//ハンギョレ新聞社

 サウジアラビアやアゼルバイジャンなどの産油国のブースは華やかだ。サウジは、自国の気候政策を宣伝する代わりにミーティングルームを設け、他国の代表団と非公開で会議をおこなった。昨年の開催国のアゼルバイジャンは、昨年の議題であり成果でもある「気候金融の基準の設定」と炭素捕集貯蔵(CCUS)技術などを宣伝。韓国館では、新政権のエネルギー転換政策を宣伝している。韓国館では「KPOPガールズ! デーモン・ハンターズ」のキャラクターのうちわを配って好評を得ており、2028年のCOP33誘致を狙う済州道と、大韓商工会議所、慶熙大学、気候団体「気候ソリューション」などが発表会を開催する。

COP30が開幕した10日(現地時間)、ベレンの都市公園に設けられた「ブルーゾーン」のサウジアラビアの宣伝ブース=オク・キウォン記者//ハンギョレ新聞社
COP30が開幕した10日(現地時間)、ベレンの都市公園に設けられた韓国館で、韓服試着体験の参加者たちが記念撮影している=オク・キウォン記者//ハンギョレ新聞社

 主催者側による準備の不十分さも指摘されている。会場の電力が軽油発電機で供給されており、気候総会には不適切だというもの。サッカー場22面分の規模を持つ16万平方メートルのブルーゾーンを運営するには一日約13万リットルの軽油が必要だが、軽油は炭素排出量が最も多い燃料だ。「森林保護」をうたうCOP30の意味を強調するために会場全体に派手に巻きつけられた原木の装飾も、総会の趣旨に外れるという批判が起きている。現場で取材に応じたブラジルの環境活動家ワレスカ・ケイロスさんは、「全世界の炭素削減合意を導くべきブラジル政府は、石油のボーリングを承認したかと思えば、森林保護を主張しながらブースに過度な木の装飾を施すという矛盾を繰り返している」と述べた。

ベレン/オク・キウォン記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
https://www.hani.co.kr/arti/society/environment/1228688.html韓国語原文入力:2025-11-11 18:42
訳D.K

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