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「このような大統領の選出は、米国科学界だけでなく世界にとっても悲劇」

登録:2025-05-20 08:09 修正:2025-05-20 09:17
「トランプ政権、科学全般の衰退を招く」 
【インタビュー】ロバート・コップ|ラトガーズ大学地球・惑星科学科教授 
米国ラトガーズ大学地球・惑星科学科のロバート・コップ教授=本人提供//ハンギョレ新聞社

 「米国のドナルド・トランプ政権の動きは、数十年間続いてきた研究機関と米連邦政府の協力関係を壊している。米国だけでなく全世界に悪影響を与えるだろう」

 米国ラトガーズ大学地球・惑星科学科のロバート・コップ教授は16日、ハンギョレとの電子メールのインタビューを通じて、科学界の懸念をこのように伝えた。

 地球生物学博士であり、海面変化の研究者であるコップ教授は、2021年に公開された国連傘下の「気候変動に関する政府間パネル(IPCC)」の第6次評価報告書の第一著者だ。気候変動の社会的・人的コストを推定するためのデータに基づく複数機関の協力機関「クライメート・インパクト・ラボ」の創立首席研究員で、米国航空宇宙局(NASA)の海面変化研究チームにも参加している。米国地球物理学連合と米国科学振興協会の会員だ。

 コップ教授は、1月のトランプ政権発足後から「米国憲法上、あってはならないことが繰り広げられている」と指摘した。「超党派的な決定を通じて立法府が定めた予算案であるにもかかわらず、行政府が法に従う必要がないと判断したのは、法治主義の明白な崩壊」だと指摘した。

 また、科学研究の崩壊が社会の不安と挫折を引き起こしていると懸念を示した。「研究費が実際に削減されなくても、長期的に政府と協力しながら研究を進めてきた科学者は不安になる」として、「米国が、暮らしと経済をただ資源のための『ゼロサムゲーム』とみなす大統領を選出したことは、米国(科学界)だけでなく世界にとっても悲劇だ。米国と世界がさらに貧しくなり無知になるのではと危惧している」と述べた。

 欧州連合(EU)などが米国の科学者をスカウトしようとする最近の動きについて、「(他の国々は)米国の研究環境の規模に追いつけない」として、限界を指摘した。コップ教授は「米国のこのような措置は、単に科学のリーダーシップの変化を呼ぶだけでなく、科学の発展全般の鈍化につながるだろう」と懸念した。

 しかし、コップ教授は科学界の努力を信じると述べた。米国政府の気候変動対応戦略を盛り込んだ中核となる報告書(第6次国家気候評価、NCA6)に貢献した科学者400人が解雇され、2028年に予定されている報告書の発表は可能なのかという指摘まで出ているが、コップ教授はまだ民間の研究者の役割が残っていると述べた。「政府は、積極的には著者の参加を推薦しなかったが、オブザーバー資格の市民社会が積極的に乗り出した」として、「少なくとも、連邦機関に所属していない研究者の間では、参加は活発に維持されるだろう」と期待した。

チェ・ウリ記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
https://www.hani.co.kr/arti/international/america/1198310.html韓国語原文入力:2025-05-20 06:00
訳M.S

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