韓国の延世大学のある講義の中間試験で、大勢の学生が不正行為を働いたという疑惑が持ち上がり、講義を受け持つ教授が調査と「摘発時0点処理」を公示している。かなりの数の学生がチャットGPTを用いて問題を解くという不正行為を働いたとみられるが、研究倫理が命である大学にまで、一般化した人工知能(AI)の利用が悪影響を及ぼした事例だとも診断されている。
ハンギョレの取材を9日に総合すると、延世大学新村(シンチョン)キャンパスの「自然言語処理(NLP)とチャットGPT」の講義を受け持つA教授は、最近「学生の不正行為が多数発見された」として、摘発された学生の中間試験の点数をすべて0点処理することを、先月29日に学内の教授学習ウェブサイトに公示した。自然言語処理と巨大言語モデル(LLM)などの生成AIについて教える600人あまりの規模を持つ同講義は先月中旬、非対面型の中間試験を実施。不正行為を防ぐために、学生にパソコンの画面、手、顔が映っている動画を試験中に撮らせて提出させた。
にもかかわらず、一部の学生がカメラの「死角」を周期的に見つめたり、パソコン画面に様々なプログラムを重ねて表示させるかたちで不正行為を働いている様子がうかがえたという。A教授は「もう一度機会を与えようという複数の助教の意見があるため、『自首』する学生に限り、中間試験の成績を0点処理するのみとする。自首の機会を与えたにもかかわらず言い逃れをする学生は、学則に則って有期停学とする」と公示した。
学生の間では、不正行為を働いた受講生は200人を超えるという推定も示されている。延世大学の在学生であることを認証すれば利用可能なオンラインコミュニティー「エブリタイム」では、先月30日に「(不正行為を働いた学生は)良心的に投票しよう」と投票が呼びかけられた。この日午後2時ごろまでに202人が「不正行為を働いた」と答えている。
A教授は先月30日の2度目の公示で「不正行為と疑われる場面が発見されれば、私と4、5人の助教がその映像を1秒単位で精密に検討する。今回の調査の目的は不正行為をあぶり出したり処罰したりするための『ゲーム』ではなく、教育機関として学生たちに啓導の機会を与えるためのもの」だとして、自ら不正行為を告白するよう再度訴えた。
一部からは、大学生の間で普遍化しているAIの利用に合わせて、その倫理的利用基準を確立、教育する必要があるとの診断も示されている。韓国職業能力研究院と韓国大学教育協議会が実施した726人の4~6年制大学の学生に対する調査によると、昨年、91.7%の学生が課題や資料の検索にAIを用いているが、全国の71.1%の大学は生成AIのガイドラインを確立できていなかった。