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習近平主席はなぜ「シャオミの型落ちスマホ」を李大統領に贈ったのか

登録:2025-11-04 02:00 修正:2025-11-04 07:08
李在明大統領と中国の習近平国家主席が1日、慶尚北道のソノカームホテルで、国賓晩さん前の親交時間に、互いに用意した贈り物を見ている=大統領室提供//ハンギョレ新聞社

 11年ぶりに国賓として訪韓した中国の習近平国家主席と李在明(イ・ジェミョン)大統領の1日の首脳会談で注目を浴びたことのひとつは、両首脳が中国製のスマートフォンを受け渡しながら、トゲのある冗談を交わしたことだ。李大統領は首脳会談直後、習主席から贈られたシャオミのスマートフォンを見ながら、「通信保安は大丈夫か」と笑いながら尋ね、習主席が「バックドア(裏門)があるか一度見てみてくれ」と答えたというもの。

 両首脳に随行した中国側の関係者は「昨年生産されたシャオミの最新型スマートフォンで、スマートフォンのディスプレイは韓国のLGの製品」だと説明した。ただ、LGとサムスンの関係者によると、このシャオミのスマートフォンには、中国の説明とは異なり、LGではなくサムスンの部品が使われているという。

 二人の首脳が贈り物をめぐって冗談を交わし合うというありふれたシーンかもしれないが、習主席が韓国製の部品の使用されているシャオミのスマートフォンを選択したことには、それなりの意図が込められていると解釈される。

 まず習主席は、中国最大の通信・技術企業であるファーウェイではなくシャオミのスマートフォンを贈った。国の首脳同士で最高級のものを贈り合うという慣例に従うなら、シャオミより高級タイプのファーウェイのスマートフォンを選択すべきだが、そうはしていない。ファーウェイは米国の主な制裁対象のひとつであり、韓国でも印象が良くない。シャオミは制裁対象ではなく、韓国でもはるかに安心できる中国ブランドだ。習主席は、覇権・技術競争を繰り広げる米中の間に挟まれた韓国の境遇を考慮してシャオミの製品を選択した可能性がある。

 スマートフォンに韓国製の部品が使わていることには、もう少し複雑な意味が込められているかもしれない。習主席が贈ったのは、シャオミのスマートフォンの最新モデルであるシャオミ17プレミアムではなく、以前のバージョンであるシャオミ15ウルトラだった。このモデルに韓国製のディスプレイが使われているからだとみられる。

 2023年4月12日、習近平主席は広東省広州のLGディスプレイの工場を訪問し、多くの人々を驚かせた。習主席が中国国内の外国企業の工場を視察するのは非常に珍しく、韓国企業の中国現地工場を訪問したのはこの時が初めてだった。1週間後の尹錫悦(ユン・ソクヨル)大統領(当時)の「台湾発言」で両国関係が急速に冷え込んだためすぐに忘れ去られたものの、習主席が韓国との経済協力を望んでいることの表れと解釈され、大きな注目を集めた。習主席が韓国製のディスプレイの使われている旧型スマートフォンを贈ったのは、当時の記憶を想起させつつ、韓国との円満な関係の確立と経済協力の強化を望むという意思を明らかにしたものと解釈できる。

 李大統領と習主席は今回の首脳会談で、韓中関係の難しい諸問題については率直に話し合うものの、ひとまずできることから解決していくことを選んだ。李大統領が強調した朝鮮半島問題における中国の役割について、習主席の明確な立場表明はなかったが、ぎくしゃくしていた台湾問題が双方の発表でまったく触れられていないことも目を引く。中国側の発表に、台湾問題の遠回しな表現「核心利益を尊重する」というのがあるのがすべてだ。

 代わって両国は、民生と経済の分野で具体的な協力を進めることで合意した。通貨スワップの延長、2026~2030年経済協力共同計画、韓中自由貿易協定(FTA)の2段階交渉を念頭に置いたサービス貿易交流協力の強化などついて了解覚書(MOU)を交わした。「2026~2030年経済協力」については、中国が新たに樹立した第15次5カ年計画(2026~2030)の内容に合わせて韓中経済協力を進展させるという方向性が示されている。

パク・ミンヒ先任記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
https://www.hani.co.kr/arti/politics/politics_general/1226894.html韓国語原文入力:2025-11-02 14:26
訳D.K

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