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韓米の不確実性除去、韓中関係回復は開けたが…李大統領の実用外交、真の挑戦開始

登録:2025-11-03 09:02 修正:2025-11-04 07:18
慶州APEC「スーパーウィーク」幕下ろす
李在明大統領が1日、慶尚北道の慶州和白コンベンションセンター(HICO)で行われ2025アジア太平洋経済協力(APEC)首脳会議の第2セッションで発言している/聯合ニュース

 慶州(キョンジュ)アジア太平洋経済協力会議(APEC)の首脳会議の舞台で、米国と中国という二つの超大国がいずれも参加して繰り広げられた1週間の「外交スーパーウィーク」が、嵐のように過ぎ去った。議長として20年ぶりに国内で開催された大規模な国際首脳会議を率いた李在明(イ・ジェミョン)大統領は、対米交渉を終えたことで経済・安保での不確実性を取り除くとともに、疎遠になっていた中国との「関係回復」の糸口をつかんだ。同時に、アジア太平洋地域の首脳とも共同の繁栄に向けた信頼を固めた。しかし、激動する「ニューノーマル」の世界秩序を前にしてかろうじて回避した「最悪」の状況を「国益中心の実用外交」として貫徹するには、これからが真の挑戦だと評されている。

 「韓国にとって100%満足できる結果が出るのは難しい状況だったが、かなり善戦した。ひとまず霧は晴れた」。国立外交院のチョン・ボングン名誉教授は2日、韓米首脳会談で通商・安全保障合意を取り付けたことについて、このように評価した。予測不可能な米国のドナルド・トランプ大統領を相手にして最悪のシナリオを回避するとともに、当面の不確実性を除去したという点で、肯定的に評価できるということだ。ホン・ヒョニク元国立外交院長も「米国のごり押しがニューノーマルとなっている世界で、時間を遅らせることなく最善の選択をした」と評価した。

 最終争点だった対米投資ファンドでも現金投資額を2000億ドルに、年間投資上限額を200億ドルに制限したのは、「現実的妥協案」に近い。トランプ政権の覇権的な通商圧力に対し、政府はやむなく次善または次悪を選択したのだ。元国立外交院長のキム・ジュンヒョン議員(祖国革新党)はこのことについて、「今後の履行過程で投資のスピード、頻度、強度の調節は韓国がしなければならない」と語った。首脳会談直後に米国のハワード・ラトニック商務長官が「半導体関税は今回の合意の一部ではない」と述べるなど、韓国政府の発表と食い違う主張を展開しているが、合意の履行過程で両者が食い違っても、断固たる態度を取るべきだということだ。

 11年ぶりの訪韓で関係回復に乗り出した中国の習近平国家主席との首脳会談も、おおむね第一歩としては成功だったと評価されている。韓中両国は2016年のTHAAD(終末高高度防衛ミサイル)配備事態に続き、尹錫悦(ユン・ソクヨル)政権時代に外交政策が米国に傾倒したせいで、疎遠な関係を続けてきた。期待されていた韓中自由貿易協定(FTA)の2段階格上げや「朝鮮半島の非核化」に対する確実な支持は得られなかったものの、「一口目で腹は膨れない(最初からすべてがうまく行くわけはない)」ということだ。習主席と李大統領は非公開の晩さんの席で冗談を言い合いながら、両国関係の進展について心を開いて話し合ったという。

 残るは限韓令(韓流制限令)の解除などの「進展した成果」へとつなげることだ。ホン元院長は「日本、米国との関係はかなり進展し、構築がうまくいったが、中国との信頼はまだ回復中なので、年末までの訪中を積極的に検討すべきだ」と述べた。

 外交界隈では、国益を確保するための李大統領の「実用外交」が発揮されるには、関係の扉を開いた中国と、同盟国に一方的な犠牲を強いる米国との間での「バランス外交」に集中すべきだとの声が聞かれる。ある外交消息筋は「米中間競争が激化すればするほど、肩入れを強いられることは避けなければならないが、そのためには両国関係を中間でうまく管理する知恵が必要だ」と語った。

オム・ジウォン、シン・ヒョンチョル、コ・ギョンジュ記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
https://www.hani.co.kr/arti/politics/bluehouse/1226957.html韓国語原文入力:2025-11-02 19:07
訳D.K

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