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「韓米極右、互いを『証拠』にして拡大…グローバルネットワークは歴史的に繰り返す」

登録:2025-09-19 08:50 修正:2025-09-19 09:49
④ 「確証バイアス同盟」専門家分析 
インタビュー|ボストンカレッジのチャールズ・ダーバー教授
英国の極右活動家トミー・ロビンソン(本名スティーブン・ヤクスリー=レノン)の支持者が13日(現地時間)、ロンドンで、ランボーの格好をさせた米国のトランプ大統領の描かれている旗を振っている。この日の右派集会は、反人種主義集会に対抗するために行われた=ロンドン/ロイター・聯合ニュース

 不正選挙、反中、反移民などを掲げた極右勢力の「蠢動(しゅんどう)」は韓米両国だけの問題ではない。米国の極右を中心とした世界的な極右ネットワークは、欧州や南米など、地域を問わず勢力を拡大しつつある。権威主義の拡大と抵抗運動を研究してきた批判社会学分野の世界的権威でボストンカレッジ社会学科教授のチャールズ・ダーバーさんは、「グローバルな極右ネットワークは歴史的に繰り返されてきた現象」だとして、「極右勢力は互いをモデルにしてきたし、同盟戦略によって権力を得てきた」と分析した。

ボストンカレッジのチャールズ・ダーバー教授//ハンギョレ新聞社

 ダーバー教授は今月8日(現地時間)のハンギョレの電話インタビューで、「MAGA(米国を再び偉大に)」に象徴される米国の極右運動が韓国をはじめとする多くの国の極右勢力と密接につながっている現象について、「1930年代のドイツ、イタリア、スペインのファシスト政権が互いを参考にして権力を強めたように、現在の米国の極右勢力もハンガリー、ブラジル、ポーランド、韓国の極右勢力と戦略を共有している」と説明した。同氏は「米国外の極右勢力は米国の極右を『正当性の根拠』とし、逆に米国の極右は他国の極右を『国際的証拠』として利用する」として、「極右勢力は自分たちの世界観と政治のやり方には絶対的な神の真理が含まれていると考えるが、他国でも自分たちと同じやり方で行動する人々を見れば『自分の世界観はどんな文化でも通じる』と考えて『確証バイアス効果』が最大化される」と説明した。これこそ、トランプ大統領の側近たちが「保守政治行動会議(CPAC)」のような国際イベントにハンガリーのオルバン首相、ブラジルのボルソナロ前大統領などの外国の極右人士を招いて「グローバルMAGA同盟」のイメージを追求する理由だ。

 極右勢力の同時多発的な出現と拡大について同教授は、「ほとんどの国がグローバル資本主義システムの下で似たような経済的、文化的圧力にさらされているのが理由」だと指摘した。「権威主義の根は経済であり、それは大衆を経済的資本と社会的資本のいずれにおいても極度に不安定にさせる」として、「欧州も米国と同様の圧力に直面しており、グローバルサウス(発展途上国)はそのような圧力にさらされて久しい」。それは「自分の国が滅びつつある」、「移民のせいで仕事がない」、「家族と宗教が崩壊しつつある」という共通の不安を刺激する。ダーバー教授は「極右勢力は『真の国民』の血統的、人種的な敵にこのような不安を投射し、支持層を結集させる」と分析する。

 また、「極右は、必要なら軍を動員してでも選挙と政党の構造を自分たちに有利なものにしようとする」と懸念を表明した。これは非常戒厳令を宣布した韓国だけの問題ではなく、トランプ政権も「治安の強化」を大義名分としてワシントンD.C.などの米国の主要都市に州兵を派兵している。また共和党優位の多くの州は、来年の中間選挙を前に、選挙区を共和党に有利な方向へと再編している。

 ユーチューブ、SNSのようなプラットフォームも極右のグローバル化の主な原因だと語る。極右的な陰謀論・扇動コンテンツが金になる環境が作られているからだ。このようなビジネスモデルは国境を簡単に越える。米国で生産された「不正選挙論」、「反中・反移民言説」は韓国、ブラジル、欧州などへと容易に移植される。その過程でプラットフォーム企業と極右主張の伝搬者は、国外からも後援金、広告料、購読料などの収益を得る。同氏は「技術がグローバル極右のインフラになっている」との懸念を示す。

 同教授は、これに対抗する進歩陣営の奮起を促した。「かつての進歩は国際連帯に根差していたが、米国民主党が階級問題を放棄して企業親和的なものへと変貌したことで中心を失った。特に米国は若年層で社会主義志向が高まっているにもかかわらず、それを組織化できずにいる」。「極右は金と組織、国家権力を握って世界的に動いている一方、進歩はそれを防ぐためのグローバル連帯をまだきちんと作り出せずにいる」との指摘だ。ただし同氏は「トランプの政策は彼の支持層にとってさえ破局的なものであるため、それに対する巨大な反対が存在しており、数百万人の市民がより良い体制を作り出すために立ち上がるだろうという希望がある」と付け加えた。

ワシントン/キム・ウォンチョル特派員 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
https://www.hani.co.kr/arti/politics/politics_general/1219570.html韓国語原文入力:2025-09-19 05:01
訳D.K

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