李在明(イ・ジェミョン)大統領が25日(現地時間)、ドナルド・トランプ米大統領との会談で「ペースメーカー」を買って出たうえで、トランプ大統領に「ピースメーカー」になってほしいと要請した。トランプ大統領は10月末、慶州(キョンジュ)で開かれる「アジア太平洋経済協力(APEC)首脳会議」に「出席したい」とし、「(金正恩国務委員長と)適切な形で会談を取り持つことを考慮できる」と答えた。
李大統領の「ピースメーカー、ペースメーカー」発言は、米国がリードし、韓国がそれを後押しする「北朝鮮に対する李在明流の韓米役割分担」戦略に基づいた「朝鮮半島平和プロセス」の始動だ。朝米首脳の2019年6月30日の板門店(パンムンジョム)会談のような「トップダウン」の首脳外交を試みることも可能だという意味だ。「ペースメーカー」はマラソンのような長距離競走で、記録が良い同僚のメダル獲得を助ける助力選手を意味する。
李大統領はホワイトハウスで生中継された会談で、「トランプ称賛」に力を入れた。 「欧州やアジア、アフリカ、中東などでの戦争に、(トランプ)大統領の貢献によって平和が訪れている」とし、「ピースメーカーとしての役割が実に目を引く」と述べた。これに対し、トランプ大統領は「すでに7つの紛争を終息させた」とし、「それを誇りに思う」と自慢した。李大統領は史上最高値を更新する米国株価指数に触れ、「米国を再び偉大にすることが(トランプ)大統領の夢だが、米国が偉大に変わってきているようだ」と持ち上げ、「(朝鮮半島)問題を解決できる唯一の人物がトランプ大統領だ。大統領がピースメーカーを担ってくださるなら、私はペースメーカーとして一生懸命支援する」と語った。
トランプ大統領は李大統領の「ピースメーカー」発言に鼓舞されたかのように、「私が大統領でなければ、朝鮮半島で核戦争が発生したかもしれない」と主張した。さらに「私は金正恩(キム・ジョンウン)委員長と現在も非常に良い関係を保っており、互いに尊敬している」とし、「適切な時期に金正恩委員長と再び会うことを待ち望んでいる」と述べた。トランプ大統領はまた「李大統領は韓国のどの指導者よりも北朝鮮問題を解決しようとする意志がある大統領」だとし、「北朝鮮に対して大きな進展を共に成し遂げることができると信じている」と述べた。李大統領が望んだ反応だ。
李大統領の「ペースメーカー」論は2018〜2019年の南北および北米首脳会談を推進した文在寅(ムン・ジェイン)元大統領の「韓国運転者論」とは異なるアプローチ。文元大統領は朝鮮半島問題の当事者として、韓国の主導性を強調した一方、李大統領のアプローチは米国を前面に押し出す戦略だ。 「朝鮮半島非核化」と「恒久的平和定着」という韓国の戦略目標認識に変わりはないが、寝ても覚めてもノーベル平和賞を狙うトランプ大統領の「欲望」や、当局対話が途絶え金正恩委員長の「敵対国関係」という障壁にぶつかった南北関係の困難などを考慮した、現実的なアプローチといえる。
これと関連し、ウィ・ソンラク安保室長は「初期構想段階」だとし、「今後(韓米間の)緊密な協議を経て具体化すべき課題」だと述べた。韓米首脳の共感を動力にして実行に向けた青写真を用意する方針を示した。
一方、トランプ大統領は「朝鮮半島非核化」の目標を強調した李大統領に応えるかのように「非核化は大きな目標であり、必ず達成しなければならない」と強調した。「核を絶対に放棄しない」という金委員長の態度に対し、一線を引いたのだ。トランプ大統領は「私はロシアおよび中国と議論し、朝鮮半島および国際社会の安保のために非核化を推進することが非常に重要だと強調した」とし、「ロシアはこれを受け入れる意志があり、中国も受け入れる可能性が高いとみている」と述べた。