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【韓国豪雨】盤亀台岩刻画、栗谷寺大雄殿…国家遺産への被害続出

登録:2025-07-21 02:26 修正:2025-07-21 07:31
19日午前の蔚山の盤亀台。盤亀川の増水で岩刻画の描かれている壁面が泥水につかっている=蔚山市提供//ハンギョレ新聞社

 ユネスコ世界遺産に登録されてからわずか1週間で、国宝の岩絵(岩刻画)が豪雨で増水した川の中へと消えた。4000~5000年前の先史時代の先祖たちがクジラや野生動物を狩る様々な様子を刻んだ蔚山(ウルサン)の盤亀川(パングチョン)にある盤亀台(パングデ)の岩刻画の数奇な運命だ。

 盤亀台の岩刻画は今月12日、フランスのパリで開催されたユネスコ世界遺産委員会で、盤亀川川前里(チョンジョンニ)の岩刻画と共に世界文化遺産リストに登録されたが、19日昼の集中豪雨で前を流れる盤亀川の水位が急激に上昇し、水没した。

 盤亀台の岩刻画は下流の泗淵(サヨン)ダムの水位が53メートルを超えると浸水がはじまるが、19日午前5時に53メートルを超え、午後1時過ぎには57メートルに達したため、岩絵の刻まれた壁面は水に完全につかった。岩刻画が水につかったのは、台風6号「カヌーン」に襲われた2023年8月以来、約2年ぶり。1971年に発見された盤亀台の岩刻画は、1965年12月に建設された泗淵ダムが増水する度に浸水してきた。2005~2013年には年平均で151日間も浸水状態となり、損壊が深刻化してきていた。

19日の豪雨による土石流の被害を受けた山清の栗谷寺。写真は大雄殿の付属施設=国家遺産庁提供//ハンギョレ新聞社

 慶尚、全羅、忠清地域を襲った豪雨は、現地の文化遺産にも大きな被害を与えた。19日の一日だけで300ミリ近い雨が降った慶尚南道山清(サンチョン)地域では、土石流で国家指定宝物の「山清栗谷寺(ユルゴクサ)大雄殿」の壁の一部が損壊し、周辺の付属施設も大きく破損する被害を受けた。土砂は、仏像を安置する大雄殿内部の仏殿の前まで押し寄せた。栗谷寺は新羅の敬順王(キョンスンワン)在位期の930年に建立された古刹で、現在の大雄殿は朝鮮中期の1679年に再建された、建築史上、朝鮮時代の重要な遺産だ。

 全羅南道宝城(ポソン)の国家登録文化遺産「宝城の安圭洪(アン・ギュホン)・朴済鉉(パク・チェヒョン)家屋」は母屋裏の石垣が崩れたため、立ち入りを制限して流失部分の復旧にあたっている。近隣の順天(スンチョン)の曹渓山(チョゲサン)麓の国の名勝「曹渓山松広寺(ソングァンサ)・仙岩寺(ソナムサ)一円」は進入路の約10メートルの区間の土砂が流出したため、被害区間に規制線が張られている。

19日の豪雨で土砂が仏像を安置する仏殿の横まで流れ込んだ山清の栗谷寺大雄殿の内部の様子=国家遺産庁提供//ハンギョレ新聞社

 17日と18日には、慶尚北道慶州(キョンジュ)の石窟庵(ソックラム)への進入路横の斜面と、忠清南道扶余(プヨ)の王陵園の一部の古墳の墳丘斜面が崩れ、忠清南道礼山(イェサン)の尹奉吉(ユン・ボンギル)義士遺跡と瑞山(ソサン)の開心寺(ケシムサ)境内の土砂が流出するなどの被害も報告されている。

 国家遺産庁が発表した16~20日の文化遺産の被害は20日午前11時現在で8件で、史跡3件、宝物2件、国宝、名勝、国家登録文化遺産が各1件。地域別では忠清南道4件、全羅南道2件、慶尚北道と慶尚南道が各1件。国家遺産庁は被害を受けた国家遺産周辺への立ち入りを禁止するとともに、自治体とともに二次被害を防ぐための応急対応作業をおこなっている。

ノ・ヒョンソク、チュ・ソンミ記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
https://www.hani.co.kr/arti/culture/culture_general/1208945.html韓国語原文入力:2025-07-20 17:03
訳D.K

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