北朝鮮に拉致された人の家族たちによる「拉北者被害家族連合会」が、北朝鮮に対するビラ散布の中止を公式に宣言する。しかし、北韓同胞直接支援運動などはビラ散布を続けるとの立場だ。
拉北者被害家族連合会のチェ・ソンリョン代表は6日のハンギョレの電話取材に対し、「李在明(イ・ジェミョン)政権を信じて、北朝鮮へのビラ散布を中止することにした」と述べた。拉北者被害家族連合会は、北朝鮮に対するビラ散布をおこなっている主要団体の一つ。同団体は8日午前11時ごろ、京畿道坡州市臨津閣(パジュシ・イムジンガク)の朝鮮半島生態平和総合観光センター2階の屋外休憩場で記者会見を行い、ビラ散布の中止理由を明らかにする計画だ。記者会見にはキム・ギョンイル坡州市長、共に民主党のユン・フドク議員らも参加する。
拉北者被害家族連合会は朴槿恵(パク・クネ)政権時代の2013年ごろに北朝鮮に対するビラ散布を中止したが、尹錫悦(ユン・ソクヨル)政権の発足後は「拉致された家族の情報を送る活動」と銘打ち、拉致被害者の写真や送還を求めるメッセージなどが印刷されたビラを風船にぶら下げて北朝鮮に送っていた。昨年10月と今年4月にも2度にわたって臨津閣から公開散布しようとしたが、軍事境界線近隣の地域住民らとの対立で実現していない。今年4月27日に坡州臨津閣、5月8日に江原道鉄原郡(チョルウォングン)、6月2日に坡州某所から非公開でビラを散布している。
チェ代表は「保守政権は口だけで、実質的な問題解決のためには努力しなかったが、李在明政権が南北対話などを通じた拉致被害者問題の解決の意志を示したため、北朝鮮に対するビラ散布を中止する」と語った。チェ代表は先月24日にチョン・ドンヨン統一部長官候補から慰労の電話がかかってきたことを明かした際に、「北朝鮮へのビラ散布の中止を検討する」と明らかにしていた。
坡州市などは8日に行われる記者会見で、その他の団体にも北朝鮮に対するビラ散布の中止を求める計画だ。ただし、それらの団体が応じるかどうかは未知数だ。拉致被害者の家族は南北対話を通じた家族の生死の確認と送還を重視して活動してきた一方、脱北団体は北朝鮮の体制を攻撃することを目的としていることが多いからだ。北韓同胞直接支援運動のイ・ミンボク代表は、政府の強硬対応や拉致被害者家族団体の立場の変化などについて、「ビラを散布したことをマスコミに公開してきた『偽物』を排除する機会」だとして、「非公開のビラ散布を続ける」と述べた。自由北韓運動連合のパク・サンハク代表も最近の他メディアとのインタビューで、「北朝鮮に対するビラ散布を続ける」と述べている。