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李在明リーダーシップ、「二度の進化」…行政家から政治家へと変貌させたもの(2)

登録:2025-07-05 06:58 修正:2025-07-05 08:13
[ソン・ハニョン先任記者の政治舞台裏] 
「口先だけの議会主義」尹錫悦の前轍を踏まないように
李在明大統領の自伝『李在明はやってのけます』//ハンギョレ新聞社

(1から続く)

■2022年の大統領選挙敗北後、行政家から政治家へ

 実に不思議なことです。李在明(イ・ジェミョン)大統領は本来、このように政治的感覚が優れた人だったのでしょうか。そうは思えません。政治家の優れた力量と感覚は生まれつきのものではありません。政治家も経験と鍛錬を通じて成長します。李在明大統領も同じです。

 李在明大統領は2017年、城南(ソンナム)市長時代、大統領選候補選びのための民主党の予備選挙に挑戦し、『李在明はやってのけます』という本を書きました。同書はこのように始まります。

  「私は恐れを知らない。大抵のことには動揺することもない。生まれつき度胸があるからではなく、人生のどん底から這い上がってきたからだ」

 そうです。李在明大統領は慶尚北道安東(アンドン)で小学校を卒業し、城南市に移り住んで少年工になりました。工場で労災事故に遭い障害者になりました。工場の管理者にひどく殴られました。2回自殺を図りましたが、失敗しました。そして、こう決心しました。

  「『死ぬ気で生きてみよう』。孫子の兵法における九地篇によると、『どうしようもなくなれば、戦うことになる』という一節がある。あの時の私がまさにそうだった。私はどうしようもないところまで追い込まれており、残ったのは人生の試練と戦っていく道しかなかった。私はこぶしを握って立ち上がった。持っているのは素手とまだ残っている一粒の希望が全てだったが、それを元手にして戦ってみようと思った」

 李在明大統領は中卒・高卒認定試験を経て中央大学に進学し、司法試験に合格しました。1989年、城南で弁護士になりました。城南参与連帯の執行委員長を務めるなど、市民運動に飛び込みました。法律知識で既得権勢力に対抗する「闘士」になったのです。

 しかし、限界がありました。だから、政界入りを決意しました。2004年、城南市立医療院の建設が実現しなかったことがきっかけでした。2005年に「開かれたウリ党」に入党しました。李在明大統領の20年の政治履歴をまとめると、このようになります。

2006年、城南市長に出馬し落選 
2008年、総選挙で城南市盆唐甲に出馬し落選 
2010年、城南市長に当選 
2014年、城南市長に再選 
2017年、大統領選予備選挙に出馬し落選 
2018年、京畿道知事に当選 
2022年、大統領選出馬で落選、国会議員当選、党代表当選 
2024年、国会議員再選、党代表再選 
2025年、大統領当選

 城南市長の8年間と京畿道知事の4年間、李在明大統領は地方自治体長として目を見張るほどの成果を出しました。この期間、彼が見せたリーダーシップは「行政家」のリーダーシップでした。行政家のリーダーシップのもと、2022年の大統領選挙に挑戦しましたが、失敗しました。

 李在明大統領はその後、国会議員になり、「共に民主党」の代表になりました。これがとても重要です。2度の国会議員と2度の民主党代表を務め、李在明大統領は政治家へと変わりました。

 行政家と政治家は似ているように見えますが、かなり違います。行政家は与えられた制度と環境で成果を出す人です。政治家は制度と環境を変える人です。

 制度と環境を変えることは改革です。改革するためには国民を説得しなければなりません。だからこそ政治家にとっては説得のリーダーシップが必要です。改革するためには、考え方が異なる集団と絶えず話し合い、妥協しなければなりません。必要なら譲歩もしなければなりません。

 革命より難しいのが改革です。革命は国民や市民が行いますが、改革は政治家だけができることです。私たちが李在明大統領に要求するのも、まさに改革です。

■政治家になれなかった尹錫悦氏は立派な反面教師

 重要なのは実践と持続性です。尹錫悦(ユン・ソクヨル)前大統領も就任6日目の国会での施政方針演説で、協力を強調しました。「いま大韓民国には、それぞれ志向する政治的価値は異なるが共同の危機を克服するために喜んで手を握ったチャーチルとアトリーのパートナーシップがいつにも増して必要だ」と言いました。「議会主義」という言葉を4回、「超党派的協力」という言葉を3回使いました。

 しかし、言葉だけでした。野党を無視して排除し弾圧しました。もともと協力や議会主義が何なのか全くわかっておらず、もっともらしい言葉を並べただけでした。なぜでしょうか。尹錫悦大統領は政治家ではなかったからです。李在明大統領の立派な反面教師と言えます。

 まとめます。李在明大統領は、企画財政部改革、検察改革といった難題を抱えています。既得権勢力は激しく抵抗するでしょう。李在明大統領は政治的リーダーシップを発揮して国民を説得し、制度や環境を変えることができるでしょうか。改革に成功できるでしょうか。皆さんはどう思われますか。

ソン・ハニョン政治部先任記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
https://www.hani.co.kr/arti/politics/politics_general/1205230.html韓国語原文入力:2025-06-29 18:46
訳H.J

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