内乱事件を捜査するチョ・ウンソク特別検察官チームが、尹錫悦(ユン・ソクヨル)前大統領の2回目の取り調べを前に、ハン・ドクス前首相ら国務委員を相次いで出頭させ、12・3非常戒厳宣布当日の「あの夜の国務会議」の状況の再構成を急いでいる。各国務委員が国務会議に出席したかどうかや経緯などを細かく再現すればするほど、尹前大統領の職権乱用権利行使妨害容疑と国務委員の内乱加担容疑が立証できるようになる、というのが特検チームの判断だ。
検察や警察などに国務委員が供述した内容を総合すると、尹前大統領は非常戒厳宣布を国務会議で審議する考えそのものがなかったとみられる。昨年12月3日、尹前大統領とキム・ヨンヒョン前国防部長官は、午後7時ごろにチョ・ジホ警察庁長とキム・ボンシク前ソウル警察庁長に三清洞(サムチョンドン)の安全家屋(秘密を守るために使用する一般家屋)で会った後、大統領室に移動。尹前大統領は午後8時前後にキム・ジョンファン前大統領室随行室長に「ハン・ドクス首相、チョ・テヨル外交部長官、イ・サンミン行政安全部長官、パク・ソンジェ法務部長官、キム・ヨンホ統一部長官を呼べ」と指示した。キム前室長はこのことをカン・ウィグ前付属室長に報告した。国務会議開催の定足数は11人だが、1回目の招集者全員が出席しても7人にとどまる。チョ・テヨン国情院長も招集されたが、国情院長は国務委員ではない。
ハン前首相は大統領室に到着し、非常戒厳を宣布すると尹前大統領に言われ、「国務会議を開き、国務委員の意見を聞かなければならない」と述べ、尹前大統領に国務会議での審議を進言した。そしてようやく尹前大統領は午後9時ごろ、キム前室長にさらに国務委員を呼ぶよう指示した。「2度目の招集対象者」はチェ・サンモク経済副首相、ソン・ミリョン農林畜産食品部長官、チョ・ギュホン保健福祉部長官、オ・ヨンジュ中小ベンチャー企業部長官、パク・サンウ国土交通部長官、アン・ドックン産業通商資源部長官の6人。尹前大統領はオ・ヨンジュ長官が午後10時17分に国務会議場に到着して過半数となると、一方的に「非常戒厳を宣布する」と述べた。アン・ドックン長官とパク・サンウ長官はまだ大統領室に到着していなかった。尹前大統領は5分間の国務会議での発言を終え、ブリーフィング室へと移動し、国民向け談話のかたちで非常戒厳を宣布した。イ・ジュホ社会副首相をはじめとする6人の国務委員には、国務会議への招集通知すらされていなかったという。
特検チームは、どのような理由で各国務委員の出欠が決められたのかを含め、当日の状況を一つひとつ再構成し、各国務委員が内乱に加担したかどうかも選別しているという。特検チームは今月2日にアン・ドックン長官とユ・サンイム科学技術情報通信部長官らを呼び出したのに続き、さらに他の国務委員も呼んで事情聴取を行う計画だ。元検察の弁護士は「尹前大統領には、当日の国務会議で非常戒厳に反対した長官の審議権を侵害した疑いを適用しうる。特検は、ひとまず検察や警察の事情聴取をまだ受けていない人物を中心として供述を得て記録を補強してから、尹前大統領を起訴すると思われる」と述べた。