「××(中国の蔑称)、北傀(北朝鮮傀儡)、アカども、大韓民国から早く消えろ」
ソウルの「リトルチャイナ」と呼ばれる広津区紫陽洞(クァンジング・チャヤンドン)の「羊肉串通り」の近くに住む会社員のPさん(33)は17日、仕事帰りに怪しい歌を歌うデモ隊列を見て驚いた。「科ジャン」(大学の学科のジャンパー)を着て太極旗を掲げた若者たちの一団が、中国人の多い住宅街の真ん中で嫌中の歌を繰り返していたからだ。
Pさんは18日のハンギョレの電話取材に対し、「中国人の多い町で嫌中デモをして露骨に摩擦を起こそうとしている極右青年たちを見て、日本の極右がコリアタウンでやる嫌韓デモが浮かんだ。大学の科ジャンを着た学生たちが堂々とヘイトスピーチをする様子は暴力的だった。中国人の隣人に見られたらとても恥ずかしいし、韓国が逆行しているような気がした」と話した。
彼らは尹錫悦(ユン・ソクヨル)前大統領が11日に官邸から退去する際、正門の最前列で尹前大統領を迎えた極右団体「自由大学」のメンバーたちだ。自由大学のメンバーたちは17日、ソウル地下鉄トゥクソム駅のそばに結集し、建大入口(コンデイプク)駅まで行進しながら「尹アゲイン」を叫んだ。大通りでのデモ行進の終了後、一部の参加者たちは住宅街の路地で夜遅くまで嫌中歌を歌った。
自由大学のSNSに投稿されたこの日のデモ行進予告には、「聖水(ソンス)に中国人が多かったぜ、行ってぶっ壊そうぜ」、「建大入口駅の路地裏の羊串××ども、ビビるだろうな」などの人種差別的なコメントがつけられている。
露骨なヘイトスピーチが行われる光景を、中国人住民たちも見守っていた。一部の中国人商人たちは、対立を誘導するかのような彼らの行動に対して「私たちに投票権があるというのか、何があるのか」、「自分たちの政治の話をなぜここに来てするのか」と声を強めた。中国人商人とデモ参加者の一部が物理的に衝突するなどしたため、警察も出動した。
このような露骨な「嫌中」デモは、日本の右翼団体が東京のコリアンタウンなどで繰り広げる嫌韓デモと類似している。東京の新大久保は韓国食堂や韓国の化粧品を扱う店などが立ち並ぶ代表的な韓流タウンで、日本では「リトルコリア」と呼ばれている。2012年に李明博(イ・ミョンバク)大統領(当時)の独島訪問の影響で日本国内の嫌韓が激化した際、日本の右翼団体は新大久保で嫌韓デモを頻繁におこなった。
専門家は、このような嫌中デモは典型的な「嫌悪拡散」への道筋だと指摘する。淑明女子大学のホン・ソンス教授(法学科)は、「特定のマイノリティー集団をオンライン上で嘲笑するにとどまらず、オフラインに登場して攻撃するのは、典型的な嫌悪拡散の道筋だ。このところ尹前大統領と一部の国民の力の政治家たちが露骨に嫌中をあおっていることが、このようなヘイトデモの背景にあると思う」として、「ある集団を攻撃する雰囲気が社会に定着すると、その次は新たなターゲットへと嫌悪を拡大する可能性が非常に高い。合理的な政治家たちが立ち上がって、嫌悪感情に断固とした態度を取る必要がある」と述べた。