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■総選挙「共に民主党175議席」…政権に審判下した民意
民意は厳しかった。「野党192議席、与党108議席」。4月10日の総選挙で与党「国民の力」は大韓民国憲政史で与党がかつて味わったことのない惨敗を記録した。第1野党である「共に民主党」は公認をめぐり物議を醸したにもかかわらず、175席を獲得し、政権審判の全面に出た。尹大統領夫人のキム・ゴンヒ女史のブランドバッグ受け取り疑惑、(海兵隊員)C上等兵殉職事件とイ・ジョンソプ元国防部長官のオーストラリア大使任命の波紋、尹錫悦(ユン・ソクヨル)大統領の「長ネギ1束875ウォン(約94円)はリーズナブル」発言などが重なった結果だった。「尹錫悦検察」の様々な捜査で2年間政治生命を脅かされてきた民主党のイ・ジェミョン代表は、総選挙の圧勝で党内の地位を確固たるものにし、次期大統領選挙への足場を作った。
政権2年目に迎えた記録的な惨敗は、尹錫悦政権に対する国民の怒りが臨界点に達したことを示す先行指標だった。しかし、尹大統領と与党は最後のシグナルまで無視した。「総選挙で現れた国民の意思を謙虚に受け止め、国政を刷新する」と言った尹大統領は、刷新の代わりに「戒厳」を選んだ。
オム・ジウォン記者
■アリセルの火災で移住労働者などが惨事
6月24日、京畿道華城市(ファソンシ)のリチウム電池メーカー「アリセル」の工場で火災が発生し、移住労働者18人など計23人が亡くなった。パク・スングァン代表が重大災害処罰法違反などの疑いで、息子のパク・ジュンオン総括本部長など役員が業務上過失致死傷などの疑いで裁判にかけられ、現在1審裁判を受けている。遺族の葬儀手続きは事故発生から132日後の11月3日に終わったが、会社と遺族間の補償協議は進展がないことが分かった。
アリセル惨事は違法派遣・偽装請負を通じた「危険の外注化」と、移住労働者に危険を転嫁する「危険の移住化」が同時に明らかになった事件だった。後続捜査で確認された事故原因は、安全義務を疎かにしたことによる「人災」だった。無許可の派遣業者から労働者を大勢派遣され、安全教育などもまともにせず、熟練が必要な電池製造工程に投入しており、国防部に電池を納品する過程で品質検査の試験データを捏造した事実なども明らかになった。
イ・ジョンハ記者
■小中高にまで広がるディープフェイク性犯罪
人工知能(AI)を基盤にイメージや音声を合成する技術「ディープフェイク」による性犯罪が、8月末に社会問題として浮上した。加害者は被害女性たちの写真を盗み、他人の裸体写真と合成して性犯罪物を作り、個人情報も一緒に流布した。小中高校にまでこのような性犯罪が蔓延しているという衝撃的な事実が明らかになってから、ようやく国会、政府が対策作りに乗り出した。合成性犯罪物を所持・購入・保存・視聴したり、流布目的が立証されていない作成行為を処罰する法が10月16日から施行され、テレグラムなど海外のプラットフォーム事業者の性犯罪物流通防止責任も強化することにした。2018年の盗撮拡散、2019年のテレグラム基盤の児童・青少年性搾取「n番部屋」事件に続き、ディープフェイク性犯罪まで、被害が深刻になった後になってやっとその場しのぎの対処が繰り返されている。ジェンダー暴力が技術発展と共に変化する様相を考慮した、総合的な対策準備が引き続き課題になっている。
キム・ヒョシル記者
■ピークに達した尹政権の放送掌握の試み
尹錫悦政権の放送掌握の試みがピークに達した一年だった。ファン・サンム前大統領室市民社会首席は「文化放送(MBC)」の記者の前で「MBCはよく聞いておけ」として、かつての「情報司令部による記者テロ事件」に言及し(3月14日)、事実上脅しをかけたことで波紋を呼んだ。放送通信委員会は報道専門チャンネル「YTN」の民営化を一方的に処理(2月7日)し、「リュ・ヒリム放送通信審議委員会」が設けた第22代国会議員選挙放送審議委員会は、MBCだけに17件もの法定制裁を下した。MBCの大株主である「放送文化振興会」の理事の任期満了(8月12日)を控えて任命されたイ・ジンスク放送通信委員長は、就任当日(7月31日)に放送文化振興会など公共放送の理事の交替に乗り出したが、2日後に国会の弾劾訴追案可決で職務が停止された。放送文化振興会の新たな理事任命は裁判所によってブレーキ(8月26日)がかかった。尹錫悦大統領は非常戒厳令を宣布(12月3日)し、「すべての報道機関と出版は戒厳司令部の統制を受ける」と宣言したが、これも志半ばで終わった。