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非常戒厳がすべて飲み込んだ2024年【今年の韓国10大ニュース】(2)

登録:2024-12-27 07:36 修正:2024-12-31 07:14
6月17日午前、ソウル鍾路区のソウル大学医学部ヤン・ユンソンホールで、ソウル大学病院の無期限休診宣言の記者会見が開かれる前、医師のガウンが机の上に置かれている=ペク・ソア記者//ハンギョレ新聞社

(1の続き)

■医学部定員2000人増員、医療騒乱の長期化

 韓国政府は2月、医師不足問題を解決するとして、医学部の入学定員を3058人から5058人へと2千人増やす医学部増員計画を発表した。予想を上回る破格の規模だった。医師らは拙速な推進だと激しく反発し、大型病院に勤めていた専攻医(インターン・レジデント)1万人余りが集団辞職した。医学部生たちも集団休学に入った。政府は専攻医に業務開始命令を下すなど強硬に対応し、医療界と政府の対立は極限まで進んだ。専攻医に依存して運営してきた大型病院には医療空白が発生し、患者は大型病院で診療を受けるのが難しくなった。医療改革の撤廃を要求する専攻医らはまだ戻っておらず、政府も退いていない。来年度の医学部増員規模は1509人に減り、現在募集中だ。集団辞職と休学の余波で、医師国家試験、専攻医に志願する人材が昨年の10分の1以下に減ったが、医療界と政府の対立は出口が見つけらないまま年をまたごうとしている。

イ・ギョンミ記者

尹大統領夫人のキム・ゴンヒ女史の公認介入疑惑と未来韓国研究所の違法世論調査疑惑などの事件の中心人物であるミョン・テギュン氏が14日午後、慶尚南道の昌原地裁に拘束前被疑者尋問(令状実質審査)を受けるために出頭している=キム・ボンギュ先任記者//ハンギョレ新聞社

■パンドラの箱になった「ミョン・テギュンゲート」

 9月、「(尹錫悦大統領夫人の)キム・ゴンヒ女史が4月の総選挙における与党候補公認に介入した」という初めての報道が出てきた。続く報道を通じて、慶尚南道地域の政治ブローカー、ミョン・テギュン氏が大統領選挙の時から非公開の世論調査などを通じて、尹錫悦(ユン・ソクヨル)大統領夫妻と深い関係を結んでおり、世論調査費用の代わりに2022年6月の補欠選挙の際にキム・ヨンソン前議員(国民の力)が公認を受けたという情況がさらに確認された。それ以降、尹大統領夫妻との親交を利用したミョン氏関連の疑惑は、各種選挙への介入と世論調査操作、公認・就職斡旋を名目とした金品授受、昌原(チャンウォン)第2国家産業団地の選定過程への介入など、多方面に次々と広がった。この過程でオ・セフン、ホン・ジュンピョ、パク・ヒョンジュン、パク・ワンス、キム・ジンテ、イ・ジュンソク、ユン・サンヒョン、チョ・ウンヒ、ユン・ハンホン、クォン・ソンドン、キム・ジョンインなど有力政治家たちの名前が取りざれた。昨年12月、慶尚南道選管委からキム前議員とミョン氏などの捜査依頼を受けたにもかかわらず捜査を先送りしてきた昌原地検は、ようやく捜査に着手し、今月3日に政治資金法違反疑惑でミョン氏を拘束起訴した。

チェ・サンウォン記者

秋夕連休の最終日である9月18日午後、ソウル鍾路区の景福宮で、韓服を着た子どもが上着をはだけて暑さをしのいでいる。気象庁は同日午前、江原道と京畿道北部を除いた全国ほとんどの地域に猛暑特報を発令した=キム・ヘユン記者//ハンギョレ新聞社

■暑すぎた秋夕、秋を襲った猛暑

 今年は史上最悪の猛暑が猛威を振るった1994年、2018年に匹敵する年だった。特に9月の「秋の猛暑」は初めての体験だった。秋夕(チュソク、旧暦8月15日の節句)の連休(9月16~18日)の気温は平年より8~9度高く、秋夕当日の最高気温の記録を塗り替えたところが全国で21カ所に達した。ソンピョン(秋夕に食べる韓国のおもち)が腐り、屋外プールがにぎわっていた。連休直後には、ソウルに観測史上最も遅い猛暑警報が出された。2010年以来14年ぶりのことで、特報の基準を体感温度に変えた2020年以降、一度もなかったことだ。欧州連合(EU)の気候監視機構は、今年の地球の気温が産業化以前より1.6度上がり、「歴史上最も暑い年」になるとの見通しを報告した。2015年のパリ協定で立てた目標値1.5度を越えた初めての年となった。一方、8月29日に韓国憲法裁判所は、2030年までに国の温室ガス削減目標を定めた現行法は未来世代の基本権を侵害しているという趣旨の憲法不合致決定を下した。アジアで初の「気候訴訟」判決だった。

パク・キヨン記者

12月19日午後、ソウルのハナ銀行のディーリングルームにウォン・ドル相場が示されている。同日のウォン相場(始値)の1453.0ウォンは、世界金融危機の2009年3月16日の1488.0ウォン(取引中)以来、約15年9カ月ぶりの最高値=キム・ボンギュ先任記者//ハンギョレ新聞社

■物価に続き為替相場まで不安…1ドル1450ウォン

 今年初めから不安な物価が庶民経済を締め付けた。上半期の物価上昇率は一時3%を上回り、特に2~4月は、野菜類など生鮮食品の物価上昇率が20%前後に達した。このような現実を知るや知らずや、大統領は「(長ネギ一束が)875ウォン(約94円)ならリーズナブルだと思う」という世間知らずの発言をし、これは4月の総選挙で与党が惨敗した原因の一つに挙げられた。幸い、下半期に入って物価は安定を取り戻した。

 その代わり、ドルあたりのウォン相場をめぐる不安が広がった。外国人投資家の相次ぐ売り注文がウォン安を煽った。一律関税の導入など一層厳しくなった保護貿易主義を前面に掲げたドナルド・トランプ共和党候補の米大統領選勝利の結果も、ウォンの価値を揺さぶった。そんな中で起きた「12・3内乱事態」は為替市場を直撃した。政治的な不確実性が経済リスクに転移しかねないという懸念が高まり、ウォン相場は一気に1450ウォン台まで急落した。世界金融危機直後の2009年と同じ水準だ。

キム・ギョンラク記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
https://www.hani.co.kr/arti/society/society_general/1174879.html韓国語原文入力:2024-12-26 07:33
訳H.J

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