検察が尹錫悦(ユン・ソクヨル)大統領に出頭を要請するとともに、内乱時に戒厳司令官を務めたパク・アンス陸軍参謀総長の拘束令状を請求するなど、「内乱の首謀者」尹大統領を標的とした直接捜査が加速している。警察も、ムン・サンホ情報司令官とノ・サンウォン前情報司令官を緊急逮捕した。憲法裁判所は16日に裁判官会議を行うなど、大統領弾劾審判に向けた準備手続きに着手する。
検察の非常戒厳特別捜査本部は15日、「11日に尹錫悦大統領に対して、15日午前10時に出頭するよう通知したが、出頭しなかった」として、「まもなく2度目の出頭通知を行う予定」だと明らかにした。
検察が送った出頭要求書には「内乱の首謀者」容疑が摘示されたという。検察は尹大統領が出頭しなかった理由を公開しなかったが、尹大統領は「弁護士選任が完了していない」という理由を挙げたと伝えられている。尹大統領はキム・ホンイル元放送通信委員長などを弁護士に選任することにしたが、弁護団全体の構成はまだ完了していない状態だ。 検察は、尹大統領の犯罪容疑は明確だとみており、16日に改めて出頭を要請する方針だ。
検察は、12・3非常戒厳で戒厳司令官を務めたパク・アンス陸軍参謀総長とイ・ジヌ首都防衛司令官についても、内乱重要任務従事容疑などで拘束令状を請求した。検察はすでに14日に、同容疑でクァク・チョングン陸軍特殊戦司令官の拘束令状を請求している。
警察の特別捜査団もこの日夜、ムン・サンホ情報司令官とノ・サンウォン前情報司令官を緊急逮捕した。ムン司令官は3日に中央選挙管理委員会に対する情報司令部の兵力の投入を指示した疑いが持たれており、ノ前司令官は共に民主党の「尹錫悦内乱真相調査団」によって戒厳令布告文を作成した人物だと推定されている。民主党真相調査団は14日に、「ノ前司令官はキム・ヨンヒョン前国防部長官と毎日電話するほどキム前長官と親交が深く、非常戒厳の際に情報司の要員の動員に中心的役割を果たした」と主張している。
憲法裁判所も、大統領弾劾審判の着手に向けた準備作業に入った。憲法裁は16日午前に尹大統領に弾劾審判請求書の謄本を送って事件が受理されたことを通知し、答弁書の提出を要請する計画だ。憲法裁は16日の初会議で、今回の事件の主審裁判官も決定する。憲法裁は2~4週間の弁論準備手続きを経て争点や証人名簿などを整理した後、審理を毎週行うとみられる。
尹大統領側は、できるだけ審判手続きを遅らせ、法廷期限の180日を使い切る方向で弁論戦略を練るものとみられる。だが、以前の大統領のケースとは異なり、早ければ1~2カ月以内に結論が出るだろうとの見方が有力だ。尹大統領の弾劾事由が内乱罪ひとつだけであるうえ、12月3日の非常戒厳宣布を前後した尹大統領の行動について、関係者の供述と証拠が十分に確保されているため、事実判断に多くの時間をかける理由がないからだ。
野党は、憲法裁に迅速な弾劾審判を求めた。民主党のイ・ジェミョン代表はこの日の国会での記者会見で、「憲法裁判所は尹大統領の罷免手続きを迅速に進めてほしい」とし、「それだけが国家の混乱を最小化する唯一の方法」だと述べた。