「一言で言って、とてもがっかりしています」
7日午前、ソウル中区(チュング)のソウル駅の待合室で、1時間ほど尹錫悦(ユン・ソクヨル)大統領の記者会見を見守ったイ・グァニョンさん(64)の評価だ。イさんは「疑惑と状況がこれだけ明らかになっているのに、答えを回避しているみたいだ。(尹大統領が記者会見を)やったことそのものは前向きにとらえるが、疑惑が解消されていないため失望している」と話した。
この日、尹大統領の記者会見がはじまった午前10時ごろ、ソウル駅の待合室のテレビの前には100人あまりの市民が集まっていた。大統領と夫人のキム・ゴンヒ女史をめぐる疑惑と摩擦の解消、大統領の本気の謝罪を期待する民意だ。音の出ない待合室のテレビに注目し、耳には生中継の音声が聞こえるイヤホンをするほど熱中している市民も少なくなかった。尹大統領が冒頭で「まず謝罪の言葉を申し上げる」と頭を下げると、市民のKさん(50)は「謝罪する姿勢らしく見える」と喜びながらも、「本当に謝罪なのかどうか、これから何を語るかを見守る」と話した。
時間がたつにつれ、疑問を呈する市民が増えていった。Kさん(57)は「また危機を抜け出そうとしてしばらく遅らせようとしているように聞こえる。昔だったら(疑惑が)一つだけでも非常に大きな事件だったが、今は大きな事件が多すぎて関心そのものがなくなるみたいだ。このような政治に耐性ができてしまうのではないかと、未来世代が不安でかわいそうだ」と話した。100人あまりいた待合室のテレビ前の市民の数は、午前11時を過ぎると30人前後に減っていた。
それぞれの日常の中で、生中継や報道で約2時間20分あまりの大統領の発言に接した市民も、特検受け入れなどの具体的な解決策のない空虚な謝罪、そして否定で一貫した釈明に失望を表した。在宅勤務中に自宅で記者会見を見たという会社員のKさん(37)は、「大統領に当選した瞬間からロビー活動の電話が殺到するのは分かり切ったことだが、初当選議員の電話に出る大統領だと自画自賛する部分では、『ミョン・テギュン・ゲート』に対する反省がないように思えた」とし、「キム・ゴンヒ特検法を政治扇動だと言ったり、『これから夫婦げんかをたくさんしなければならない』と言ったり、大統領の談話ではなく愛妻家の発言のようだった」と話した。
リアルタイムのニュースを追って大統領談話を見たという大学生のイ・シホンさん(24)は、「今回は真摯な謝罪をするだろう、反省するふりくらいはするだろうと期待したが、ごまかしてやり過ごそうとする姿勢にいっそう腹が立つ。キム・ゴンヒ女史の疑惑が出続けているのに、やましいところがないなら、なぜ『キム・ゴンヒ特検法』に拒否権を行使し続けるのか問いたい」と語った。
この日、主要な市民団体も大統領談話直後の立場表明で、各種の疑惑提起と支持率低下にもかかわらず危機感がみられない談話だったと厳しい評価を下した。参与連帯は「大統領に対する一抹の期待を裏切り、破局を招く談話」だとし、「50%を超える国民が下野と退陣、弾劾を要求していることが確認されている中、大統領の状況認識と対処は『国民世論に押されて謝罪はするが、私は自分の行くべき道を行く』だった」と批判した。経済正義実践市民連合も「釈明が非常に不十分なだけに、独立した真相調査機関が設置される必要がある」とし、むしろ特検の必要性がいっそう浮き彫りになったと評価した。ユン・アウト青年学生共同行動はこの日午後、ソウル龍山区(ヨンサング)の戦争記念館前での緊急記者会見で、「これが謝罪か」と問いつつ、「これは謝罪ではない。尹錫悦は退陣せよ」と声を強めた。