北朝鮮のキム・ソン国連大使は30日、国連総会の演説で、「我々は主権国家の合法的権利である我々の自衛権をめぐり、振り返ることも、遠い過去に戻ることもしない」とし、核保有国として認めることを求めるとともに、非核化交渉不可の方針を明らかにした。
キム大使はさらに「全朝鮮人民が血のにじむ闘争で成し遂げた我々の国威を巡り、誰とも取引するつもりはない」とし、米国との非核化交渉に応じない立場を再び表明した。また「米国で誰が政権を握っても、私たちは一介の行政府ではなく米国という国家的実体そのものを相手にする」とし、11月の大統領選挙で米国にどんな政権が発足しても、このような方針は変わらないと述べた。キム大使は、韓国と米国が北朝鮮の核の脅威に対応するとして発足した核協議グループ(NCG)については、「北朝鮮に対する核兵器使用の試みだ」と非難した。
キム・サンジン駐国連韓国代表部次席大使は、北朝鮮のキム大使の演説に対する答弁権を行使し、「問題の根本原因は、北朝鮮が安保理決議に違反し違法な核兵器と弾道ミサイルを開発するとともに、先制的な核攻撃を敢行すると脅して、朝鮮半島およびこの一帯の地域の緊張を高めていることにある」と反論した。
一方、韓米日専門家ネットワークの「トライフォーラム」が主催したシンポジウムに出席したロバート・オブライエン前大統領補佐官(国家安全保障担当)は、先日ラファエル・グロッシ国際原子力機関(IAEA)事務局長が「北朝鮮は事実上核保有国になった」と発言したことについて、「危険な質問」だと述べた。オブライエン前補佐官は「北朝鮮を核保有国として認め、ロシアや中国と同じ方式で軍備統制をしようとすれば、日本や韓国などはその時点で核兵器を持とうとしないだろうか」と語った。ドナルド・トランプ前大統領の側近であるオブライエン前補佐官のこのような発言は、トランプ前大統領が再び政権に就いた場合、北朝鮮を核保有国と認めて核軍縮交渉をしうるという指摘がなされる中で出たものだ。
オブライエン前補佐官はまた「私はクアッド(QUAD、中国に対抗する米日豪印4カ国の協議体)が拡張されるのを望んでいる」とし、クアッドに韓国を加えた方が良いという見解を示した。また韓国が加わった場合、協議体の名前を「クイント」(5者協議体)と呼ぶことができるとも述べた。