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子どもの世話のうえに家事まで?…「フィリピン家事労働者」業務協約を見ると=韓国

登録:2024-07-17 00:48 修正:2024-07-17 08:43
「同居家族のための付随的な軽い労働」含む 
業務範囲が曖昧、利用者との確執懸念
ゲッティイメージバンク//ハンギョレ新聞社

 今年9月からモデル事業として推進される「フィリピン家事管理士」たちは、「子どもの世話」だけでなく同居家族のための家事労働まで担うことになるとみられる。同居家族のための家事労働の範囲が曖昧なため家事管理士の業務が過重になることが懸念されるうえ、家事管理士とサービス利用者との摩擦が発生しうるとも指摘されている。

 16日に野党「共に民主党」のパク・ヘチョル議員が公開した「韓国とフィリピン政府との雇用許可制フィリピン家事管理士採用モデル事業に関する業務協約(MOU)」では、フィリピン家事管理士は子どもの入浴、着替え、おむつの取り換え、処方された薬の投薬、子どもの生活空間の清掃、洗濯などの業務を遂行することになる。これらの業務は「子どもの世話」とそれに付随する業務とみなしうるが、「同居家族のために付随的で軽い(incidental and light)家事サービス」も業務協約上の家事管理士の業務範囲に含まれている。

 このかん労働界は、フィリピン家事管理士の業務範囲を明確にすべきだと主張してきた。フィリピンの4つの労組連合体(FFW、KMU、SENTRO、TUCP)は民主労総と共に先月発表した声明で、「子どもの世話と家事に要求される職務能力は厳然とした違いがある」との理由で、「モデル事業が包括する職務は明確に世話のみと規定すべきだ」と要求している。だが、曖昧なかたちで同居家族に対する家事サービスが業務範囲に含まれたことで、これを懸念する声があがっている。

 韓国労総全国連帯労組家事ケア管理サービス支部のチェ・ヨンミ支部長はハンギョレに、「同居家族のための付随的で軽い家事サービスとは何なのかが分からない」とし、「結局、子どもの世話も家事労働もすべてやれという話だが、韓国語がつたない移住労働者にはそれを拒否することも容易ではないだろう」と述べた。民主労総も声明で、「サービス利用者の立場からは様々な仕事をさせる可能性が高いうえ、移住労働者の立場からはそれを拒否するのは難しいため、職務範囲をめぐる確執が発生しうる」、「脆弱な位置にある移住労働者に不当に労働が強要される恐れがある」と指摘した。パク・ヘチョル議員は、「フィリピン家事管理士の業務範囲についての意見の違いのせいで、かなりの(家事管理士とサービス利用者との)確執が十分に予想される」とし、「相対的弱者である移住労働者の立場を考慮すると、人権侵害や不当な労働の強要の問題などが発生する可能性が非常に高い」と指摘した。

 いっぽうソウル市と雇用労働部は、今月17日から来月6日まで、ソウル市民から外国人家事管理士の利用申請を受け付ける。満12歳以下の児童、出産予定の女性のいる家庭が対象。フィリピン家事管理士は来月入国し、4週間の職務に関する教育を受けた後、9月初めからサービスを提供する予定だ。

キム・ヘジョン記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
https://www.hani.co.kr/arti/society/labor/1149352.html韓国語原文入力:2024-07-16 17:13
訳D.K

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