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OECDの出生率が半分になる間に韓国は8分の1に

登録:2024-06-24 08:42 修正:2024-06-24 10:17
この60年間でOECDの合計特殊出生率3.34→1.51 
韓国6→0.78…3人目以降の出生児の割合「最下位」
ゲッティイメージバンク//ハンギョレ新聞社

 経済協力開発機構(OECD)加盟国の中で、韓国はこの60年間で出生率が最も下落していた。OECDは長期的な社会構造の改善の必要性を助言しているが、専門家たちは、政府が最近明らかにした少子化総合対策にはそのような対策が抜け落ちていると批判している。

■出生率は最低、出産平均年齢は最高

 20日にOECDが公開した報告書「図表で見る社会2024」によると、加盟国の平均合計特殊出生率は1960年には3.34だったが、2022年には1.51と半分で、過去最低となった。合計特殊出生率とは、1人の女性が一生の間に産むと予想される子どもの数で、人口を維持するには2.1以上である必要がある。

 加盟国の中で少子化が最も激しいのは韓国だった。2022年の時点でスペイン(1.16)、イタリア(1.24)、ポーランド(1.26)、日本(1.26)なども平均より低かったが、1未満は韓国(0.78)のみ。1960年には6.0だった韓国の合計特殊出生率は、2022年にはその8分の1ほどに落ちた。韓国は出生児に占める第1子の割合(57.0%)も最高だった。一方、第3子以降の割合は8.3%で最低で、唯一10%を超えていない。加盟国の平均は、第1子の割合は44.7%、第3子以降の割合は19.6%だった。韓国は外国より複数の子どもを持たない傾向が強いということだ。この傾向は、日本の出生率が韓国より高い理由を示しているとの分析もなされている。1975年生まれの女性を基準とすると、生涯子どもを持たない人の割合は日本が28.3%で、韓国(12.9%)より10ポイント以上高いが、日本は子どもを産む場合は第2子、第3子を産む可能性が韓国より高いため、出生率は韓国より高い。

 出産女性の平均年齢も韓国が最も高かった。加盟国の平均出産年齢は1980年には27.0歳だったが、2022年には30.9歳となっており、40年間で4歳高くなっている。一方で韓国は、2000年の29.0歳から2022年の33.5歳へと20年間で4歳以上高くなっている。韓国に続いて平均出産年齢が高いのはアイルランド(33.1歳)、スペイン(32.6歳)など。

■「長時間労働や性平等問題を解決すべき」

 報告書は、住居コストや経済的負担の増加、価値観の変化、女性にかかる仕事と世話の二重の負担などの複合要因が少子化の流れに影響を及ぼしたとしている。若者の経済的独立の難しさなどを主な原因の一つとしてあげてもいる。親と暮らす20代の若者の割合は、加盟国平均で2006年は45%だったが、2022年には50%へと上昇。韓国は20代の81%(2022年)が親と同居しており、加盟国の中で最も高かった。

 そのため、報告書には韓国についての記述が多い。報告書は、「幼児教育や子育てにかかる費用など、全般的な家族に対する支援の規模を拡大しているにもかかわらず、韓国は合計特殊出生率の下落を防げていない」とし、「長時間労働など、仕事と家庭生活を調和させることが難しい状況がその原因としてあげられる」と述べている。その他にも性別による役割の概念の変化、私教育(塾や習い事)費の高さ、労働市場の二重構造、有給の出産・育児休暇を利用しにくい環境などを指摘している。報告書はまた、少子化の解決策として性平等を強調しつつ、「出生率を懸念する国にとっての最善の策は性平等の促進、仕事と子育ての公正な遂行の奨励」だと助言している。

 出生率を向上させるためには、政府の政策だけでなく中長期的な構造の改善が必要だ、との分析も示されている。報告書は「公共政策は単独では効果を発揮できず、労働市場制度や職場の文化などと連係させる必要がある」とし、「どのような政策であれ、長期的な効果を発揮させるためには、人々にその政策が将来も実施されていると信じさせなければならない。一時的な政策だと受け止められると、政策の効果も短期的なものにとどまる」と指摘している。

 専門家も、政府の政策にはOECD報告書の示す視点が必要だと助言する。政府は最近、出産・育児休職の拡大などを含む少子化総合対策を発表しているが、「長時間労働の改善、性平等の推進、私教育費の抑制などの社会構造的な改革は含まれていない」との批判を受けている。仁荷大学のユン・ホンシク教授(社会福祉学)はハンギョレに「OECD報告書は、政策や制度の変化だけでなく労働市場などの社会構造の変化をバランスよく追求してこそ少子化に効果があるとしている」とし、「最近の政府の政策は、構造には触れずに今の正規労働者中心の仕事と家庭の両立政策を強化する方式となっているため、OECD報告書の方向性とは合わない面がある。労働市場の構造そのものが、仕事と家族生活が両立できるような条件にならなければならない」と語った。

ソン・ジミン記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
https://www.hani.co.kr/arti/society/rights/1146083.html韓国語原文入力:2024-06-23 19:11
訳D.K

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