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チョ元法相インタビュー…「海兵隊員捜査への不法介入見つかれば、弾劾事由」(2)

登録:2024-05-16 06:38 修正:2024-05-16 10:16
ソン・ウォンジェ論説委員の直撃インタビュー 
祖国革新党のチョ・グク代表
祖国革新党のチョ・グク代表が10日午前、ソウル汝矣島の党本部でハンギョレのインタビューに応じている=キム・ヘユン記者//ハンギョレ新聞社

(1から続く)

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■「ディオールバッグ捜査」、賄賂罪を立証するための家宅捜索がカギ

―最近、検察がブランドバッグ捜査に乗り出した意図は何だと思うか。

 「イ・ウォンソク総長が厳正に捜査すべきだとして、検事3人を派遣した。第一に、なぜ総選挙前にはそのような指示をしなかったのか、少し滑稽だと思う。法理的にみると、キム・ヨンラン法では配偶者は処罰対象ではないということだが、賄賂罪の問題が残っている。職務の関連性があるかどうかを追及しなければならないが、それを立証するためには直接取り調べる他にも、事件現場の家宅捜索が必要だ。第二に、そのディオールのバッグを、大統領室は大統領記録物として保管していると主張しているが、実際、いつそのディオールのバッグをキム・ゴンヒ氏が報告して保管したのかを確認しなければならない。そのためには総務秘書官室、警護室など大統領室を家宅捜索しなければならない。それを通じてディオールバッグを受け取った直後に記録物として返還したのか、チェ・ジェヨン牧師が暴露した後に返したのかなどを確認しなければならない。また、ディオールバッグをキム・ゴンヒ氏が使ったかどうか、商品のタグ、価格表などを切り取ったかどうかなどを非常に細かく確認しなければならない」

―尹大統領本人にとって喫緊の課題は海兵隊員特検だ。何を明らかにすべきだと思うか。

 「海兵隊員C上等兵殉職事件の捜査記録を慶尚北道警察庁に渡してから回収する過程で、イ・シウォン公職綱紀秘書官が国防部のユ・ジェウン法務管理官に電話したことが確認された。ユ法務管理官はイ秘書官が自分に報告書の提出を求めたという供述をしたと報道された。イ秘書官がユ管理官に何を言ったのか、同時にイ秘書官はこの事実をいつ誰に報告したのかを明らかにしなければならない。当時は民情首席はおらず、秘書室長は関連の業務報告を受けていないという。イ秘書官と尹大統領の私的な関係からみて、直接報告と指示が行われた可能性が非常に高いとみられる。

 また、問題の出発点に戻って、尹大統領が海兵隊捜査団の捜査結果に対して激怒し、(国防部長官を)叱責したかどうかを確認しなければならない。尹大統領が電話をしたり、呼んで大声を上げたりした人を探し、何を言ったのかを確認しなければならない」

―イ・ジョンソプ国防部長官(当時)に「こんなことで師団長を処罰すれば、大韓民国で誰が師団長(の業務)ができるのか」と叱責したという報道があった。

 「その過程で尹大統領がどんな役割を果たしたかが確認され、捜査に不法介入したことが確認されたら、まさに弾劾理由だと思う。これを尹大統領自身がよく分かっている。本人がかつてウ・ビョンウ首席秘書官などを捜査した時、大統領府が捜査に介入または指揮をするのは不法だと述べた。職権乱用に対する起訴と処罰は、任期中は不可能だが、弾劾はいくらでもできる。あまりにもよく分かっているからこそ、あらゆる方法で何が何でも特検を阻止しようとしているのだ」

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■尹大統領、「弾劾の可能性」分かっているからこそ、何が何でも阻止

―記者会見で海兵隊捜査団の捜査結果に対して国防部長官を叱責したかという質問があったが、尹大統領は「なぜ無理な救助作戦を展開したのかと叱責した」と、とんちんかんな答弁をした。

 「その答えを間違えると大変なことになることを分かっているのだ。元検事であるため、答えた瞬間すぐに問題になることが分かっているからこそ、意図的に的外れな答弁をしたのだ」

―大統領室で最近、民意聴取を理由に民情首席室を復活させた。

 「政権についた直後に民情首席室を廃止した理由はいくつかあると思う。民情首席室の主な役割の一つが、大統領の親族管理と統制、牽制だ。キム・ゴンヒ女史を監視する役割であり、それがとても嫌だったようだ。今、民情首席室を復活させると言いながらも、親族の監視機能には全く触れていない。それでは、キム・ジュヒョン首席秘書官をなぜ連れてきたのか。総選挙前までは、ハン・ドンフン(前法務部長官)をすっかり信頼していた。だからこそ(与党の)非常対策委員長まで任せたのに、総選挙の過程で失敗した。また、検察でも(ブランドバッグ捜査など)あえて謀反をしようとするような動きがあったから、検察総長より9期も上の先輩を連れてきて抑え込もうとしている」

―結局、検察掌握用ということか。

 「民情首席が検察の人事検証権を握っているからだ。これからは少しでも意見の相違があったり、尹大統領夫妻などに対する捜査を徹底的に行おうとした場合は左遷させるだろう。迂回的な方法で捜査に介入する可能性もある。人脈があまりにも多いから」(実際、このインタビューから3日後の13日に行われた検察人事では、キム・ゴンヒ女史のブランドバッグ受け取り事件と株価操作疑惑などを指揮するソウル中央地検長と第1次長、第4次長検事が一気に入れ替えとなった。キム女史を呼んで取り調べを行う必要性を主張し、大統領室と対立したとされる彼らの代わりに、尹大統領の検察総長時代に報道担当を務めるなど忠誠度の高いイ・チャンス全州地検長を任命したとみられている)

―尹大統領とハン・ドンフン前非常対策委員長の関係は実際にこじれたと思うか。

 「例えるなら、離婚はしていないが、別居に入った状態であり、やり直すのは容易ではないと思う」

―20年来の関係がなぜそうなったのか。

 「その出発点はキム・ギョンユル非常対策委員のマリー・アントワネット発言だろう。実際、キム・ゴンヒ・リスクを取り除こうというのが、ハン委員長個人の意見でもあったようだ。それがキム・ゴンヒ氏の機嫌をかなり損ねたのだろう」

―祖国革新党の交渉団体の構成は難しくなったようだ。

 「今のところ足踏み状態だ。まず申し上げたいのは、交渉団体の問題は朴正煕(パク・チョンヒ)大統領時代の残滓だ。それ以前は合わせて10議席だったが、朴正煕政権が20議席へと2倍に引き上げてしまった。また、選挙の過程でその問題を真っ先に取り上げたのは当時の民主党の状況室長で、民主党は政治改革の課題として院内交渉団体の要件を減らすと述べた」

―(共に民主党の)イ・ジェミョン代表と会って協力を要請しなかったのか。

 「その話はしていない」

―民主党が変わったのは牽制心理のためだと思うか。

 「牽制心理はあると思う。政党の論理からして分からなくもない。自力でゆっくりと時間をかけて単独または共同院内交渉団体を作るために努力するつもりだ」

―議席の限界が明らかだが、どうやって進めるのか。

 「来年の政治日程を経て、一定の変化が生まれると思う」

(3に続く)

ソン・ウォンジェ論説委員 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
https://www.hani.co.kr/arti/politics/politics_general/1140603.html韓国語原文入力:2024-05-15 20:59
訳H.J

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