講義中に日本軍「慰安婦」のことを性売買女性にたとえたうえ、学生にセクハラ発言をおこなったリュ・ソクチュン元延世大学社会学科教授に対する懲戒は妥当だとする判決が、最高裁で確定した。
最高裁3部(主審:ノ・ジョンヒ最高裁判事)は、リュ元教授が教員訴請審査委員会の決定の取り消しを求めて起こしていた訴訟で、原審の原告敗訴判決を9日に審理不続行棄却とすることで確定したと12日に明らかにした。審理不続行棄却とは、上告対象ではないと判断される事件をそれ以上審理せずに棄却すること。
リュ元教授は延世大学に教授として在職中だった2019年9月、発展社会学の講義中に日本軍「慰安婦」のことを売春行為の従事者になぞらえる発言をおこなった。これに対してある学生が「日本軍が仕事を紹介すると言ってだまして被害者たちを連れて行ったという証言がある」との趣旨の反論を行うと、リュ元教授は学生に「気になるなら一度やってみますか?」と発言して物議を醸した。
事件後、延世大学学生会は「学生に性売買を勧めるもので、人格の冒とくでありセクシャルハラスメントだ。リュ氏を授業から全面排除せよ」とする声明を発表し、教員懲戒委員会は翌年7月にリュ教授に停職1カ月の処分を下した。リュ教授は1カ月後に定年退職した。
リュ元教授は訴訟の過程で、自身の講義での発言について「『気になるなら学生が自ら(日本軍『慰安婦』の)研究をしてみるか』という意味であって、売春をしてみろという趣旨ではなかった」と抗弁したが、一審二審ともにこれを認めず、リュ元教授の発言をセクハラと判断した。懲戒の手続きや重さも問題がないと原審は判断している。
リュ元教授は自身のユーチューブチャンネルの紹介にも「気になるなら(チャンネル登録、いいね)一度やってみますか?」と記している。
リュ元教授は「慰安婦は売春の一種」という発言で起訴されてもいるが、一審で無罪判決を受けている。検察はこれを不服として控訴し、現在は二審が行われている。