授業中に日本軍の「慰安婦」を売春女性に喩え、学生にセクハラ発言をしたとして懲戒を受けたリュ・ソクチュン前延世大学社会学科教授が、懲戒を不服として起こした訴訟で敗訴した。韓国の裁判所は、リュ氏の発言がセクハラに当たるため、懲戒は妥当だと判断した。
28日に行った本紙の取材によると、ソウル行政裁判所行政14部(イ・サンフン裁判長)は24日、リュ氏が教員訴請審査委員会を相手取り、「懲戒処分の取り消し」を求めて起こした訴訟で、原告敗訴の判決を言い渡した。
リュ氏は延世大学教授だった2019年9月、発展社会学の講義で、日本軍「慰安婦」を売春行為従事者に喩える発言をした。これに対し、ある学生が「日本軍が仕事を紹介すると騙し、被害者を連れていったという証言がある」と反論したところ、リュ氏は学生に「(真相が)知りたければ、一度やってみますか」と話したという。事件後、延世大学学生会は「(リュ氏の発言は)学生に売春を勧めるもので、人格冒涜であり、セクハラだ。リュ氏を授業から全面排除することを求める」という内容の声明を発表し、教員懲戒委員会は翌年7月、リュ氏に停職1カ月の処分を命じた。
リュ氏は訴訟で講義での発言について、「知りたければ、学生が直接(日本軍「慰安婦」)研究をしてみたらどうかという意味であって、売春を勧める趣旨のものではなかった」と抗弁したが、地裁はそれを認めなかった。同地裁は「リュ氏は同事件の発言の前後に、『慰安婦』女性と関連し、彼女らが基本的に売春行為に従事した者であるという趣旨の説明を行い、学生との質疑応答でも『売春』について言及し続けており、研究行為については言及していない」とした上で、「リュ氏の発言は受講生に『知りたければ、一度買春をしてみますか』という趣旨のものと受けとめられた。これは一般的な人に性的屈辱感や嫌悪感を与える行為であり、セクハラに該当する」と判断した
地裁はまた、リュ氏に対する停職1カ月の処分についても、重くないと判断した。同地裁は「旧私立学校法によると、この事件の懲戒処分は懲戒範囲のうち最低限を選択し、停職1カ月を言い渡したものだ。停職期間は夏休み中の2020年8月だったが、この期間には講義や行政業務などがなかったため、同事件の懲戒処分により大きな不利益を受けたとは考えにくい」と付け加えた。