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「尹錫悦退陣論」噴出…「野党200議席」の見通しの中、総選挙を揺さぶるか=韓国

登録:2024-04-02 21:02 修正:2024-04-09 10:47
「尹錫悦政権審判大会」が先月9日午後、ソウルプレスセンター前で開かれ、参加者が政府を糾弾している=キム・ギョンホ先任記者//ハンギョレ新聞社

 韓国で4月10日の総選挙を控え、「汎野党圏200議席圧勝論」が高まり、野党から一斉に尹錫悦(ユン・ソクヨル)大統領の退陣を示唆する発言があふれている。政権審判論が強力に作動する状況で、「一与多野(1人の与党候補に対して多数の野党候補が出馬)」構図の中、独自カラーをはっきり打ち出す競争まで加わったことに伴うものとみられる。しかし、ともすれば保守層の結集と中道層の離脱効果を招きうるという指摘も出ている。

 最も先頭に立って「政権早期終息」を叫ぶのは祖国革新党だ。先月3日に結党した祖国革新党は「尹錫悦検察独裁政権早期終息」、「3年は長すぎる」などをスローガンに、共に民主党公認波紋の影響で停滞した政権審判論の焚き付け役となってきた。祖国革新党のチョ・グク代表は先月31日、文化放送(MBC)の放送演説でも「尹政権の無能力、非道さ、無責任は夜が明けるまで羅列してもキリがない」とし「もう止めなければならない。(祖国革新党は)尹錫悦検察独裁政権の早期終息という国民の願いを代弁する」と述べた。祖国革新党が選挙で良い結果を得れば、尹大統領の退陣につながりうるというメッセージを示唆したのだ。ただし祖国革新党は「大統領弾劾は不法が確認されなければならない」とし、「弾劾論」には一線を引いている。

 祖国革新党が打ち上げた「退陣論」は、独自カラー競争に乗り出した野党全体に広がっている。最近、各種の世論調査で野党の勝利が見込まれ「200議席圧勝論」が公然と出回り、「改憲ライン」と「弾劾ライン」を確保できるとの見通しまで後押しされた結果だ。国会議員全体300人のうち200人が同意すれば、国会は改憲と大統領弾劾訴追に乗り出すことができる。さらには、「政権審判論」を越えるイシューがないとの判断もある。野党のある関係者は、「実際に選挙後に実行するかどうかにかかわらず、遊説現場で政権審判以上のメッセージはない。すべてのイシューを吸い込む最も強力なフレームだ」と説明した。

 巨大両党を全て批判してきた「新しい未来」のイ・ナギョン共同代表は2日、仏教放送(BBS)ラジオのインタビューで「議政対立」に言及し、「国民の怒りや心配をこれほどまでに知らない大統領ならば、途中で辞めた方が良いかもしれないと思うほどだ。このように国民を不安にさせ、実際に一昨日は3歳の子どもが救急救命室をたらい回しされて息を引き取ったこともあったが、こんな事態を大したことではないと思うならば、本当に大統領は退陣せよという声がますます大きくなるだろう」と批判した。事実上、弾劾論に足を踏み入れたのだ。

 野党第一党の共に民主党からも、尹大統領の弾劾を示唆し水位を越える発言が飛び出している。民主党の李在明(イ・ジェミョン)代表は先月、江原道春川市(チュンチョンシ)での演説で、「恐ろしい朴槿恵(パク・クネ)政権も、我々が力を合わせて権力の座から追い出したではないか。今回の総選挙は国民が主権者だという事実をはっきりと示す日だ」と声を高めた。

 緑色正義党は、弾劾の権限を国会ではなく国民に与えようと提案した。同党のキム・ジュヌ常任選挙対策委員長は同日の記者会見で、「法律家たちも政権審判の世論とは関係なく、弾劾の法的可能性については懐疑的な見方が少なくない」とし、「政権審判のための具体的で合理的な代案として(改憲を通じた)大統領に対する国民召喚制を提案する」と明らかにした。

 政権審判論を最も極端に受け入れるかたちが弾劾だが、こうした主張が10日の総選挙で野党全体の得票率を引き上げるかは未知数だ。「時代精神研究所」のオム・ギョンヨン所長は「大統領を懲らしめようという民意を越え、野党が傲慢で強引に映る場合、保守層は結集し浮動層は背を向けるだろう」と予想を示した。

オム・ジウォン記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
https://www.hani.co.kr/arti/politics/election/1134904.html韓国語原文入力:2024-04-02 19:34
訳J.S

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