「保健医療労働者たちもストライキの際、『必須維持業務』に従事する組合員たちは残す。国民の生命と安全を守るべき(専攻医たちは)団体行動を中止しなければならない」
3日、ソウル永登浦区(ヨンドゥンポグ)で開かれた「医師の現場復帰および国民公論化委員会の設置を求める」記者会見で、国民健康保険労働組合のキム・チョルジュン委員長は2週間にわたり集団診療拒否に出た医師たちの復帰を求めるとともに、「必須維持業務」に言及した。
労働組合および労働関係調整法(労組法)により、病院の救急・重症患者治療と手術、分娩などの業務は、停止された場合公衆の生命や健康などを著しく危険にさらす「必須維持業務」とされ、労働者の争議行為を制限し最小限の機能を維持するようにしている。病院労働者は正当な手続きを経てストライキをしたとしても、必須維持業務は続けなければならない。実際、看護師などの医療者で構成された保健医療労組は、昨年7月のストライキ当時、患者の生命と直結した手術室や集中治療室、救急救命センター、分娩室などの業務に90~100%の必須人材を残した。また、ストライキに参加した組合員6万人余りの内、約1万5千人が必須維持業務のために病院現場に残ったと語った。
しかし、専攻医たちは2020年の集団診療拒否当時とは違って、救急救命センターや集中治療室などで業務を維持せずに離脱した状態だ。これについて専門家たちは「原則的には」必須維持業務条項を適用するのは難しいという見解を示した。この条項は「争議行為」を一部制限することが趣旨だが、専攻医たちの集団行動を争議行為といえるかどうかについては、解釈が分かれるためだ。
専攻医は看護師などと違って労組を結成しておらず、これに伴い使用者(病院)側と必須維持業務協定も結んでいないため、労組法の適用対象ではないという説明だ。保健医療労組のパク・ミンスク副委員長は「患者の生命を救わなければならない医療関係者として、使命感が足りないのではないか」としつつも、「専攻医たちは使用者側と必須維持業務協定自体を結んでいない状況であり、労組法を適用するのは難しい。復帰を待つほかはない」と語った。
労働界は憲法上労働3権を保障し、労組法の必須維持業務条項自体を最小化し、水道や電気供給など「最小維持業務」に制限すべきだと主張してきた。必須維持業務条項の適用範囲が広く、ストライキ権を形骸化させるという理由だった。昨年4月、ティーウェイ航空のパイロット労組が、過度な必須維持業務基準がストライキ権を損ねるとして、調整を申請したのも同じ脈絡からだ。このため、専攻医たちの集団行動(争議行為)も生命権ではなく必須維持業務を理由に制限してはならないという主張もある。