政府による医学部定員増員に反発した専攻医の集団辞職により、手術の取り消しなど診療の空白の懸念が現実化している中、重症患者たちは「私たちは(今回の事態で)受け身の立場」だとし、「大韓医師協会(医協)、政府ともに患者の声を利用しようとしている」と批判した。
韓国重症疾患者連合会のアン・ソニョン理事は21日午前、韓国放送(KBS)ラジオの「チョン・ジョンチョルの電撃時事」に出演し、「(診療に支障が出ていることにより)患者と保護者の不安の数値がどんどん高まっている」としつつ、このように述べた。同連合会には韓国がん患者権益協議会、韓国多発性骨髄腫患友会、韓国ルー・ゲーリック連盟会、韓国アトピー重症連合会、韓国肺線維症患友会、韓国すい臓がん患友会の6つの患者団体が属している。
全国の100の病院で8816人(20日午後10時現在)の専攻医(インターン、レジデント)が辞表を提出し、7813人が病院を離脱したことで、患者への被害が相次いでいる。ソウル大学病院労組などが属する公共運輸労組医療連帯本部は、「命と直結する場所で働く専攻医の診療拒否により、6カ月も待っていた患者の手術予約が取り消されている」と述べた。サムスンソウル病院は直ちに行わなければならない手術を除いて20日は普段より手術を30%ほど減らしており、ソウル聖母病院も手術室、集中治療室、分べんなどは重症度に応じて対応する非常体制に入った。
これについてアン理事は「重症患者がいま最も心配しているのは、いつ頃きちんとした医療サービスや医療行為を受けられるのか(分からないということ)。(連合会に)患者から電話がかかって来て『とてもつらい、孤独だ、怖い、虚しい』と言われる」と語った。同氏は「予定が確かに入っていたにもかかわらず、ショートメッセージ一つ、電話一つで当然のように(診療や手術が)延期される。社会に対する恨みが真っ先に(患者の)体を傷つけ、健康に本当に悪影響が生じるだろう」と懸念を示した。
アン理事は「患者は受け身の立場」だとし、「医協、政府ともに患者の声を利用しようとしているのであって、聞こうとはしない」と声を強めた。今回の事態を前に、連合会にはいかなる通知も公文書もなかった、というのがアン理事の主張だ。「重症患者は自分たちが治療を受けていた病院の看護師を捕まえて哀訴している」とアン理事は付け加えた。
最後にアン理事は、医協に対しては「命を重視してほしい」、政府には「政府の役割は国民の命と安全を守ること」だと強調しつつ、両者の対話を求めた。