本文に移動

専攻医の辞職相次ぐ…韓国政府、「医師免許停止」で真っ向から対抗

登録:2024-02-20 07:00 修正:2024-02-20 07:53
大韓医師協会の執行部2人に行政処分を事前通知 
患者の不安高まり、市民社会から批判の声
19日、大邱のある大学病院で専攻医が辞表を手にしている/聯合ニュース

 韓国政府による医学部の定員増加計画に反発する専攻医(インターン・レジデント)が大量辞職などで医療現場から離脱し、「医療空白」が表面化している。政府は大韓医師協会の執行部2人に、医師免許停止の行政処分に関する事前通知書を発送した。さらに、専攻医に対しては「診療保持命令」などを下すと同時に、公共病院の活用などの非常診療対策を稼動することにした。市民社会からは、患者の生命を担保にした医師団体の集団行動を批判する声が高まっている。

 19日の保健福祉部と医療界の説明を総合すると、ソウル西大門区(ソデムング)のセブランス病院で応急室の病床が減り、手術の予定が半数になるなど、医療空白が生じている。患者の生命に直結する必須診療科・非必須診療科を問わず、専攻医が辞職に踏み切ったためだ。心臓内科の専攻医は1人も出勤しなかったことがわかり、当面は手術などの診療に支障が生じざるをえないことを示唆した。セブランス病院の関係者は「(新村(シンチョン)と江南(カンナム)の)応急手術は正常運営中だが、一部の診療科の手術は50%未満にまで減少した」と述べた。セブランス病院の1日の平均手術件数は約200件。国立がんセンターも、手術の実施に必要な麻酔痛症医学科の専攻医が勤務しておらず、一部の手術が延期された。20日からはソウル大学病院とサムスンソウル病院、ソウル聖母病院、ソウル牙山(アサン)病院などの専攻医も「辞表隊列」に合流する予定であるため、医療空白はさらに広がる見込みだ。

19日、ソウル市内のある大学病院で医療スタッフが移動している。この日、予告通り首都圏の5大病院を中心に専攻医が大勢辞表を提出し、一部は現場を離れ、医療現場の混乱が表面化している/聯合ニュース

 患者たちの不安も強まっている。大邱(テグ)広域市に居住し、夫のがん治療のために定期的にサムスンソウル病院を訪れるチェ・ヒスクさんは、「患者たちを担保にしてストライキを行うことは理解できない」として、「幸い、現時点では手術や診療のスケジュールは変わっていないが、不安だ」と述べた。新村セブランス病院で会った脳手術の患者のイ・ジヌクさん(52)も、「病棟のいろいろな場所で入院患者と保護者の『手術が延期された』という話が聞こえる」として、「急を要さない手術は確約なしで延期されているようだ」と述べた。

 政府は非常診療対策を用意する一方、診療拒否を続ける医師たちに対する強硬な対応方針を再度明らかにした。ハン・ドクス首相はこの日、政府ソウル庁舎で「医師の集団行動に対応する関係長官会議」を開催し、緊急ではない患者は近隣の病院に分散させ、地域医療院をはじめとする公共病院の診療時間を延長するなどの非常診療対策を打ち出した。

 保健福祉部は、これに先立ち発動した「集団行動教唆禁止命令」を破ったとして、大韓医師協会のキム・テグ非常対策委員長らに「医師免許停止の行政処分に関する事前通知書」を発送した。保健福祉部は、3月4日までに当事者の意見を提出させ、最終処分を決める予定だ。また、全国の専攻医全員に対して診療維持命令を下した。辞表や年次休暇を出す方式の診療中断を禁止する命令だ。医療法第59条は、国民の保健に重大な危害が発生する恐れがあるなどの場合、福祉部長官や市・道の首長が医療機関と医療関係者にこのような命令を下すことを可能にしている。法務部も「国民の生命と健康を脅かす違法な集団行動に対しては、法と原則により厳正に対応することを最高検察庁に指示した」と明らかにした。

 市民社会からも、専攻医の集団行動に対する懸念と批判の声があがっている。保健医療労組や参与連帯などが参加した無償医療運動本部はこの日、「(専攻医が)開院するときに備えてライバルを減らし、より多くの収益を保証されるために増員に反対することは、支持しがたい」と主張した。経済正義実践市民連合も「医療に従事する者として一抹の倫理意識があるならば、専攻医は決して患者と病院を離れてはならない」として、「専攻医の背後に隠れてこれらの違法行動を扇動して支援する医師団体(大韓医師協会)も、発言と行動をただちにやめなければならない」と要求した。

チョン・ホソン記者、キム・ユンジュ記者、オ・ヨンソ記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
https://www.hani.co.kr/arti/society/health/1128982.html韓国語原文入力:2024-02-19 23:10
訳M.S

関連記事