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龍山に100階建ての摩天楼を建設…ソウル市長の「ニューヨークの真似事」

登録:2024-02-06 06:27 修正:2024-02-06 07:44
龍山国際業務地区開発計画発表 
世界貿易センターを模した歩行文化空間 
展望橋、「ベッスル」のような造形物などを建設 
交通混雑の可能性高いのに、対策が不十分 
バランス開発・気候危機時代に逆行との指摘も
ソウル市のオ・セフン市長が5日、龍山国際業務地区が建設されるソウル龍山整備廠の敷地の現場を視察し、開発模型の前で関係者の説明を聞いている/聯合ニュース

 早ければ2030年、ソウル市の龍山(ヨンサン)に100階前後の摩天楼ができ、建物の45階を他の建物とつなぐ展望橋が作られる。ニューヨークの世界貿易センター(WTC)の地下を移したような歩行文化空間、ベッスル(ニューヨークのハドソンヤードに造成された蜂の巣状の構造物)のような造形物など、ニューヨークそっくりの開発計画で都市競争力を引き上げるという構想だ。日照権を侵害し、大きな交通混雑を招く超高層ビルの建築は、気候危機時代に逆行する開発である上、交通対策など現実性が足りないと指摘する声があがっている。

 ソウル市は5日、龍山(ヨンサン)駅でこのような内容の「龍山国際業務地区開発計画(案)」を発表した。2013年に資金不足や国際金融危機などでこの一帯が都市開発区域の指定から解除されてから10年ぶりのことだ。ニューヨーク最大の複合開発地であるハドソンヤードの4.4倍、日本の複合文化空間である六本木ヒルズの4.5倍に達する垂直都市を作るという構想で、土地を含めた公共事業費は16兆ウォン(約1兆7800億円)、民間開発まで含めて推算した事業費は51兆ウォン(約5兆6750億円)が予想される。公共が道路、公園など基盤施設を造成し、民間は個別の建物を建設する。来年、基盤施設の着工を始め、早ければ2030年には入居を始めるのがソウル市の目標だ。

 開発地区は国際業務ゾーン、業務複合ゾーン、業務支援ゾーンの3つに分けられる。中央に位置する国際業務ゾーンには100階内外のランドマークタワーが建てられ、最大容積率1700%まで高密開発ができるようにする。金融・情報通信技術企業を対象とするオフィスとマイス(MICE:Meeting、Incentive travel/tour、Convention、ExhibitionまたはEventの4つの頭文字を合わせた言葉)、ホテル、広域乗り換えセンターなどを造成し、ランドマークの頂上には展望施設とアトラクションなどを設ける計画だ。業務複合ゾーンは龍山電子商店街などと連係した人工知能(AI)、ビッグデータ業務および企業支援施設が入居し、業務支援ゾーンには住居・教育・文化施設などが入る。業務複合ゾーンの建物の45階にはソウル市内を無料で眺望できる「スカイトレイル」(展望橋)を設置する計画だ。

 開発地区の5分の1は都市計画施設に指定された公園と緑地を作るという構想も発表した。事業敷地面積の100%に達する「立体的緑地」を確保する計画だが、半分は建物の壁面や屋上を活用した緑地であり、実際に地上に公園として作られる緑地は20%程度だ。さらに、民間の公開公示を活用し、残りの30%を開放型緑地に造成する。

漢江から眺めたソウル龍山国際業務地区全景の鳥瞰図=ソウル市提供//ハンギョレ新聞社

 ソウル市が龍山国際業務地区開発に対する野心に満ちた計画を打ち出したが、現実性に欠けるという批判もある。特に、開発後、この一帯に予想される深刻な交通難に対する対策が不十分だという指摘だ。ソウル市は首都圏広域急行鉄道(GTX)のB路線、高速鉄道(KTX)龍山~束草(ソクチョ)、空港鉄道など龍山を通る公共交通路線をさらに4つ拡充し、公共交通分担率を現在の57%から70%まで増やすとともに、自動運転と都心航空交通(UAM)を活用する計画だが、バラ色の見通しだけで交通需要を管理できるかは不透明だ。韓国都市研究所のチェ・ウニョン所長は「人が多くなれば交通量が当然増えるが、自動運転シャトルバスなどを運営するからといって、人々が車に乗らないだろうという構想は現実性に欠ける」と批判した。

 公共性の確保も課題として残った。専門家たちは、公共性を保つための方策が足りないうえ、民間に過度な開発利益を集中させる計画だと指摘する。経済正義実践市民連合のチョ・ジョンフン土地住宅委員長は「公共の参加が公共性の担保手段ではなく、公共機関に基盤施設の費用を負担させ、基盤施設が造成された土地を民間事業者に売るということに過ぎない」とし、「開発利益の分配案や公共の土地を還収できる措置などは不十分だ」と指摘した。

 気候危機に逆行するという指摘も出た。ソウル市立大学都市工学科のチョン・ソク教授は「大韓民国は開発による炭素排出が非常に多い。フランスのパリも新開発を控えるなど、炭素ゼロ時代にこのような大型開発を進める国は珍しい」と語った。

ソン・ジミン、パク・タヘ記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
https://www.hani.co.kr/arti/area/capital/1127369.html韓国語原文入力:2024-02-05 23:41
訳H.J

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