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性売買ポータルに寄生する業者
性売買ポータルに掲載されている数百の業者の中から買春を希望する男性に選んでもらうためには、もっともらしいプロフィールと「満足した」という顧客の「レビュー」が必要不可欠だ。その隙間に入り込み、性売買業者専用のプロフィール作成業者や、レビュー代行業者なども盛んに営業している。斡旋者の番号にメッセージを送りつけてきた業者のうち、7社は性売買ポータルに載せるプロフィールへの「ホットな高クオリティーの出勤簿イメージ制作」などを約束していた。
この中のある業者に問い合わせてみると、写真形態のプロフィールは15万ウォン(約1万6600円)、動画を用いたプロフィールは20万ウォン(約2万2200円)で制作できるとの返事が返ってきた。この業者の関係者は「毎日予約が可能な性売買女性の名簿を業者に代わって性売買ポータルにアップする『業者ページ管理』サービスも、毎月15万ウォンにする」と宣伝に熱を入れていた。2社のレビュー代行業者から送られてきたメッセージには、「1件当たり5000ウォン(約554円)、最少6件」単位で「肯定的」なレビューを作成し、性売買ポータル内の掲示板にアップすると記されていた。
「買春者情報のデータベースを共有(販売)」する業者も「全国最大のデータベース保有」、「6千万のデータ確保」のような文言を掲げ、積極的な顧客誘致(メッセージ27件)をおこなっていた。アプリケーション(アプリ)のかたちで制作された買春者のデータベースは、数多くの性売買斡旋業者が性売買の過程で確保した買春者の連絡先を基盤としている。
データベース業者の関係者のB氏は、このアプリをインストールすれば性売買業者の携帯電話にかかってくる連絡先の所有者が「本物の」買春者なのか、電話を取ってはならない「出禁」客かどうかを判別できるよう、情報が表示されると説明した。同氏は「さらには、電話がかかってきた時にポップアップウィンドウに(性売買業者が買春者の連絡先を評価した)『いいね』、『嫌だね』の個数まで表示されるので、お客さんの性向まで把握できる」と話した。
さらにA氏によると、「偽装取り締まり」にあたっている警察の番号かどうかも判別できるという。ハンギョレがA氏から提示を受けたデータベースアプリには、全国の性売買業者が収集した連絡先の横に「警察の疑い」、「広域捜査隊」、「デカ、取るな」などの情報が記されていた。A氏は「ほとんどの偽装取り締まり警察はデータベースアプリで取り除ける。このアプリのおかげでただの一度も取り締まりにあったことはない」と語った。
取り締まりを知らせてくれるメッセージまで
データベース業者の中には、リアルタイムで「警察の取り締まり情報を提供する」とうたっているものもあった。斡旋者の番号に「警察取り締まり通知サービス管理者」と名乗ってメッセージを送ってきたある業者に連絡したところ、「警察のアプリをハッキングして警察のサーバとつながっている。出動報告書を確認しているため、警察の出動地域の住所や出動した警察官の顔までお知らせできる」と自信を示した。この業者は、具体的に「どのようにサービスが行われているのか」を尋ねると、「サーバー収容人数がいっぱいで締め切られた」とはぐらかした。
多くの性売買業者の取り締まり経験を持つソウルのある警察官は「警察のサーバと連動して実際の取り締まり情報を受け取ることは現実的に不可能。警察官の写真まで持っているなどというのはなおさら難しい」と断言した。しかし、性売買をする女性たちの話によると、警察と性売買業者が癒着している場合、警察の取り締まり情報が流出している可能性も十分あるという。
性売買女性のC氏は「警察や区役所の公務員などに賄賂を贈ったり接待したりして取り締まり情報を事前に受け取ったり、取り締まりを防いだりすることを『官作業』という。大きな業者はほとんど官作業をしている」と話した。C氏は7年間にわたってオフィステルなどの偽装型性売買店で働いてきた。C氏の言う通り2020年には、ソウルのある警察署の生活安全課風俗チームの警察官たちが管轄内のオフィステル型性売買業者から性接待を受けたり賄賂などを受け取ったりし、取り締まり情報を漏らしていたなどとして、懲役1年、執行猶予2年を言い渡されている。
専門家は、斡旋者の番号に送られてきたメッセージを通じて、かつてとは異なりオンラインを中心に性売買産業がさらに様々な分野へと規模を拡大している姿が明らかになったことに注目する。 ソウル市立タシハムケ相談センターのクォン・ギョンラン監視事業チーム長は、「オンラインを中心として性売買産業の領域が拡大していることで、取り締まりがはるかに難しくなっている。取り締まりが難しいものだから、性売買に飛び込む人がさらに多くなっている」と懸念を示した。 「性売買問題解決のための全国連帯」のイ・ハヨン共同代表も「警察が性売買ポータルを大々的に捜査して取り締まっても、実質的に処罰を受けた人は極少数。逆に得られる収益は多いから取り締まりをあまり恐れない」と指摘した。ソウル女子大学のミン・ガヨン教授(教養学部)はこれについて「政府は、性売買根絶の意志があるのなら、買春者の処罰を強化するなど、需要を積極的に遮断する戦略を用いるべきだ」と述べた。