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「CJ大韓通運は宅配労働者の実質使用者」二審でも判決…「黄色い封筒法」再推進の声

登録:2024-01-25 08:15 修正:2024-01-25 08:54
労働界「『黄色い封筒法』の正当性を確認」
全国宅配労働組合のチン・ギョンホ委員長(左)とサービス産業労組連盟のカン・ギュヒョク委員長が24日、ソウル高裁前での記者会見で、CJ大韓通運に直ちに団体交渉に応じるよう求めた後、抱き合っている。右は民主労総のヤン・ギョンス委員長=カン・チャングァン先任記者//ハンギョレ新聞社

 労働契約を結んでいなかったとしても、宅配労働者の労働条件に実質的かつ具体的な支配力を行使しているCJ大韓通運が宅配労働者との交渉に応じないのは不当労働行為に当たる。このような判決が一審に続き二審でも下されたことにより、特殊雇用・間接雇用労働者による元請け企業に対する交渉要求はよりいっそう力を得ることになった。昨年、尹錫悦(ユン・ソクヨル)大統領が拒否権を行使して雲散霧消した、いわゆる「黄色い封筒法(労働組合および労働関係調整法2、3条改正案)」を再推進すべきだとの声もあがっている。

 ソウル高等裁判所行政6-3部(ホン・ソンウク裁判長)は24日、CJ大韓通運が中央労働委員会の委員長を相手取って起こした不当労働行為救済再審判定取り消し訴訟の控訴審で、CJ大韓通運の控訴を棄却し、「CJ大韓通運は宅配労働者の労組法上の使用者に当たる」との判決を下した。これに対し、労働界は歓迎の意を明らかにした。労働条件を実質的に決める使用者は労組法上の団体交渉の義務を果たさなければならないとする「実質的支配力説」が裁判所で相次いで支持されたことで、「元請けの使用者性」を認めた法理が支配的になっている、との判断による判決だ。

 全国民主労働組合総連盟(民主労総)法律院のキム・ハギョン弁護士はこの日の判決直後、ソウル高裁前で行われた記者会見で、「裁判所はいわゆる実質的支配力説にもとづき、労組法上の使用者の範囲を判断した」とし、「下請け労働者の基本的な労働条件を実質的に支配する地位にある元請けは、団体交渉の拒否という不当労働行為をおこなってはならないということ」と語った。

 最高裁は2010年、下請け労働者に対する現代重工業の不当労働行為事件で、元請けの使用者性を初めて認めたが、政府はこの判決を「団体交渉の義務まで課した判決ではない」として否定してきた。これに対しソウル高裁は、団体交渉の主体としての元請けの使用者性を明確にしたのだ。

 注目されるのは、ソウル高裁が「不当労働行為は労働契約上の違法行為ではなく、集団的労使関係法(労働組合および労働関係調整法)に特有の違法行為」だと指摘したことだ。労組法上の使用者による不当労働行為を問う際には、労働基準法上の労働契約で判断される使用者基準を満たさなくてもよい、との趣旨だ。

 これにより、「実質的支配力説」の曖昧さを主張し「黄色い封筒法」を無力化した政府の主張は、さらに立場を失うことになった。「黄色い封筒法」は昨年11月に国会で可決されたにもかかわらず、尹錫悦大統領による再議要求権(拒否権)の行使で廃棄された。当時、雇用労働部は尹大統領に再議要求権の行使を建議した際に「(黄色い封筒法は)労働組合法の使用者の定義を『実質的、具体的に支配、決定』という不明確な概念へと拡大」し、「団体交渉義務の不履行時に刑事処罰の対象となる使用者の範囲が不明確になるため、罪刑法定主義の明確性の原則に反する」と理由づけした。昨年2月にCJ大韓通運に一審判決が下された際には、イ・ジョンシク労働部長官が「一審判決に過ぎない」と過小評価している。

 今回の判決で、「黄色い封筒法」の再推進世論が力を得ている。民主労総のヤン・ギョンス委員長は「尹錫悦大統領の拒否権行使は誤りであることが証明された」とし、「雇用労働部は、先頭に立って労働者の交渉権を遮り、妨害してきたというこれまでの自分たちの誤りを反省し、労働者の交渉権を保障するための実質的な措置を取るべき」と述べた。全国宅配労組のチン・ギョンホ委員長は「今やボールは元請けのCJ大韓通運と政府と政界に投げられた。次期の第22代国会では、第1号民生法案として黄色い封筒法を再推進することを強く求める」と述べた。

キム・ヘジョン記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
https://www.hani.co.kr/arti/society/labor/1125805.html韓国語原文入力:2024-01-24 20:26
訳D.K

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