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午前4時に配達中の60歳の配送労働者が死亡…横には3つの箱=韓国

登録:2023-10-14 00:34 修正:2023-10-14 07:51
クーパン・クイックフレックス労働者が未明の配送中に死亡 
「門の前に呼吸していない人」住民が通報
クーパン本社=資料写真//ハンギョレ新聞社

 未明に配送作業にあたっていた60代のクーパンの下請け配送労働者が遺体で発見された。

 ハンギョレが13日に京畿道の軍浦(クンポ)警察署や民主労総全国宅配労組(宅配労組)などに確認したところ、この日午前4時44分ごろ、京畿道軍浦市のある集合住宅の廊下で、クーパン・クイックフレックス労働者のPさん(60)が倒れているのが発見された。住民が「呼吸していない人が門の前に倒れている」と通報し、出動した救急隊員がPさんを近くの病院に移送したが、すでに死亡していたという。倒れていたPさんの頭の横にはクーパンのロゴが印字されたダンボール箱や保冷パックなどの3つの荷物があった。宅配労組によれば、Pさんのこの日の勤務時間は夜10時から朝7時までだった。警察は詳しい死亡原因を調べている。

 クーパン・クイックフレックスは、クーパンの物流配送子会社「クーパン・ロジスティクス・サービス(CLS)」が間接雇用方式で運営する配送職群。CLSは全国各地域の物流業者(代理店)と配送委託契約を結び、その業者が改めて1トントラックを保有する特殊雇用職の配送労働者とクイックフレックス契約を締結して配送を任せるという下請け構造になっている。

 宅配労組はこの日午後、ソウル汝矣島(ヨイド)の国会前で緊急記者会見を行い、「今回の事件が過労死であることが判明すれば、これは予見されていた惨事」、「クレンジング(CLSが提示した配送遂行率を満たせなければ、業務を受託した下請け業者から配送区域がはく奪される)という制度によって宅配労働者が(元請けに)抗議できないようになっている構造は、長時間労働と過労死を生む要因」だと主張した。配送1件当たりの手数料を受け取っている宅配労働者の立場からすると、配送区域を失うのは解雇に他ならないということだ。宅配労組や参与連帯などの67の市民社会団体からなる「宅配労働者過労死対策委員会」が今年4月に発表した「CLS労働実態調査」では、クーパン・クイックフレックス労働者の10人に3人(31.4%)が一日平均10時間以上働いていると答えている。

 宅配労組は国会国政監査にCLSの代表を証人として呼ぶことを求めて、12日から100時間の徹夜座り込みに突入している。彼らは「国会環境労働委と国土交通委の国政監査にクーパン代表を証人として呼び、長時間労働システムについて問うべきだ」、「国土交通部と雇用労働部も直ちに監督を行え」と述べた。国会環境労働委員会に所属する共に民主党のチン・ソンジュン議員は、「CLSには、産業安全保健に関する法などを十分に守ってきたのか国政監査で確認するとともに、対策を要求する考えだ」と語った。

 今回の死亡事件についてCLSは「故人はクーパンの勤労者ではなく、軍浦市所在の専門配送業者に所属する個人事業者で、警察が現在死亡原因を調べていると認識している」との立場を表明している。

キム・ヘジョン記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
https://www.hani.co.kr/arti/society/labor/1111988.html韓国語原文入力:2023-10-13 11:47
訳D.K

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