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韓米日、北朝鮮のミサイル警報情報をリアルタイム共有…「韓日同盟」解禁なるか

登録:2023-12-20 06:33 修正:2023-12-20 07:59
標的探知から座標確認まで「3カ国一体」に 
米主導のMDへの編入を強化…朝鮮半島の緊張高める恐れも 
尹錫悦大統領が19日、ソウル龍山(ヨンサン)の大統領室庁舎で開かれた国務会議で開会宣言をしている=大統領室提供//ハンギョレ新聞社

 韓国と米国、日本は19日、北朝鮮ミサイル警戒情報をリアルタイムで共有するシステムの稼動を開始した。国防部は共有システムの稼動で北朝鮮のミサイルに対する情報が豊富になり、キルチェーンの稼動などの対応に効果的になるだろうと期待を示した。しかし、韓国の米日密着と米国主導のミサイル防衛(MD)への編入を強化し、朝鮮半島周辺の緊張を高めるという批判の声があがっている。

 韓国国防部は同日、「(韓米日の)北朝鮮ミサイル警戒情報をリアルタイムで共有するシステムは、最近実施した事前点検を通じて完全運用能力が検証され、現在正常に稼動している」と発表した。北朝鮮は前日、固体燃料式の大陸間弾道ミサイル(ICBM)「火星砲18型」を発射した。

 3カ国首脳は昨年11月のカンボジア・プノンペンでの合意と今年8月の米キャンプデービッド会談で、年内に北朝鮮ミサイル警戒情報をリアルタイムで共有するシステムを稼動することで合意した。3カ国がリアルタイムで共有する警戒情報は、北朝鮮のミサイルの発射推定地点、飛行方向と速度、予想弾着地点だ。

 これまで韓米と米日軍事当局の間には、それぞれ北朝鮮が発射したミサイル警戒情報をリアルタイムで共有するシステムはあったが、韓日間にはそれがなかった。韓米は2016年から北朝鮮の核・ミサイル情報をリアルタイムでやり取りしている。米日も自衛隊のイージス艦や地上レーダーなどで確保したミサイル関連情報を在日米軍とリアルタイムで共有している。

 国防部は、北朝鮮に対する偵察監視手段と情報は多ければ多いほど良いという立場だ。国防部のホ・テグン国防政策室長は「18日の北朝鮮の火星18型の発射の際、3カ国が警戒情報をリアルタイムで共有したが、韓国にはない情報が日本にあった」と述べた。国防部は日本側の警戒情報が加われば、発射原点を早期識別し打撃する「キルチェーン」が効力を発揮できると期待している。しかし、リアルタイムで警戒情報を共有することで得をする側は、韓国よりは日本だという分析が多い。北朝鮮と東海(トンヘ)を挟んでいる日本からは、地球の丸さのため北朝鮮のミサイルが一定高度に上がるまでは探知が難しく、分析のミスが多い。

 一部では韓日両国が北朝鮮のミサイルに対応した2カ国間のミサイル警戒訓練まで実施しうるという見通しが示されている。韓米日共同訓練の拡大と制度化は「韓日同盟」構築をさらに早めることになりかねないという懸念もある。

 警戒情報の共有システムが韓米日の密着をより一層強化し、これに朝中ロが反発する緊張の悪循環を招くという見通しもある。韓米日は同日、来年から施行される多年間の3カ国共同訓練計画を樹立した。北朝鮮が大陸間弾道ミサイル「火星砲18型」を発射した当日、中国の王毅外相は北京で北朝鮮のパク・ミョンホ外務次官に会い、支持と信頼を示した。

 米国が主導するミサイル防衛体制に韓国が事実上編入されたという指摘もある。共有システムにより、米国を媒介に3カ国は北朝鮮のミサイルの標的探知と座標確認まで一体のように動く。中国とロシアはMDが自分たちを狙ったものだとみて反発している。

 共有システムが今後3カ国の統合迎撃手段の稼動につながる可能性もある。3国がリアルタイムで共有する警戒情報は探知-識別-追尾の段階だが、これに迎撃(発射)を加えればMDが完成する。これについて、ホ・テグン室長は「米国に向かうミサイルを監視・迎撃する兵器体系がない。MDへの編入(という主張は)は事実関係にそぐわない」と述べた。

 尹錫悦(ユン・ソクヨル)大統領は同日の国務会議で、北朝鮮の大陸間弾道ミサイル発射について、「北朝鮮政権は、自分たちの挑発がかえって自らにとってより大きな苦痛となることを痛感することになるだろう」と述べた。

クォン・ヒョクチョル記者(お問い合わせ japan@hani.co.kr )
https://www.hani.co.kr/arti/politics/politics_general/1121080.html韓国語原文入力:2023-12-2002:46
訳H.J

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