キム・スンヒ大統領秘書室儀典秘書官の小学3年生の娘が、同じ小学校の2年生の児童に全治9週間の傷を負わせたにもかかわらず、学校側は被害児童の保護者の転校要求に対し、クラス替えの処分のみを下したことが20日に明らかになった。野党が秘書官の権力を背景にした校内暴力もみ消し疑惑があると主張したことを受け、大統領室は直ちにキム秘書官に対する公職綱紀調査に着手した。
野党「共に民主党」のキム・ヨンホ議員は同日、京畿道教育庁などに対する国会教育委員会国政監査で、「3カ月前、キム・スンヒ秘書官の小学校3年生の娘が放課後に2年生の児童をトイレに連れて行き、リコーダーと拳で頭と顔を殴り、全治9週間の傷を負わせた」と述べた。
キム秘書官は尹錫悦(ユン・ソクヨル)大統領の夫人キム・ゴンヒ女史の大学院の同期で、キム女史の側近として知られる。昨年の大統領選挙当時、尹錫悦選挙キャンプの広報企画団長を務めたキム秘書官は、尹錫悦政権初期から大統領室儀典秘書官室の先任行政官を経て、今年4月に昇進し儀典秘書官として働いている。
キム・ヨンホ議員は「被害児童の両親は強制転校を要求したが、(校内暴力の発生から)2カ月後に開かれた校内暴力審議で、クラス替えの処分が下された。同級生でもないのに、クラス替えに何の意味があるのか」として、処分の実効性に疑問を呈した。特に「校内暴力委員会の審議結果によると、16点以上が強制転校であるのに、加害児童は15点で強制転校を免れた」とし、「被害児童の保護者は強制転校措置を負担に思った審査委員たちが点数を調整したのではないかという疑念を抱いており、加害児童の転校を求めている」と伝えた。
キム議員は国政監査の場で、キム秘書官の夫人のカカオトーク(メッセンジャーアプリ)のプロフィール写真も公開した。キム議員は「プロフィールのメイン画面にキム秘書官と尹錫悦大統領が一緒にいる写真が使われているが、この写真を載せた7月19日は学校長が緊急措置として加害児童の出席停止を下した日」だとし、「保護者と先生は(加害)児童の両親が誰なのか十分推察できたのではないか」と述べた。
続けて「さらに不適切なのは加害児童の母親の陳述だ。全治9週間の傷を負わせたにもかかわらず、『愛のムチ』だと思ったと記述した」とし、「あまりにも衝撃的だ。被害児童と家族に心からお詫びすべきだ」と指摘した。また「今回の事件がチョン・スンシン(前国家捜査本部長。子どものいじめ問題で辞任)、イ・ドングァン(放送通信委員会委員長)の子どものいじめ・校内暴力問題のように、権力型校内暴力のもみ消し事件にならないことを願う気持ちで、国政監査で公開した」とし、「キム秘書官の去就を見守る」と語った。
これと関連し、イム・テヒ京畿道教育監は「内容を十分考慮し、非常に厳正に教育的に処理されるようにする」とし、「京畿道教育庁が試験運営中の和解仲裁団がこの事件を担当できる余地があるかを検討する」と述べた。
イ・ドウン大統領室報道官は同日、ソウル龍山(ヨンサン)の大統領室で会見を開き、キム・スンヒ秘書官の娘の校内暴力疑惑について、「大統領室は直ちに当秘書官に対する公職綱紀調査に着手した」とし、「高位公職者として職位を不当に乱用したことがあるか、そして行動に不適切な部分があるかを調べることになる」と述べた。キム秘書官は21日に始まる中東訪問の日程から外された。