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金正恩委員長、「韓国全領土占領計画」を点検…南北の緊張高まる

登録:2023-09-01 06:27 修正:2023-09-01 07:47
金正恩朝鮮労働党総書記兼国務委員長が「29日、朝鮮人民軍総参謀部訓練指揮所を訪問し、南半部の全領土を占領することに総的目標を置いた演習参謀部の計画と作戦計画戦闘文書を点検したと、労働新聞が8月31日付で報じた/朝鮮中央通信・聯合ニュース

 金正恩(キム・ジョンウン)朝鮮労働党総書記兼国務委員長が29日、韓国領土占領を目的とした軍事計画を点検した。南北指導者が互いに「戦争」に触れ、緊張を高めている。

 北朝鮮官営「労働新聞」は8月31日、「金正恩同志が29日、朝鮮人民軍総参謀部訓練指揮所を訪問し、南半部(韓国)の全領土を占領することに総的目標を置いた演習参謀部の企図(計画)と作戦計画戦闘文書を了解(点検)した」とし、「総参謀部は米国と『大韓民国』軍部の悪党どもが全面戦争を仮想した大規模な合同訓練を行った状況に対応し、29日から全軍指揮訓練を組織した」と報じた。

 同紙は「金正恩同志が総参謀長から、戦争発生時に敵の武力侵攻を撃退し、全面的な反攻撃戦に移行し、南半部の全領土を占領することに総的目標を置いた演習参謀部の企図と作戦計画戦闘文書を了解した」とし、「金正恩同志は『米国と大韓民国軍部の悪党どもの軍事演習は彼らの反共和国侵略企図の明々白々とした暴露になる』と述べた」と報じた。「韓米の侵略」を前提にしてはいるが、「南部全領土の占領」は2012年の金総書記就任以来、前例のない挑発的な表現だ。

 統一部は「金委員長が韓米合同演習(8月21日~31日)を口実に韓国に対する軍事攻撃の意図を露骨に表わしたことを強く糾弾する」と批判した。統一部当局者は「金正恩政権発足後、『全軍指揮訓練』の実施および金委員長の『訓練指揮所』訪問に対する公式メディアの報道は今回が初めて」だと述べた。

 朝鮮半島の軍事対峙と緊張は、韓国が韓米合同軍事演習を、北朝鮮が「全軍指揮訓練」を行う中で、南北最高指導者が「戦争」に触れたことで、危険水域に近づいている。尹錫悦(ユン・ソクヨル)大統領は21日、夏の韓米合同軍事演習「乙支フリーダムシールド(自由の盾)」の開始に合わせた国務会議で、「北朝鮮は開戦当初から反国家勢力を活用した宣伝扇動で社会混乱と分裂を引き起こすだろう。北朝鮮は戦争目的を達成するために核(兵器)の使用も辞さないだろう」と述べた。元政府高官は「大統領の最高かつ最大の任務は国民の生命と日常を守ること」だとしたうえで、「情勢の緊張を下げる特段の対策が求められる」と語った。

朝鮮人民軍総参謀部が「30日夜、『大韓民国』軍事悪党どもの重要指揮拠点と作戦飛行場を焦土化させることを仮想した戦術核打撃訓練を実施した」と、労働新聞が8月31日付で報道した/朝鮮中央通信・聯合ニュース

 こうした中、朝鮮人民軍総参謀部は「30日夜、『大韓民国』の軍事悪党どもの重要指揮拠点と作戦飛行場を焦土化させることを仮想した戦術核打撃訓練を実施した」と明らかにした。北朝鮮は韓米合同軍事演習期間の30日、朝鮮半島における米国の戦略爆撃機B-1B編隊の展開に対し、「朝鮮民主主義人民共和国に対する核先制打撃企図によるもので、我々にとって深刻な脅威」だと主張した。北朝鮮は同日午後11時40分から11時50分まで順安(スナン)一帯から東海(トンヘ)上に短距離弾道ミサイル2発を発射したが、これを「戦術核打撃訓練」と主張したわけだ。

イ・ジェフン先任記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
https://www.hani.co.kr/arti/politics/politics_general/1106655.html韓国語原文入力:2023-09-01 02:44
訳H.J

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