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一日に猛暑・豪雨警報がいずれも発表される韓国の異常気象…その背景は

登録:2023-08-01 08:06 修正:2023-08-01 08:53
気象学者「極端な天気の加速が始まっている」
昼の気温が34度を超え、蒸し暑かった31日午後の大邱。ある会社員が日差しを遮るために傘を差して冷たい飲み物を飲みながら寿城区の道を歩いている/聯合ニュース

 韓国で「猛暑」と「極度の豪雨」が一日に交互に現れる異常気象が猛威を振るっている。朝鮮半島を幾重にも包んだ熱い大気が地面を熱し、それによって大気が不安定になることで各地が局地的な集中豪雨にみまわれている。集中豪雨がやんだ場所に残された湿気が再び太陽に熱され体感温度を引き上げるという悪循環が繰り返されている。湿気が多くて蒸し暑い、サウナを彷彿とさせる韓国の夏の気候は古くからの気象現象だが、「暑ければ猛暑、雨が降れば豪雨」のような極端な現象については、気象学者も懸念される水準だと口をそろえる。

 先月31日昼の最高気温が31~35度となり、全国のほとんどの地域で猛暑警報が発表された中、江原道と慶尚北道の一部地域には豪雨警報が発表された。前日昼に京畿道安城市古三面(アンソンシ・コサムミョン)で今年の韓国の最高気温38.9度を記録し、ソウル永登浦区(ヨンドゥンポグ)など西側の地域や京畿道一山(イルサン)などに1時間当たり50ミリ水準の「極度の豪雨」が降ったのに続き、極端な気象現象が相次いだのだ。

 気象庁は今月1日も全国の昼の最高気温が36度まで上がるなど猛暑が続き、京畿道北東部と江原道内陸および山地に5~40ミリのにわか雨が降るとの見通しを示した。

 今回の猛暑は、赤道付近から相次いで北上してきた台風5号「トクスリ」と6号「カヌーン」が暖かく湿った北太平洋高気圧を押し上げている一方、中国から南下した熱く乾燥したチベット高気圧が上に乗り、熱い空気層が大気の下層から幾重にも重なることで起きたものと分析される。気温の高い空気層が重なっていることから、一見すると朝鮮半島が停滞した「ヒートドーム」に閉じ込められているように見える。しかし、ヒートドームは特定地域で空気の流れが一時的に停滞し、その地域に日差しが照り付けることで気温が上がる現象であり、今回の猛暑をもたらした2つの巨大な気団の間には空気の流れが形成されているという点で多少異なる。

7月31日夜の気象庁警報。青が波浪、紫が猛暑=気象庁提供//ハンギョレ新聞社

 真昼の暑さが大気下層まで熱して大気を不安定にすることで、午後~夜を中心に局地的に大雨が降る日も続いている。とりわけ熱帯の太平洋の中心付近の海面温度が上がることで対流が強まるとともに、韓国付近で低気圧性循環が強まって南に大量の水蒸気が流入することで、雨はさらに激しくなる様相を呈している。

 にわか雨が降ると気温は一時的に下がるが、急激に高まった湿度は雨上がりの強い日差しによって体感温度をよりいっそう引き上げる。一例として、28日の江原道鉄原(チョルウォン)地域ではにわか雨が降る前は湿度が約60%だったが、にわか雨が降っている時には90%まで上がった。同じ条件であれば湿度が10ポイント上がる時、体感温度は1度上昇する。単純に計算すると、にわか雨がやんだ後には鉄原の体感温度は3度ほど上がっていたということだ。

 気象学者たちは、気候変動によってこのような極端な気象現象が加速していると懸念を示す。国立気象科学院のチョ・チョンホ元院長は「地球温暖化で地球の平均温度が高まると同時に気象の変動性が高まっているため、極端な天気が現れつつある」と語った。チョ元院長は「1940年代と比べて現在の降水量はほぼ10%増えているが、実質的にこの降水は夏場に集中しているため、春の干ばつと夏の豪雨が過去に比べて激しくなっている」と説明した。

 釜山大学のアン・ジュンベ名誉教授(大気環境科学科)も「今年も梅雨が長くなかったとしたら、(今よりひどい)極度の猛暑となっていた可能性もある」とし「気候変動シナリオより温暖化の水準が速まっているというのが可視的に見え始めている」と語った。アン教授は「過去100年あまりの(国内の気象)資料を見ると、夏の降水は亜熱帯気候で見られる局地性の集中豪雨、変動性の高い降水などのパターンへと向かっているうえに、降水が夏に集中する傾向がますます高まっている」と語った。

シン・ソユン記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
https://www.hani.co.kr/arti/society/environment/1102457.html韓国語原文入力:2023-07-31 18:19
訳D.K

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