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「強制動員と原爆の二重苦」被害者の遺族「供託拒否は父の遺志」

登録:2023-07-12 07:53 修正:2023-07-12 09:56
「第三者弁済」被害者の遺族が供託拒否の立場を発表 
イ・チュンシクさんの子「供託について、外交部からは電話もない」
11日午前、ソウル鍾路区の日帝強制動員被害者支援財団が入る建物の1階で、故チョン・チャンヒさんの長男とイ・チュンシクさんの家族がイム・ジェソン弁護士らとともに外交部の第三者弁済供託に対する立場を明らかにしている=キム・ヘユン記者//ハンギョレ新聞社

 「子どもの頃の記憶では、父(故チョン・チャンヒさん・三菱重工広島工場被害者)のいる韓国原爆被害者協会の事務所には、いつも警察の情報係の刑事が常駐していました。『日本に行ってでたらめを言うのではないか』という(警察の)監視の中でも父は屈せず闘争しました。日本政府と三菱から謝罪と補償を受けるのが父の遺志ですが、その権利を消滅させようという供託は全面無効です」

 11日にソウル鍾路区(チョンノグ)の日帝強制動員被害者支援財団前で行われた「第三者弁済供託に対する被害者側の立場発表記者会見」で、チョンさんの長男のチョン・ジョンゴンさん(66)はこのように語った。チョン・チャンヒさんは三菱重工広島工場で労役させられていたところ、原爆の被害を受けた。ジョンゴンさんは「政府は最高裁(大法院)の判決を第三者弁済というおかしなやり方で破壊してはならない」と述べた。

 会見には、日本製鉄強制動員の生存被害者イ・チュンシクさん(99)の長男のイ・チャンファンさん(67)と長女のイ・ゴウンさん(64)も参加した。イ・ゴウンさんは「日本であれほど苦労してきたお年寄りに対して、韓国は勝った裁判をごまかして供託している」とし、「外交部は私の父には(供託に関する)電話の一本も寄こしていない」と語った。チャンファンさんも「国は国民の権利を守らなければならない。最高裁の判決で私たちが得た権利を政府は最後まで守ってほしい」と述べた。会見には被害者であるヤン・クムドクさんの子どもたちも参加する予定だったが、豪雨のため参加できなかった。

 彼らは、第三者弁済解決策の受け入れを拒否した被害者と家族に対する供託措置の撤回を政府に求めた。供託とは、債権者との合意が難しい場合に、債務者が金銭などを裁判所に預けることで債務を免れる制度。最高裁で賠償を受けることが確定している強制徴用の被害者と遺族15人のうち11人は第三者弁済解決策を受け入れたが、イ・チュンシクさん、故チョン・チャンヒさんの遺族ら4人は受け入れを拒否している。政府は三菱重工や日本製鉄などの日本の加害企業にかかわる強制動員賠償問題の幕引きを図るため、今月初めに光州(クァンジュ)、全州(チョンジュ)、水原(スウォン)の地裁などに供託書を提出したが、裁判所は被害者側が第三者弁済を望んでいないとして「不受理」決定を下した。

 記者会見後、被害者の家族と法律代理人は、日帝強制動員被害者支援財団のシム・ギュソン理事長と20分間にわたり面談した。彼らはシム理事長に「なぜ政府は供託をしようとしているのか、供託によって、2018年の最高裁判決で被害者が得た債権を消滅させようとしているのか」などを問うたが、シム理事長は「みなさんの考えはよく分かる」と述べつつ、具体的な回答は行わなかった。

チャン・イェジ記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
https://www.hani.co.kr/arti/politics/politics_general/1099710.html韓国語原文入力:2023-07-11 19:34
訳D.K

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