本文に移動

強制動員被害者の「第三者弁済」受け入れ拒否に…韓国政府「供託強行」

登録:2023-07-05 02:08 修正:2023-07-05 11:22
//ハンギョレ新聞社

 韓国政府は3日、「第三者弁済」解決策を受け入れなかった日帝強占期の強制動員に対する賠償訴訟の4人の原告に対する判決金を裁判所に供託する手続きを開始した。韓国政府は日本の被告企業に代わって被害者に判決金を支給するかたちを取ることで、この問題の幕引きを急いでいる。被害者側は「違法で不当な措置」だと反発し、供託無効訴訟を起こすことを表明した。

 外交部は3日に発表した報道資料で「政府と日帝強制動員被害者支援財団の努力にもかかわらず、判決金を受け取らない、または事情上受領できない一部の被害者および遺族の方々について、供託手続きを開始した」と明らかにした。供託とは債権者が受領を拒否している場合に、金銭を裁判所の供託所に預けて債務を免れる制度。日帝強制動員被害者支援財団は判決金を渡そうとしたが、債務者が拒否していて渡せないため、代わりに裁判所に預ける手続きを始めたということだ。

 政府は3月6日、2018年に最高裁(大法院)で賠償確定判決を勝ち取った強制動員の被害者と遺族、合わせて15人に対する判決金と遅延利子を三菱重工、日本製鉄などの日本の被告企業に代わって日帝強制動員被害者支援財団が支給するという第三者弁済解決策を一方的に発表した。発表後、これまで10人の遺族と1人の生存被害者、合わせて11人が解決策を受け入れたが、2人の生存被害者と死亡被害者の遺族2人の合わせて4人は受け入れを拒否している。政府は最近まで、被害者の説得が優先されるとの態度を取ってきたが、解決策を拒否する被害者が少数となったことから、供託の強行に打って出たのだ。

 この日、日帝強制動員被害者支援財団が供託を行ったことで、三菱重工や日本製鉄などの日本の被告企業は判決が確定した訴訟から脱する条件が整った。先に外交部の高官は「被告企業が裁判所に提起し、判決金が支給されたのでもはや債務はないと裁判所で請求異議申し立てが確認されれば、それで日本の被告企業は法律的な意味から解除されると予想する」と述べている。

 この日、政府が供託を強行したことを受け、被害者側は「違法で不当な措置」だとして直ちに反発した。

 強制動員被害者の代理人であるイム・ジェソン弁護士は外交部前で記者会見を行い、「政府の解決策の本質は、被害者の判決と債権を消滅させるというもの。その中でも政府の解決策に反対する被害者の債権をなくすというもの」だと語った。キム・セウン弁護士は「財団は、第三者弁済を認めないとの意思を明らかにした被害者の債権に対しては弁済できない。本日の財団の弁済供託は債権者の明確な意思に反してなされたもので、効力がない」と述べた。

 被害者側は財団を相手取って訴訟を起こし、供託の無効を主張する計画だ。日本製鉄強制動員の被害者であるイ・チュンシクさん(99)の家族は代理人を通じて「人扱いされていないと感じる。父が望んでいるのは謝罪と日本企業による賠償だけだ。それを助けられないのなら、闘い続けられるようにしてくれるべきなのではないか」と話した。

 法曹界では、政府の解決策である第三者弁済を基盤として進められる供託は適法でないとする声が強い。

 民法第469条は第三者も債務を返済できると規定しているが、債務の性質または当事者の意思表示によりそれが認められない場合はその限りでないとの但し書きが付いている。当事者である被害者が反対している場合は、第三者弁済は不可能だという但し書きだ。

 外交部の関係者は「綿密な法的検討の結果にもとづき、第三者である財団が判決金を支給できるということについて検討が行われ、それに則って解決策が進められたもの」と語ったが、どのような法的根拠によって第三者弁済が可能になるのかは説明できていない。

シン・ヒョンチョル、チャン・イェジ記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
https://www.hani.co.kr/arti/politics/politics_general/1098564.html韓国語原文入力:2023-07-03 19:35
訳D.K

関連記事