本文に移動

「第三者弁済の不適法性、民法条項に明示…韓国政府は一体どんな法理検討をしたのか」

登録:2023-07-06 09:51 修正:2023-07-07 04:02
[インタビュー]日帝強制動員被害者代理人 イム・ジェソン弁護士
日帝強制動員被害者の代理人のイム・ジェソン弁護士=カン・ジェフン記者//ハンギョレ新聞社

 日帝強制動員被害者の代理人であるイム・ジェソン弁護士(法務法人ヘマル)は4日、ソウル市内のあるカフェで行われたハンギョレとのインタビューで、光州(クァンジュ)地裁がヤン・グムドクさん(94)に対する日帝強制動員被害者支援財団(財団)の供託を受け入れなかったことについて「外交部と財団が第三者弁済をすると言い始めた1年前から予想されていた結果」だとし、「外交部は(これまで)一体どのような法理的検討をしたのか分からない」と述べた。

-光州地裁はヤン・グムドクさんに対する財団の供託申請を受理しなかった。

 「民法には第三者弁済ができない場合の条文が明示されている。このため、1年前の官民協議会で第三者弁済の話が出た時から、適法でないという話が出ていた。外交部はその後も法理的検討を完璧にしてきたと主張しているが、一体どのような法理的検討をしたのか分からない」

-外交部は光州地裁の不受理決定に対して「供託公務員の権限の範囲を超えたもの」として強い遺憾を表明した。

 「供託規則第48条に、受理しないことを決定できるという内容がある。外交部は光州地裁所属の供託公務員が個人的な判断でこのような決定を下したというふうに話しているが、最高裁(大法院)の例規は供託官が不受理決定を下すことができると定めている。適法な法令によって不受理決定が下されたのであり、それならば外交部と財団は異議申立てをすれば良い。手続きに沿った判断の主体を尊重せず、自分の意思に合わない結果が出たからといって供託官個人に言及するのは道理に合わない。不受理の決定が出た後に外交部が取材陣に通知したショートメールは、政府が供託手続きに対してどれだけ理解が足りないかを表している」

-今後、被害者側はどのように対応する予定か。

 「供託に対する無効確認訴訟を起こす必要がなくなった。これからの手続きは簡単だ。外交部は、ヤン・グムドクさんに申請したが受理されなかった供託の件に対して異議申立てをすると明らかにしている。供託法第12条によれば、供託官は異議申立てを受けた後、異議申立てが妥当だとみなせば直ちに供託を受理する。逆に異議申立ての根拠が合わないとみなせば、これを裁判所に渡す。その後、異議申立てに対する決定手続きというものを進める。これも一般の裁判と同じく3審制で進められ、供託無効訴訟と内容も大きく変わらない。

 被害者の代理人はこの裁判の過程に利害関係者として参加する。ここで裁判所が供託が有効だと判断すれば被害者の債権が消滅することになり、有効でないと判断すれば被告企業に対する被害者の債権はそのまま維持され、外交部が進めてきた第三者弁済案は無効化される」

-結局、供託が有効か無効かを争う裁判を進めなければならないが、どのような結果が出ると予想しているか。

 「当事者が望まない場合は債務を弁済できないと明示した民法の条項はあまりにも明白だ。これに反する判例もない。外交部は法理を検討したというが、明文規定に勝てるものがあるのか疑問だ。ただし、このような懸念はある。司法府は現政権下で保守化しているだろうから、供託の有効無効を争う裁判の決定を遅らせる場合がありうる。現金化の最終判決のみを控えた最高裁の判断を遅らせると圧力をかける可能性もある。また、無効が出れば被害者に対して金を受け取るようさらに迫ってくる可能性が高い」

-結果的に供託が無効だと出た場合、政府はどのような立場を取ると思うか。

 「供託が無効だという決定が出れば、結局は日本の被告企業の債務を引き受けて、財団が賠償する併存的債務引受けに戻る可能性が高い。これは、昨年4回行われた官民委員会でも有力な案として言及されたものの一つだ。しかし当時、日本側がこの案に難色を示したため、結果的に第三者弁済案で進んだのだが、これを日本企業が受け入れるかどうかは分からない。日本企業がこの案ですら断った場合、最終的には現金化決定が執行されるだろう」

シン・ヒョンチョル記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr)
https://www.hani.co.kr/arti/politics/politics_general/1098738.html韓国語原文入力:2023-07-04 23:28
訳C.M

関連記事