本文に移動

韓国司法「強制動員供託金」相次いで不受理…法的誤り「拙速」だらけ

登録:2023-07-06 02:22 修正:2023-07-06 04:26
光州地裁に続き水原地裁も「『第三者弁済』拒否を反映」 
全州地裁にはすでに死亡している被害者についてのでたらめ供託も
「歴史正義と平和な韓日関係のための共同行動」に参加している市民社会団体の会員たちが4日午後、ソウル鍾路区の外交部庁舎前で、「第三者弁済」に反対してきた日帝強制動員被害者および遺族について外交部が供託手続きを開始すると表明したことを糾弾する緊急記者会見を行っている/聯合ニュース

 韓国の裁判所は5日、政府が第三者弁済を拒否した日帝強制動員被害者と遺族について行った供託に対し、相次いで不受理の決定を下した。早急に強制動員補償問題を幕引きしようとしていた政府としては、計画への支障はもちろん、「拙速供託」との批判を避けることは難しくなった。

 光州(クァンジュ)地方裁判所はこの日、「政府が提起したヤン・クムドクさん(94)の賠償金の供託『不受理』に対する異議申し立てについて、供託官は『理由がない』と判断し却下した」と明らかにした。政府は前日、「ヤンさん側は第三者弁済を受ける意思はないとの意向を示した」として、光州地裁が供託不受理決定を下したことを不服として異議を申し立てていた。

 水原(スウォン)地裁も、強制動員被害者の故チョン・チャンヒさんと故パク・ヘオクさんの遺族2人についての供託申請に対して「遺族が政府の第三者弁済案に対する明白な反対意思を表明している」として不受理を決定した。光州地裁の判断と同様、水原地裁も、政府の申請した供託は民法第469条に反すると判断したのだ。民法第469条は、当事者が拒否している場合は第三者は返済できないと規定している。供託とは、債権者との合意がない時、債務者側が金銭などを裁判所に預けて債務を免れる制度。

 裁判所が相次いで供託不受理を決定したことで、速戦即決で強制動員問題を幕引きしようとしてきた政府の計画には支障が生じた。

 供託と第三者解決策の適法性を問う長期の法廷闘争が避けられなくなるからだ。政府は3月、2018年に最高裁(大法院)で賠償判決を勝ち取った15人の日帝強制動員被害者と遺族の判決金と遅延利子を、三菱重工や日本製鉄などの日本の加害企業に代わって政府傘下の日帝強制動員被害者支援財団に支給させる「第三者弁済案」を一方的に発表した。発表後、15人中11人はこれを受け入れたが、生存被害者のヤン・クムドクさんとイ・チュンシクさんの2人と、故チョン・チャンヒさんとパク・ヘオクさんの遺族の合わせて4人の原告は、日本の加害企業が賠償に参加すべきだとして受け入れていない。

 今後、ヤンさんらに対する供託不受理決定の有・無効は、供託官ではなく判事の判断を受けることになった。供託法第13条には「供託官は異議申し立てに理由がないと認めれば、異議申し立てを受けた日から5日以内に異議申し立て書に意見を添付し、管轄の地方裁判所に送付しなければならない」と規定されている。この日、ヤンさんに関する供託不受理の案件は、光州地裁民事44部に送付された。

 政府としては、裁判所が供託不受理に関していかなる決定を下すとしても、「長期戦」を避けるのは困難だ。裁判は三審で行われる。裁判所が供託不受理は有効だと判断した場合、政府は抗告できるが、結果は不透明だ。供託不受理は無効との判断が出たとしても、「行政手続き」ではなく「本件」に対する長期の法廷闘争が待っている。被害者が供託と第三者弁済そのものに対する無効訴訟を準備しているからだ。

 政府は拙速な供託を強行したとの批判も自ら招いた。全州(チョンジュ)地裁はこの日、故パク・ヘオクさんについての政府による供託に対して不受理決定を下したが、政府が裁判所の補正勧告を実行しなかったことが決定的原因として作用した。裁判所は、故人であるパクさんは民法上の供託相続人とはなりえないにもかかわらず、政府はパクさんを供託相続人に指定するという誤りを犯したとし、補正勧告期限(4日)までにこれを是正するよう勧告していた。しかし政府はこれに従わなかった。不受理決定が下されるまで放置していたわけだ。政府は遺族の居住地もきちんと把握できていなかったため、一部の供託書を管轄裁判所ではないでたらめな裁判所に送ってもいる。強制動員のもう1人の生存被害者であるイ・チュンシクさん(99)についての供託は、書類の不備で差し戻されている。

 強制動員被害者の法律代理人を務めるイ・サンガプ弁護士は、ハンギョレの電話取材に対し、「このような種類のミスは、法曹人が行う場合にはほとんど発生せず、一般の個人が行う時に時々起きる。政府には法律専門家がいるはずなのに、どうしてこのようなことが発生したのか理解し難い」と話した。

シン・ヒョンチョル、パク・イムグン、キム・ギソン、キム・ヨンヒ記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
https://www.hani.co.kr/arti/politics/diplomacy/1098918.html韓国語原文入力:2023-07-05 19:33
訳D.K

関連記事