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韓国警察、法相の聴聞資料流出の疑いで野党議員を捜査… 大統領人事の検証を「封鎖」

登録:2023-06-06 05:07 修正:2023-06-06 09:30
尹錫悦大統領が2022年5月26日、政府世宗庁舎でハン・ドンフン法務部長官に国務委員任命状を授与している=世宗/ユン・ウンシク先任記者//ハンギョレ新聞社

 警察は、ハン・ドンフン法務部長官の人事聴聞会の個人情報流出事件と関連し、共に民主党のチェ・ガンウク議員の携帯電話を押収した。同事件で文化放送(MBC)の記者の自宅を家宅捜索し、携帯電話を押収してから6日後のことだ。人事聴聞会に参加した野党の国会議員を聴聞資料流出の疑いで捜査したのは前代未聞であり、「大統領の人事権をけん制」する国会の機能を無視した強引な捜査だという批判の声があがっている。

 ソウル警察庁反腐敗・公共犯罪捜査隊は5日午前、チェ議員の携帯電話を押収し、国会議員会館内のチェ議員の事務所も家宅捜索した。一部補佐陣の携帯電話も押収対象となった。警察は国会人事聴聞会のために国会に提出されたハン長官とその家族の住民登録抄本、不動産売買契約書などの資料が流出し、メディア関係者に渡った具体的なルートと、かかわった人物の把握に努めている。

 この事件は、4月に江西区(カンソグ)議会のキム・ミンソク議員(無所属)がハン長官の個人情報の含まれる資料を確保し、その資料を自身に渡した元「開かれた共感TV」(ユーチューブメディア)所属のS氏を個人情報保護法違反の疑いで警察に告発したことで始まった。警察はこの文書がチェ議員、MBC記者のL氏を経て、S氏と共に「開かれた共感TV」で働いていたA氏を通じてS氏に渡ったと疑っている。警察は4月にA氏とS氏に対し強制捜索を行い、被疑者として立件して資料の出所を追及してきた。チェ議員は国会議員会館の事務所前で取材陣に対し、「補佐陣も(私も)L記者という方そのものを知らない。会ったり接触したりしたことはない。通話内訳の照会でもして、それを根拠に令状を取って国会議員を強制捜索するのが道理」だと述べ、「長官個人の問題について、このようなやり方で(警察の)公権力を誤用・乱用してはならない」と反発した。

ソウル警察庁反腐敗・公共犯罪捜査隊の捜査官が5日、家宅捜索のために国会議員会館内のチェ・ガンウク議員室(共に民主党)に入っていく様子/聯合ニュース

 個人情報保護法の立法趣旨から外れた無理な捜査だとの批判もある。個人情報の保護に関する立法活動を活発に展開する市民団体「オープンネット」は声明で「個人情報保護法は、力のない個人が政府や企業と情報共有する際に、力の不均衡のせいで発生しうるプライバシー侵害を防ぐために作られた法」だとし「強大な権限を持つ法務部長官らが、報道機関を威嚇する武器として悪用している」と批判した。

 「議員と記者との協業」で実現してきた既存の人事聴聞会の慣行も影響を受けるものとみられる。民主党のクォン・チルスン首席報道担当はこの日、「ハン長官の人事聴聞資料は、人事聴聞のために国会に提供された資料だ。国会とメディアは候補者が提供した資料をもとに公職候補者の資質と道徳性を検証する」とし「メディアの取材を保障するために人事聴聞資料を共有したことが個人情報の流出なのか」と批判した。

キム・ガユン、シム・ウサム、カン・ジェグ記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
https://www.hani.co.kr/arti/society/society_general/1094702.html韓国語原文入力:2023-06-05 18:24
訳D.K

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