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5・18光州民主化運動遺族「大統領の記念演説、経済発展で締めくくったのは唐突」

登録:2023-05-19 10:19 修正:2023-05-19 14:12
ナ・フナの歌「オムニ」が響き渡り…涙の渦
尹錫悦大統領が18日、光州市北区の国立5・18民主墓地で開かれた43周年5・18民主化運動記念式で「5月母の会」の会員たちと共に行事を見守っている/聯合ニュース

 18日、光州市北区(クァンジュシ・プック)の国立5・18民主墓地に、歌手ナ・フナさんの「オムニ(母さん)」が響き渡った。「母さん、母さん、なぜ泣くんだい、私はここにいるのに…聞こえるかい、母さん、もう泣かないで」。歌い手のイ・ボングンさんが切々とした声で歌うと、5・18光州民主化運動犠牲者の遺族たちは涙をぬぐった。

 この日「5月精神、国民と共に」との題で43周年5・18記念式典が開かれた。新型コロナウイルス感染症のソーシャルディスタンス制限が解除され、4年ぶりに3千人余りが参加する大規模な行事として行われた。国家報勲処は、5・18民主化運動で家族を失い苦痛で苦しむ「5月の母」たちに焦点を当て、光州の痛みを慰め和合の明日に進もうという意味を込めたと説明した。

 愛国歌(韓国の国歌)は池漢小学校の生徒たちが斉唱した。池漢小の生徒たちは、5・18で集団虐殺が起きたチュナム村の犠牲者を悼んで毎年追悼行事を行っている。献呈公演ではナ・フナさんの曲「オムニ」が舞台に上がった。この歌は1987年に釜山出身の歌手ナ・フナさんが5・18犠牲者遺族を慰労するために作った歌だ。当時、2000本のカセットテープを作り光州文化放送(MBC)に渡したが、情報機関の妨害で失敗に終わったという。ナ・フナさんは2020年にこの歌が含まれた「九つの物語」というアルバムを発表し、隠れた逸話を公開した。

18日、光州市北区の国立5・18民主墓地で43周年5・18民主化運動記念式が開かれている/聯合ニュース

 記念式は光州・ソウル・釜山・大邱市民30人からなる合同合唱団が歌う「岩島」の公演に続き、参加者全員が「あなたのための行進曲」を斉唱して終わった。

 尹錫悦(ユン・ソクヨル)大統領は記念演説で「5月の精神は自由と創意、そして革新を通じて、光州と湖南(全羅道地域)の産業的成就と経済発展によって昇華され完成される」と述べた。これに対して有功者と遺族たちからは残念だという反応が上がった。

 多くの有功者が参加しているSNSのグループチャットでは「中身のない記念式」という意見が出た。有功者のJさんは「大統領は5・18精神を継承し記念しなければならない責務があるが、このような内容はすっかり抜けて、唐突に経済発展で記念演説を締めくくったことが憂慮される」として「大統領が有功者たちの話をちゃんと把握しているのか疑問だ」と批判した。

 5・18遺族会のヤン・ジェヒョク会長も「大統領が2年連続で記念式に出席した点はありがたく思うが、記念演説で5・18精神の憲法全文収録に言及しなかったのは残念だ」とし、「党レベルで議論するかは分からないが、継続して関心を傾けてほしい」と話した。

 記念式場への出入りの際の過度な検問検索に対する不満も出た。この日の記念式場は、事前に受け取った招待状がなければ出入りできなかった。大統領室警護処は招待者のかばんをX線検索台で1次確認した後、いちいち開けて検査したため、長い待機の行列ができた。記念式開始を10分後に控えた時点でX線検索手続きを省略し、参加者は定刻に合わせて入場することができた。

キム・ヨンヒ記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr)
https://www.hani.co.kr/arti/area/honam/1092367.html 韓国語原文入力:2023-05-19 08:33
訳C.M

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