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「重大災害」初の法廷拘束…韓国製鋼代表、懲役1年の実刑判決

登録:2023-04-27 02:14 修正:2023-04-27 08:50
民主労総の組合員たちが2020年11月24日午後、ソウル汝矣島の共に民主党本部前で、労災で死亡した99人の遺影を椅子に置き、重大災害企業処罰法の制定を要求する集会を行っている=キム・ミョンジン記者//ハンギョレ新聞社

 裁判所は、下請け労働者の下敷き死亡事故に対する責任を問い、元請け会社の代表に実刑を宣告し、法廷拘束した。昨年1月の重大災害処罰法の施行後、元請け会社の代表が実刑を言い渡されたのは初めて。

 昌原(チャンウォン)地裁馬山(マサン)支院刑事1部(カン・ジウン裁判長)は26日、「韓国製鋼重大災害事件」の一審の判決公判で、韓国製鋼のS代表取締役に対し、同氏が重大災害法上の「経営責任者」に当たり、「安全保健総括責任者」として数回にわたり安全保健管理体系の構築義務を果たさなかったとし、懲役1年を宣告して法廷拘束した。裁判所は「重大災害処罰法の立法目的と制定に照らせば、過去に罰金刑の前歴があるなど罪責が非常に重く、厳重な処罰は避けられない」と述べた。裁判所は、共に起訴された法人としての韓国製鋼に罰金1億ウォン(約1000万円)を言い渡した。産業安全保健法違反の容疑で起訴された下請け企業のK代表は懲役6カ月、執行猶予2年、社会奉仕40時間を言い渡された。

 裁判所は具体的な量刑理由として、重大災害法の施行の前後についた「経営責任者の多数の同種の前科」をあげた。S代表は過去に計4回の罰金刑を科されている。裁判所は「摘発の内容および処罰の前歴を総合すれば、韓国製鋼の事業所には労働者など従事者の安全権を脅かす構造的問題がある」とみられると述べた。続けて「以前に発生した労働災害による死亡事故で刑事裁判を受けている途中だった2022年3月16日に、再度この事件の重大労働災害が発生」したことと、「2022年6月9日ごろに、この事件の重大産業災害を契機として実施された重大災害発生事業所監督で、またも安全措置義務違反が摘発」されたことも指摘した。

 韓国製鋼では昨年3月、工場内の設備補修を行う協力会社に勤めていた60代の労働者が、重さ1.2トンの放熱板の下敷きになって死亡する事件が起きた。検察は先月の結審公判でS代表取締役に懲役2年、法人には罰金1億5000万ウォン(約1500万円)を求刑していた。

 重大災害の専門家は、元請けの代表に下された初の実刑を歓迎した。重大災害専門家ネットのクォン・ヨングク共同代表(弁護士)はこの日の記者会見で「実刑や、以前は3000万ウォン(約300万円)程度だった罰金が1億ウォンになるなど、一歩進んだ面がある」としつつも、「不利な様々な量刑要素があったため、重刑の宣告が可能だっかもしれないのに、法定下限刑である懲役1年を選択した点は残念だ」と述べた。

チャン・ヒョヌン記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
https://www.hani.co.kr/arti/society/labor/1089422.html韓国語原文入力:2023-04-26 10:27
訳D.K

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