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週80.5時間勤務が可能に?…労働時間短縮に逆行する尹政権

登録:2022-12-13 06:16 修正:2022-12-13 07:28
労働市場再編案の大枠決まる 
勤務日の間に11時間休憩を入れても 
1日11.5時間ずつ7日可能
ゲッティイメージバンクより//ハンギョレ新聞社

 尹錫悦(ユン・ソクヨル)政権が進める労働市場改編の大枠が明らかになった。現在は週単位で規制されている延長労働時間の管理単位を、月や四半期、半期、年単位と多様化するというのが主な内容だ。この場合、現行の1週間最大52時間である労働時間が80.5時間まで可能になるなど、労働時間短縮の流れに逆行するという批判の声があがっている。

 雇用労働部の依頼で「労働市場改革推進方向」を検討した未来労働市場研究会は12日、ソウル中区のプレジデントホテルで、政府に対する勧告案を発表した。まず現行では週単位である延長労働の単位期間を、月、四半期、半期、年単位に拡大する案だ。現行の労働基準法では原則的に一週間の労働時間が40時間を超えてはならないが、使用者と労働者が合意すれば1週間に最大12時間まで延長労働が可能だ。延長労働の単位期間を月単位に拡大した場合、1カ月分の延長労働時間に当たる52時間(12時間×4.345週)を1カ月の範囲内でまとめて使うことができる。労働基準法には1週間7日連続で勤めてはならないという条項がないため、週7日働く場合、1週間で最大40.5時間まで超過勤務が可能になる。

未来労働市場研究会の座長を務めた淑明女子大学のクォン・スンウォン教授(左から2番目)が12日午前、ソウル中区のプレジデントホテルで研究会勧告文を発表している=キム・ミョンジン記者//ハンギョレ新聞社

 研究会は長時間連続労働の負担を減らすため、四半期単位は月単位の90%(140時間)、半期単位は月単位の80%(250時間)、年単位は月単位の70%(440時間)水準に制限することを提案した。また、労働者に勤務が終わってから次の勤務日まで少なくとも11時間の連続休息を保障し、健康権を守る案を用意すべきだと勧告した。だが、1日24時間のうち11時間連続休息時間を除いた13時間から、労働基準法上4時間ごとに30分ずつ与えなければならない休憩時間を差し引くと、特定の週には毎日11.5時間ずつ7日で最大80.5時間、1週間のうち1日を休んでも69時間勤務が可能だ。

 研究会はこの他の労働時間をめぐる改革課題として、勤労日と出勤・退勤時間などに対する労働者の選択の拡大や夜間労働に対する保護措置の準備などを提示した。賃金体系と関連しては、号俸制など年功給中心の枠組みを外し、職務と成果を反映した賃金体系に改編することを提案した。

 労働界は今回の勧告案が労働時間短縮に逆行する案だと反発した。韓国労総は声明を発表し、「今回の勧告案は、労働者の自律的な選択権よりも労働時間に対する使用者の裁量権を拡大させ、柔軟な長時間労働体制に帰結し、労働者の賃金を低下させる可能性が高い」とし、「全面的な見直し」を求めた。韓国労働研究院のイ・ジョンヒ労使関係本部長は「勧告案は、企業の需要変動や企業活動の柔軟性を確保するという趣旨以外に、実際に労働者の選択権の拡大を通じてワークライフバランスを取る方に帰結するとは全く期待できない」と指摘した。

 労働部は労働時間の単位期間拡大と賃金体系改編は直ちに進め、さらなる課題は社会的な議論を経ることにした。来年初め頃、これらの推進日程を発表する計画だが、労働時間に関する内容の大半には労働基準法の改定が必要だ。野党「共に民主党」は未来研究会自体が大企業寄りの人物で構成され、労働者と使用者が参加もしていないなど、問題が多いと指摘してきた。 国会環境労働委員会の民主党幹事であるキム・ヨンジン議員は、本紙との電話インタビューで「勧告案が長時間労働を助長するかなどを環境労働委員会で細かく検討する」と話した。

チョン・ジョンフィ、チャン・ヒョヌン記者(お問い合わせ japan@hani.co.kr )
https://www.hani.co.kr/arti/society/labor/1071295.html韓国語原文入:2022-12-13 01:06
訳H.J

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