日帝強占期の強制動員被害者と遺族4人は、慰謝料請求訴訟で勝ち取った賠償金を確保するため、三菱重工の国内資産を強制執行するための法的手続きを開始した。ヤン・クムドクさんら4人が強制執行を申し立てたのに続き2例目となる。
日帝強制動員市民の会は26日、強制動員被害者と遺族の4人が24日に訴訟代理人を通じ、三菱重工の韓国内の特許権に対する差し押さえを命ずるよう大田(テジョン)地方裁判所に申し立てたと明らかにした。訴訟代理人団は、差し押さえ命令が下されれば、特許権を強制売却して現金化する特別現金化命令を申し立てる方針だ。
債権者は、三菱重工に強制動員されたにもかかわらず賃金を受け取れなかったため慰謝料請求訴訟を起こして一審と二審で勝訴したヤン・ヨンスさん、キム・ジェリムさんと故オ・ギレさんの遺族、故チェ・ジョンネさんの遺族の4人。差し押さえ対象は原告1人当たり三菱重工の特許権1件。賠償要求額は二審判決の示した1人当たり賠償額1億~1億5千万ウォンとこれまでの遅延利子、合わせて6億8000万ウォン(約6830万円)あまり。
訴訟代理人のキム・ジョンヒ弁護士は「一審、二審判決後、2018年12月と2019年1月に最高裁に事件が受理されているが、確定判決を出していない」とし、「すでに一審で三菱重工の国内資産を仮執行できるとの判決が出ているため、法的権限がある」と述べた。
戦犯企業である三菱重工の資産を差し押さえて売却し、被害に対する賠償金を確保するための強制執行の手続き申立ては、今回が2例目。勤労挺身隊被害者訴訟代理人団は2019年3月、三菱重工の韓国内商標権2件と特許権6件の8件を差し押さえ、このうち原告2人(ヤン・クムドクさん、キム・ソンジュさん)については2021年9月に最高裁で差し押さえが最終確定し、売却が命じられた。しかし三菱重工が不服を申し立て、一度は抗告が棄却されたものの、最高裁に再抗告したため今も裁判は終わっていない。
この過程で外交部は昨年7月26日、最高裁に「外交的解決のための時間をくれ」との趣旨の意見書を提出した。裁判が遅れている間に、日本企業が被害者に支給すべき賠償金を国内の財団に肩代わりさせる「第三者弁済案」が登場した。
裁判所が開始を決定し、直ちに三菱重工の特許権が差し押さえられた場合、日帝強制動員の解決策をめぐる対立は別の局面を迎えるとみられる。日帝強制動員市民の会のイ・グゴン理事長は「政府の第三者弁済案に同意できず、三菱重工に直に賠償してほしくて権利を行使した」と述べた。