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[独自]韓国の古里・月城原発近くで地震発生の可能性のある「活断層」を確認

登録:2023-03-02 11:49 修正:2023-03-02 13:39
行政安全部の断層調査で「設計考慮断層」5つを確認 
行安部、発表を先送りし、傘下機関のホームページに公開 
野党「原発拡大政策への影響を懸念して曖昧に公開したのでは」
2016年9月、慶州地域で相次ぐ地震で安全点検を受けた慶尚北道慶州市の月城原子力発電所。最近発表された2017~2021年の行安部の断層調査の結果、月城原発と釜山市機張郡の古里原発の設計に考慮されていない5つの活断層があることが確認された/聯合ニュース

 マグニチュード6.5以上の強い地震が起こりうる活断層(設計考慮断層)5つが、釜山・蔚山(ウルサン)の古里(コリ)原発と慶尚北道慶州(キョンジュ)の月城(ウォルソン)原発周辺にあることが、政府の依頼した断層調査で確認された。これらの活断層は、過去の原発建設のための地質調査では確認されておらず、原発設計の際には考慮されなかった。月城と古里には原発14基が建てられており、現在2基が建設中であるため、耐震安全性をめぐる懸念の声が出ている。

 1日の本紙の取材を総合すると、韓国水力原子力(韓水原)は最近、国会科学技術情報放送通信委員会所属の共に民主党のコ・ミンジョン議員に、古里・月城原発近隣に「設計時に考慮しなければならない設計考慮断層が5カ所ある」という説明資料を提出した。原子力利用に伴う安全管理に必要な対策などを講じる組織である原子力安全委員会は告示を通じて、50万年以内に2回以上、または3万5千年以内に1回以上動いた断層を「活動性断層」と規定し、これが原発の半径32キロメートル以内にあり長さが1.6キロメートル以上、あるいは半径80キロメートル以内にあり長さが8キロメートル以上の場合は「設計考慮断層」に分類している。設計考慮断層を分類したのは、地震発生の可能性があるため、特にこれを考慮して原発耐震設計などを行うという趣旨だ。

 古里・月城原発周辺に設計考慮断層があるという事実は最初、行政安全部の研究機関を通じて明らかになった。行政安全部は1月、所属機関である国立災害安全研究院のホームページに「朝鮮半島の断層構造線調査および評価技術開発」最終報告書を掲載した。2017年から5年間にわたって行われた研究の結果だ。これには朝鮮半島南東圏(慶尚南道・慶尚北道・釜山・蔚山)で14の「活断層帯」が確認されたという内容が含まれている。活断層は、地質学的には最近である新生代第4期(258万年前以降)に地震で地表が破裂し、近い将来再び地震が発生する可能性のある断層だ。活断層帯は活断層の一部区間をいう。これら14の活断層帯のうち、5つが原発の半径32キロ以内にあり長さが1.6キロを超える設計考慮断層だ。

 この5つは、蔚山市三南邑(サムナムウプ)の三南活断層帯(2.0~10.5キロ)、慶州市暗谷洞(アムゴクトン)の旺山活断層帯(2.1~5.9キロ)、蔚山市北区倉平洞(プック・チャンピョンドン)の茶日活断層帯(2.8~4.2キロ)、慶州市外東邑(ウェドンウプ)の末方活断層帯(3.5~4.3キロ)、慶州市千軍洞(チョングンドン)の千軍活断層帯(2.0~4.0キロ)だ。

 コ・ミンジョン議員室と本紙がこれら5つの活断層帯の座標をグーグル地図に入力してみたところ、このうち原発に最も近い断層は茶日活断層帯で、月城原発までわずか12キロの距離にあった。千軍・旺山・末方活断層帯は月城原発の半径13~21キロ内にあることが確認された。三南活断層帯は古里原発から半径26キロ以内に位置していた。

 問題は、強い地震が発生する可能性のある断層が原発の近くにあるのに、過去40年間で古里と月城に建てられた原発14基はもちろん、現在建設中の新古里5・6号機の設計にも設計考慮断層が反映されていないという点だ。

 韓水原がコ・ミンジョン議員に提出した資料によれば、国内の原発設計に考慮された断層は5つの断層とは別の慶州市陽南面(ヤンナムミョン)の邑川断層のみ。邑川断層は、行政安全部の断層調査の結果、長さが1.5キロメートルに過ぎず、原安委の基準による設計考慮断層ではないことが確認された。

 韓水原は安全には異常がないという立場だ。韓水原の関係者は「行政安全部の調査結果を基に安全性評価を行っている」とし「国内の原発は明らかにされていない断層による最大潜在地震まで考慮し、十分な耐震余裕度を確保している」と述べた。だが、古里・月城の原発16基のうち、活断層で発生しうるM6.5以上の地震の耐震設計が適用されたのは新古里3~6号機の4基のみ。行政安全部の断層調査に釜山大学の研究責任者として参加したソン・ムン教授(地質環境科学科)は、活断層で発生しうる最大の地震の大きさについて、「評価する際に様々な不確実性があるため専門家によって多少ことなるが、最大マグニチュード7程度」だと述べた。「脱核慶州市民共同行動」のイ・サンホン執行委員長は「古里・月城原発のほとんどが老朽化した原発に入るため、活断層の発見によってますます心配になる」とし「各界の専門家たちが調べて安全対策を取らなければならない」と話した。

 韓水原は、以前の原発敷地調査で設計考慮断層を見つけられなかった理由については「断層調査の技術と経験不足により発見できなかったため」と明らかにした。

 しかし、実際に以前の韓水原の原発敷地調査と最近の行政安全部の断層調査にいずれも参加した専門家は、調査技術の不足というより、調査意志の不足を根本的な理由に挙げた。この専門家は「過去の調査は、私たちが懸命に探そうとしても韓水原側が本当に危険なものが出てこないようにと願いつつ行われた。今回の行政安全部の調査は目的が(活断層を)探すことなので必ず見つけなければならなかった」と話した。さらに「韓水原の原発敷地調査の時に投入された人員が20人くらいだとすれば、今回の断層調査に投入された人員は100人あまり」だとし「今の人員くらい投入されていたら(設計考慮断層を発見)した」と話した。

 「脱核法律家の会」のキム・ヨンヒ代表弁護士は「原発は建てるたびに新たに地震地質調査を行わなければならないため、きちんと調査していれば、過去にはわからなかったとしても少なくとも新古里3~6号機を建てる際には十分に見つけることができたはず」だとし、「見つけて危険性を評価すれば原発を建てられない状況になりかねず、意図的に回避したのではないかと疑われるほどだ」と述べた。

 原発設計考慮断層を含む14の活断層が確認されたことを契機に、原発だけでなく学校やマンションなどすべての建築物や橋梁、トンネル、送油管などの構造物に対する全体的な点検が必要だという意見も出ている。

 これに対し、行政安全部の関係者は「各関係機関に通知し既存の施設に対して耐震補強の有無を確認し、長期的には耐震設計補完を検討をするようにした」とし「今年樹立する第3次地震防災総合計画でも補完措置を取る計画」だと述べた。

 しかし、地震は原発にとって最も危険な自然災害だという点で、関連内容を積極的に知らせなかった政府の態度についても批判が起きている。行政安全部は昨年1月に断層調査の最終報告書の提出を受けたにもかかわらず、発表を先送りし、今年1月になって所属機関のホームページに掲載する形で公開した。コ・ミンジョン議員は「政府が150億ウォン(約15億4千万円)にのぼる血税を投入して活断層を数多く見つけたにもかかわらず、報道資料の1枚も出さなかったのは、原発拡大政策に及ぼす影響を懸念した措置だったと疑わざるを得ない」とし「活断層が原発だけでなく原発敷地の高レベル放射性廃棄物の貯蔵に及ぼす影響も詳しく調べなければならない」と述べた。

キム・ジョンス先任記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr)
https://www.hani.co.kr/arti/society/environment/1081792.html韓国語原文入力:2023-03-02 08:33
訳C.M

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