日帝強制動員被害者のヤン・クムドクさん(93)への人権賞授与が取り消された理由を尋ねる質問に対し、韓国外交部が2カ月たってようやく一行きりの返信をした。
20日、日帝強制動員市民の会は外交部が送った「勤労挺身隊動員被害者ヤン・クムドクさんに対する大韓民国人権賞(国民勲章)授与取り消しに関連する質疑書返信」を公開した。
外交部はA4用紙1枚の公文を通じて「2022年、ヤン・クムドクさんに対する大韓民国人権賞(国民勲章)叙勲に関し、昨年は関係省庁間の協議不備で上程されなかったが、今後、再度推進される場合には真摯に検討していきたいとの意見であることを申し上げます」と答えた。
市民の会は、外交部がヤンさんと国民を嘲弄したと主張した。具体的な質疑に対する曖昧な答弁であるためだ。これに先立って市民の会は昨年12月19日、行政安全部が運営する公文書提出オンライン窓口「文書24」のホームページを通じて、外交部長官宛にヤンさんへの大韓民国人権賞と国民勲章授与取り消しの経緯と、今後の対策について質問した。
実際の質疑内容は、「国務会議の案件上程の過程で、関連省庁の『異見』により勲章叙勲が取り消しになった事例が(過去に)あるか」「最高裁確定判決を受けた生存被害者3人に対する公平性を理由にブレーキをかけたが、ヤン・クムドクさんに対する大韓民国人権賞と国民勲章の推薦はどのような点で公平性に問題があるのか」「公平性問題のためならば、外交部がヤン・クムドクさんを含め確定判決を受けた生存被害者3人全員を人権賞および国民勲章の褒賞者として国家人権委員会に推薦する意思はあるか」など、200字詰め原稿用紙11枚に及ぶものだった。
市民の会はこの日、糾弾声明を発表し「外交部は56日もたっての返信でも具体的な答弁を回避し、請願人に対する最小限の礼儀も誠意もなかった」とし「これは強制動員問題に関する最終発表を控えた政府が、やむを得ず答えたものとみられる」と明らかにした。
昨年、国家人権委員会は30年間にわたり日本政府を相手に強制動員に対する謝罪と被害補償を要求した功労を認め、ヤンさんに12月9日に行う「世界人権の日」(毎年12月10日)記念式で人権賞を叙勲する予定だった。しかし、外交部が「事前協議が必要な事項」という意見を出し、行政安全部は国務会議案件として提出しなかったため、授与が取り消された。これに対し市民団体は、パク・チン外交部長官の謝罪、苦情質疑に対する早急な答弁、強制動員問題と関連した放送局主管の公開討論会の開催を要求している。